天使の階級9つの一覧!熾天使セラフィムから大天使ミカエルまで序列・役割・聖書の典拠を解説

「熾天使セラフィム」「大天使ミカエル」「智天使ケルビム」。ゲームやアニメ、宗教画でよく目にするこれらの名前ですが、実は天使の世界には9つの階級(位階)があり、それぞれに役割と序列が定められているのをご存じでしょうか。

この「天使の9階級」をはじめて体系化したのは、6世紀初頭に書かれた『天上位階論』という一冊の本でした。天のヒエラルキーは上から熾天使・智天使・座天使と続き、いちばん下が私たちのよく知る「天使」です。

この記事では、天使の9階級それぞれの役割・姿・聖書の典拠を上位から順に解説し、さらに七大天使(ミカエル・ガブリエル・ラファエルなど)の名前の意味と役割、堕天使ルシファーとの関係、宗教画での見分け方、雑学、クイズ、FAQまでをまとめて紹介します。

天使って全部同じだと思っていましたが、社長から平社員までみたいに序列があるんですね。読み終わるころには、宗教画を見る目が変わりますよ。

天使の階級とは?9つの位階を定めた『天上位階論』

天界に集う天使たちと神を描いた宗教画

天界に集う天使たち。その序列をはじめて体系化したのが『天上位階論』です。

天使の9階級は、偽ディオニュシオス・アレオパギテース(5〜6世紀ごろのシリアの神学者とされる人物)が著した『天上位階論(De Coelesti Hierarchia)』に基づいています。成立は6世紀初頭と考えられています。

この本では、天使たちは大きく3つのグループ(三隊)に分けられ、それぞれがさらに3つの段階に分かれます。3かける3で、合計9つの位階が存在するという考え方です。上位・中位・下位の三隊は、それぞれ父・子・聖霊の三位一体に対応するとされました。

ここで注意したいのは、聖書そのものに「天使は9階級」とはっきり書かれているわけではないという点です。「熾天使」はイザヤ書に、「智天使」は創世記やエゼキエル書に、「主権」「力」「支配」「権威」といった言葉は新約聖書のパウロ書簡(コロサイの信徒への手紙1章16節など)に登場します。偽ディオニュシオスは、これら聖書のあちこちに散らばる呼び名を一つの体系に整理したのです。

13世紀には、神学者トマス・アクィナスが『神学大全』でこの9階級論を受け継ぎ、カトリック世界に広く定着させました。

ただし、序列には異説もあります。たとえば6世紀末の教皇グレゴリウス1世は、ディオニュシオスとは中位・下位の天使の順序を一部入れ替えた序列を説きました。トマス・アクィナスはこうした説の調停を試みていますが、現在もっとも広く知られているのは、本記事で紹介するディオニュシオスの序列です。階級の順序や役割は、よりどころとする文献によって少しずつ異なる、という点は頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

それでは、まず全体像を早見表で確認してから、上位から順に一つずつ見ていきましょう。

序列 日本語名 英語名 読み 主な役割
第1位階 熾天使 Seraphim セラフィム 神の最も近くで愛と賛美を捧げる
第2位階 智天使 Cherubim ケルビム 神の知識を守る門番
第3位階 座天使 Thrones スローンズ 神の玉座を支え正義をつかさどる
第4位階 主天使 Dominions ドミニオンズ 下位の天使を統率し秩序を監督
第5位階 力天使 Virtues ヴァーチューズ 奇跡と自然界の運行をつかさどる
第6位階 能天使 Powers パワーズ 悪の侵入を防ぐ天界の守衛
第7位階 権天使 Principalities プリンシパリティーズ 国家や教会など集団を守護
第8位階 大天使 Archangels アークエンジェルズ 人間に神の重要な言葉を伝える
第9位階 天使 Angels エンジェルズ 人間に最も近い守護の存在

