モールス信号一覧!欧文・和文・数字の早見表と覚え方・歴史をSOSなど有名な符号つきで解説

「トン・ツー・トン」というあのリズム。映画や漫画の救難シーンでおなじみのモールス信号は、150年以上前に生まれた世界最古級の通信方式です。

短い音(トン)と長い音(ツー)の組み合わせだけで、アルファベットから日本語のカタカナ、数字までを表せます。電気が通る線や電波しかなかった時代に文字を遠くへ届けた、人類最初の「デジタル通信」とも呼べる仕組みです。

この記事では、モールス信号の欧文・和文・数字・記号の一覧(早見表)をすべて掲載したうえで、覚え方のコツ・誕生の歴史・SOSなど有名な符号・現代での使われ方・面白い雑学まで、まるごと解説します。最後には符号を解読するクイズも用意しました。読み終わるころには、「・・・―――・・・」の意味がきっと分かるようになっています。

じつは私、子どものころにスパイ映画にあこがれて、弟と「トントンツー」で会話しようとして見事に失敗しました。じつは覚え方にはちゃんとコツがあるんです。最後までお付き合いください。

モールス信号とは?「トン・ツー」の仕組みと基本ルール

モールス信号の電鍵(モールスキー)

モールス信号(モールス符号)とは、短い点「・」と長い点「―」の2種類だけを組み合わせて文字を表す符号です。音で送るときは、短点を「トン」、長点を「ツー」と読みます。

たった2種類の信号で文字を表すという発想は、現代のコンピューターが0と1のビットで情報を表すのとよく似ています。だからモールス信号は「最初のデジタル通信」と呼ばれることがあるのです。

送受信を正しく行うために、点と間隔の長さには決まったルールがあります。

  • 短点(・)=基準となる長さ。「トン」
  • 長点(―)=短点の3倍の長さ。「ツー」
  • 符号内の点と点の間隔=短点1つ分
  • 文字と文字の間隔=短点3つ分
  • 単語と単語の間隔=短点7つ分

つまりモールス信号は「音の長さ」と「沈黙の長さ」の両方で意味が決まります。点の数だけでなく、間の取り方も大切だということです。

ここがポイント
モールス信号は「速さ」ではなくこの長さの比率(1対3対7)を守ることが命です。比率さえ正しければ、ゆっくり打っても速く打っても同じ文として伝わります。

なお、モールス信号は文字を別の符号に置き換えるという意味では暗号の一種とも言えます。本格的な暗号の世界に興味がわいた方は、以下の記事もどうぞ。

モールス信号の欧文(アルファベット)一覧・早見表

まずは世界共通で使われる欧文モールス信号のアルファベット一覧です。AからZまでの早見表を掲載します。読み方も添えたので、声に出しながら確認してみてください。

文字 モールス符号 読み方 文字 モールス符号 読み方
A ・― エー N ―・ エヌ
B ―・・・ ビー O ――― オー
C ―・―・ シー P ・――・ ピー
D ―・・ ディー Q ――・― キュー
E イー R ・―・ アール
F ・・―・ エフ S ・・・ エス
G ――・ ジー T ティー
H ・・・・ エイチ U ・・― ユー
I ・・ アイ V ・・・― ブイ
J ・――― ジェー W ・―― ダブリュー
K ―・― ケー X ―・・― エックス
L ・―・・ エル Y ―・―― ワイ
M ―― エム Z ――・・ ゼット

よく見ると、使用頻度の高い文字ほど符号が短いことに気づきます。英語で最も多く使われるE(イー)はたった「・」の1つ、次に多いT(ティー)は「―」の1つです。これは偶然ではありません。

モールス信号を実用化したアルフレッド・ヴェイルは、印刷所にある活字の数を数えて文字の使用頻度を調べ、よく使う文字に短い符号を割り当てたと言われています。打つ手間を減らす、とても合理的な設計だったのです。

数字・記号の早見表|0〜9はこんなに規則的

続いてモールス信号の数字(0〜9)と記号の早見表です。数字はとても規則的で、覚えやすいのが特徴です。

数字 モールス符号 数字 モールス符号
1 ・―――― 6 ―・・・・
2 ・・――― 7 ――・・・
3 ・・・―― 8 ―――・・
4 ・・・・― 9 ――――・
5 ・・・・・ 0 ―――――