天使の上位三隊(第1〜第3位階)熾天使・智天使・座天使

まずは神に最も近い「上位三隊」です。この3階級は人間と関わることはほとんどなく、ただひたすら神を賛美し、神の御座(みざ)を支える存在とされています。

第1位階 熾天使(セラフィム/Seraphim)

天使の最高位が熾天使(してんし)、セラフィムです。単数形はセラフ。ヘブライ語の「サラフ(燃える・燃やす)」に由来し、「燃え輝く者」を意味します。神への愛で全身が燃え上がっているとされ、さかんに燃えるという意味の「熾」の字が当てられました。

姿は3対6枚の翼を持つ六翼の天使。2枚で顔を覆い、2枚で足を隠し、残る2枚で飛ぶとされます。旧約聖書『イザヤ書』6章では、神の御座の上で「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と三度くり返し歌う姿が描かれています。

いきなり全身が燃えている天使が最高位なんですね。ふわふわした可愛い天使のイメージとは、だいぶ違います。

第2位階 智天使(ケルビム/Cherubim)

第2位は智天使(ちてんし)、ケルビムです。単数形はケルブ。神の知識を守る存在とされ、知恵をつかさどることから「智天使」と訳されました。

『創世記』3章では、アダムとエバが追放されたあとのエデンの園で、命の木に至る道を守る番人として登場します。『エゼキエル書』では、人・獅子・牛・鷲という4つの顔と4枚の翼を持つ、きわめて荘厳で異形の姿として描かれます。

意外なことに、ルネサンス以降の宗教画では、この智天使が翼の生えた愛らしい赤ちゃん(プット)として描かれるようになりました。私たちが「天使イコール可愛い幼児」とイメージするのは、実はこの智天使の変化形なのです。本来は4つの顔を持つ怪物的な姿だったと知ると、驚いてしまいますね。

第3位階 座天使(スローンズ/Thrones)

上位三隊の最後が座天使(ざてんし)、スローンズです。「王座」を意味し、神の玉座そのもの、あるいは玉座を支える存在とされます。無数の目を持つ燃える車輪(オファニム)と同一視されることもあります。

『エゼキエル書』に出てくる、火と目に満ちた車輪のイメージがこれにあたります。神の正義と公平をつかさどり、神の意志を下位の天使へと伝える役割を担います。新約聖書コロサイ書1章16節にある「王座」が、この階級の典拠とされています。

ディオニュシオスは、この座天使を神の正義が下される「法廷」にたとえました。感情に流されることなく、神の公正そのものを体現する、厳粛な階級だとされています。

天使の中位三隊(第4〜第6位階)主天使・力天使・能天使

中位三隊は、宇宙の秩序を保ち、神の計画を実行する「管理職」のような天使たちです。階級名の多くは、新約聖書のパウロ書簡(コロサイ書1章16節・エフェソ書1章21節)に出てくる「主権・力・支配・権威」という言葉に由来しています。

第4位階 主天使(ドミニオンズ/Dominions)

主天使(しゅてんし)、ドミニオンズは、下位の天使たちを統率し、世界の秩序が正しく保たれるよう監督する役割を持ちます。「主権」を意味し、神の威光を象徴する笏(しゃく)や宝珠を手にする姿で描かれます。神の命令を中位・下位へ取り次ぐ、いわば中間管理職の最上位といえる存在です。

ふだんは人間の前に直接姿を現すことはなく、自然や歴史が滞りなく進むよう、舞台裏で静かに采配を振るうとされます。

第5位階 力天使(ヴァーチューズ/Virtues)

力天使(りきてんし)、ヴァーチューズは、奇跡をつかさどる天使です。自然界を動かし、星々の運行や季節の巡りを管理するとされます。信仰のために戦う人々に勇気を与え、英雄を励ます存在でもあります。キリストの昇天の際に付き添ったのも、この力天使だとする伝承があります。