数字は「点5つ」を基本に、1なら最初の1つだけが点で残りが長点、2なら2つが点、と階段状に並んでいるのが分かります。5は点が5つ、0は長点が5つです。この規則を知っていれば、数字はほぼ暗記不要です。

主な記号は次のとおりです。

記号 名称 モールス符号
. ピリオド ・―・―・―
, カンマ ――・・――
? 疑問符 ・・――・・
/ スラッシュ ―・・―・
@ アットマーク ・――・―・
豆知識
アットマーク「@」のモールス符号は、じつは2004年に国際電気通信連合(ITU)が追加したばかりの新顔です。Eメールアドレスを符号で送れるようにするための追加でした。150年以上の歴史を持つモールス信号が、今もアップデートされている証拠です。

和文モールス信号(カタカナ)の一覧・早見表

モールス信号はアルファベットだけのものと思われがちですが、日本語のカタカナを表す「和文モールス符号」もちゃんと存在します。1873年(明治6年)に吉田正秀と寺崎遜が考案した方式がもとになっています。

欧文とは符号の割り当てが違うので、同じ「・―」でも欧文では「A」、和文では「イ」を意味します。イロハ順の早見表は次のとおりです。

カナ 符号 カナ 符号 カナ 符号 カナ 符号
・― ・―・― ―・・・ ―・―・
―・・ ・・―・・ ・・―・
――・ ・・・・ ―・――・ ・―――
―・― ・―・・ ―― ―・
――― ―――・ ・――・ ――・―
・―・ ・・・ ・・―
・―・・― ・・―― ・―・・・ ・・・―
・―― ―・・― ―・―― ――・・
―――― ―・――― ・―・―― ――・――
―・―・― ―・―・・ ―・・―― ―・・・―
・・―・― ――・―・ ・――・・ ――・・―
―・・―・ ・―――・ ―――・― ・―・―・

濁点や長音には専用の符号があります。たとえば「ガ」は「カ(・―・・)」を打ってから濁点「・・」を続けます。

  • 濁点(゛)=・・
  • 半濁点(゜)=・・――・
  • 長音(ー)=・――・―

和文モールスは、アマチュア無線の世界では今でも日本語の交信に使われています。欧文に比べて符号が長めなので、習得の難易度はやや高めです。

モールス信号の覚え方|語呂合わせ(合調法)と音感法

「こんなにたくさん覚えられない」と思うかもしれませんが、安心してください。昔から伝わるモールス信号の覚え方には王道のコツがあります。代表的なのが「語呂合わせ」と「音感法」です。

語呂合わせ(合調法・新合調法)

語呂合わせは、符号のリズムに合う日本語を当てはめて覚える方法で、合調法(ごうちょうほう)と呼ばれます。短点を母音の短い音、長点を「ー」と伸ばす音に対応させるのがコツです。

たとえば和文の「イ」は「・―」です。これを「イトー(伊藤)」と覚えます。「イ」が短点、「トー」と伸ばす部分が長点に対応していて、口ずさむだけで符号が思い出せる仕組みです。

文字の先頭の音を語呂に使う方法を合調法、末尾に手がかりを置く方法を新合調法と呼びます。自分が覚えやすいほうを選んで構いません。

数字や年号を語呂合わせで暗記した経験は誰にでもあるはずです。その応用編がモールス信号だと考えると、ぐっと身近に感じられます。語呂合わせのテクニック全般は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

音感法(リズムで覚える)

もう一つが音感法です。これは符号を文字ではなく「音のリズム」として丸ごと耳で覚える方法です。「トン・ツー」を「ディ・ダー」と発声しながら、リズムのパターンで体に染み込ませます。

語呂合わせは覚え始めには便利ですが、通信速度が上がると頭の中で変換が追いつかなくなります。そのため、アマチュア無線の上級者は早い段階で音感法に切り替えるのが定石です。最終的には、音を聞いた瞬間に文字が思い浮かぶ状態を目指します。

私のおすすめは、まず「SOS」と自分の名前のイニシャルだけ語呂合わせで覚えることです。小さな成功体験があると、続きもぐっと覚えやすくなりますよ。

歴史|画家だった発明者モールスと電信の誕生

電信機でモールス通信を行う通信士

モールス信号を語るうえで欠かせないのが、その名の由来となったサミュエル・モールスです。意外なことに、彼はもともと通信の専門家ではなく、肖像画を描く画家でした。

モールスが電信の研究に打ち込んだのは、船旅の途中で電磁石の話を聞いたことがきっかけだったと言われています。やがて彼は技術者のアルフレッド・ヴェイルらと協力し、電線を流れる電流のオン・オフで文字を送る仕組みを完成させました。

歴史の主な流れは次のとおりです。

  • 1837年…モールスがニューヨーク大学で初の電信実験を行う
  • 1840年…電信の特許を取得
  • 1844年…ワシントンとボルチモア間で公開実験に成功。最初に送られた言葉は聖書由来の「What hath God wrought(神の成したまいしこと)」だった

この成功をきっかけに電信網は世界中へ広がり、海底ケーブルで大陸間も結ばれました。手紙を馬や船で運んでいた時代に、文字が一瞬で海を越えるようになったのです。まさに情報革命でした。

日本でも明治時代に電信が導入され、前述のとおり1873年には和文モールス符号が考案されました。その後、長く通信の主役を務めましたが、無線技術や電話の発達とともに役目を譲っていきます。日本では1996年に海上保安庁が、1999年にはNTTグループが業務用のモールス通信を終了し、同年には船舶の遭難通信も新しい衛星システム(GMDSS)へ移行しました。

SOSなどモールス信号の有名な符号・エピソード

海上を航行する船と水平線

モールス信号で最も有名な符号といえば、やはり遭難信号の「SOS」(・・・―――・・・)でしょう。短点3つ、長点3つ、短点3つという、聞き間違えようのない覚えやすいリズムです。

よく「SOS」はSave Our Souls(私たちの魂を救って)Save Our Ship(船を救って)の頭文字だと言われますが、これは後から付けられた語呂合わせです。実際には特定の言葉の略ではなく、誰でも素早く打てて聞き分けやすい符号として選ばれました。

SOSは1906年にベルリンで開かれた国際無線電信会議で採択され、1908年に正式な遭難信号として発効しました。

このSOSを世界中に知らしめたのが、1912年のタイタニック号沈没事故です。氷山に衝突したタイタニックの通信士ジャック・フィリップスとハロルド・ブライドは、当時主流だった遭難信号「CQD」を繰り返し送りました。

そのときブライドが「新しいSOSも打ってみよう。これが使う最後のチャンスかもしれない」と冗談まじりに提案し、SOSも発信されたと伝えられています。この悲劇を機に、SOSは遭難信号の代名詞として一気に普及しました。

よくある誤解
「SOS」はSave Our Soulsの略ではありません。覚えやすく、他の符号と聞き間違えにくいという理由で選ばれた符号です。意味から作られたのではなく、符号として優秀だったから採用された、という順番なのです。

現代でモールス信号はどこで使われている?

現代のアマチュア無線機(CW・モールス通信に使用)

商用の通信からは引退したモールス信号ですが、現代でも生き続けている場面はたくさんあります。むしろ「シンプルだからこそ強い」場面で重宝されています。

  • アマチュア無線…電信(CW)として今も世界中の愛好家が交信に使っています。弱い電波でも遠くまで届きやすいのが利点です。
  • 自衛隊・軍事…通信機器が使えない非常時の手段として、訓練が続けられています。
  • 航空・船舶の灯台…無線標識が自局を示すために、識別符号をモールスで送出している例があります。
  • 非常時の合図…声が届かない状況でも、光の点滅・音・物を叩くタップ・まばたきなど、あらゆる方法で「SOS」を送れます。

電気も特別な機械もいらず、光や音さえあれば伝えられる。この究極のシンプルさこそ、モールス信号が150年以上も生き残ってきた最大の理由です。

思わず話したくなる面白い雑学・トリビア

最後に、思わず誰かに話したくなるモールス信号の雑学を集めました。

まばたきで「拷問」を伝えた捕虜

1966年、ベトナム戦争の捕虜だったアメリカ海軍のジェレマイア・デントン中佐は、北ベトナム側が用意したテレビインタビューに出演させられました。彼は照明がまぶしいふりをしながら、まばたきでモールス信号を送り「TORTURE(拷問)」という単語を伝えたのです。

これによってアメリカ側は、捕虜が虐待されている事実を初めて知ることになりました。口では言えないことを、まぶたの開閉だけで伝えた歴史的なエピソードです。

映画やゲームの「隠しメッセージ」

映画やドラマ、ゲームの効果音に、こっそり本物のモールス信号が仕込まれていることがあります。「I LOVE YOU(愛してる)」のメッセージが照明の点滅で送られる、といった演出は定番です。知っている人だけがニヤリとできる、作り手の遊び心です。

たった2種類で世界をつないだ「元祖デジタル」

点と線という2種類の信号だけで、世界中の言語と数字を表現する。この考え方は、0と1で動く現代のコンピューターそのものです。モールス信号は、19世紀に生まれた「元祖デジタル通信」だったと言えるでしょう。

個人的に一番しびれるのは、やはりまばたきのエピソードです。道具がなくても、知識と勇気があれば情報は伝えられる。モールス信号は単なる古い技術ではなく、人間の知恵の結晶だなと感じます。

モールス信号クイズ|符号を解読してみよう

ここまで読んだあなたなら、もう簡単な符号は読めるはずです。早見表を見ながらで構いませんので、モールス信号の解読クイズに挑戦してみましょう。答えはその下のボックスにあります。

第1問(欧文) ・・・ / ――― / ・・・

答え…SOS。世界共通の遭難信号ですね。これが読めたら第一関門突破です。

第2問(欧文) ―・―・ / ・― / ―

答え…CAT(猫)。C(―・―・)、A(・―)、T(―)を続けて読みます。

第3問(数字) ・―――― / ・・――― / ・・・――

答え…123。点の数が増えていく規則を思い出せば一目瞭然です。

第4問(和文) ・― / ・・・・

答え…イヌ(犬)。和文の「イ(・―)」と「ヌ(・・・・)」です。欧文ではないので注意。

第5問(欧文・上級) ・―・・ / ――― / ・・・― / ・

答え…LOVE(愛)。L(・―・・)、O(―――)、V(・・・―)、E(・)です。最後にぴったりの言葉ですね。

何問正解できましたか。全問解けた人は、もうモールス信号の入り口に立っています。

よくある質問(FAQ)

Q. モールス信号は今でも使われていますか?

はい。商用の海事通信は1999年に公式に終了しましたが、アマチュア無線や自衛隊、灯台の識別信号などで今も現役です。非常時の合図としても有効です。

Q. モールス信号は資格がなくても送れますか?

光の点滅や音、物を叩くタップで送るだけなら資格は不要です。ただし無線機で電波を出して送信するには、アマチュア無線技士などの資格が必要になります。

Q. 「・」と「―」の長さはどれくらい違いますか?

長点(―)は短点(・)の3倍の長さが基本です。さらに符号の中の間隔は短点1つ分、文字と文字の間隔は短点3つ分と決まっています。

Q. 日本語もモールス信号で送れますか?

送れます。1873年に定められた和文モールス符号を使えば、カタカナを符号で表せます。濁点や長音にも専用の符号があります。

まとめ|モールス信号は「最初のデジタル通信」

モールス信号は、短点「・」と長点「―」のたった2種類だけで、アルファベット・数字・記号・カタカナまでを表せる通信方式です。

欧文の早見表では、使用頻度の高い文字ほど符号が短いという合理的な設計が見どころでした。数字は階段状の規則があり、暗記いらずで覚えられます。

覚え方は、まず語呂合わせ(合調法)から入り、慣れてきたら音のリズムで覚える音感法へ。SOSや自分のイニシャルなど、身近な符号から始めるのがおすすめです。

商用通信からは引退しましたが、アマチュア無線や非常時の合図として、モールス信号は今も生きています。光や音さえあれば道具がなくても伝えられる、究極にシンプルで力強い通信手段です。

この機会に、まずは「・・・―――・・・(SOS)」だけでも覚えてみてはいかがでしょうか。いつか、どこかで役に立つかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。次に救難シーンのある映画を観るときは、ぜひ画面の点滅や音に耳をすませてみてください。きっと「あ、これ読めるかも」と感じられるはずです。