聖人が起こしたと伝えられる数々の奇跡。その背後には、この力天使の働きがあると考えられました。「自然の法則を超えた出来事」の担当部署、といえるかもしれません。

第6位階 能天使(パワーズ/Powers)

能天使(のうてんし)、パワーズは、悪魔や堕天使の侵入を防ぐ、天界の守衛・軍隊にあたります。世界の歴史を見張り、秩序が崩れないよう悪の力と最前線で戦います。その一方で、悪とつねに接しているためか「最も堕天しやすい階級」ともいわれます。

天界と地上の境を守る門番であり、人間の魂をめぐって悪魔と綱引きをする存在ともされます。私たちが誘惑に打ち勝てるよう、陰で支えてくれているのかもしれません。

悪と戦う部署だからこそ、誘惑に負けて堕ちる者も出やすい。なんだか人間社会の話みたいで、ぞっとしますね。

天使の下位三隊(第7〜第9位階)権天使・大天使・天使

下位三隊は、人間の世界に最も近く、私たちと直接かかわる天使たちです。ここに、あの有名な「大天使」と、いちばん身近な「天使」が含まれます。

第7位階 権天使(プリンシパリティーズ/Principalities)

権天使(けんてんし)、プリンシパリティーズは、国家や都市、教会といった「集団」を守護する天使です。為政者を正しく導き、国や民族が神の意志に沿って歩むよう見守ります。王冠を戴き、笏を持つ姿で描かれることが多い階級です。

個人ではなく「国」という大きな単位を担当する、いわば国家規模の守護天使です。下位の大天使や天使を率いて、地上の人間社会全体を見守る司令塔のような役割を担います。

第8位階 大天使(アークエンジェルズ/Archangels)

序列では下から2番目ながら、9階級で最も有名なのが大天使(だいてんし)、アークエンジェルズです。神からの重要なメッセージを人間に直接伝える使者で、ミカエルやガブリエルがこの階級に数えられます。

面白いのは、「大天使」は階級としては低いのに、固有の名前で呼ばれる天使(ミカエルなど)が含まれるため、知名度では9階級でダントツだという点です。ミカエルは本来もっと上位の熾天使や権天使の長だとする説もあり、固有名を持つ天使と階級は必ずしも一致しません。七大天使については、次の章でくわしく解説します。

第9位階 天使(エンジェルズ/Angels)

9階級のいちばん下、人間に最も近いのが、そのまま天使(てんし)、エンジェルズです。私たち一人ひとりを見守ってくれる「守護天使」は、この最下位の天使にあたるとされます。

最下位といっても、役割が小さいわけではありません。人間と直接やりとりし、祈りを神へ取り次ぎ、日々の導きを与える、私たちにとって最も頼りになる存在です。翼を持つ青年や少女の姿で描かれる、最もオーソドックスな天使がこれにあたります。

七大天使の名前と役割一覧|ミカエル・ガブリエル・ラファエル

大天使ミカエルを描いた宗教画

大天使ミカエル。天の軍勢を率いる総司令官で、宗教画では凛々しい若者の姿で描かれます。

9階級の第8位「大天使」のなかでも、特に重要とされるのが七大天使です。ただし、誰を七大天使に数えるかは伝統によって異なります。

確実なのは、聖書に名前が登場し、カトリックでも公認されている三大天使ミカエル・ガブリエル・ラファエル。これにウリエルを加えたものが四大天使です。さらに3名を加えて七大天使としますが、その3名は聖典によって変わります。

系統 七大天使の顔ぶれ
四大天使(基本) ミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエル
エノク書系 四大天使+ラグエル・ゼラキエル・レミエル
東方正教会系 四大天使+セラフィエル・イェグディエル・バラキエル

なお、すべての大天使の名前は語尾が「エル(-el)」で終わります。これはヘブライ語で「神」を意味する言葉です。つまり名前そのものが「神の○○」という意味を持っているのです。

ミカエル(神に似た者は誰か)

ミカエルは七大天使の筆頭で、名前は「神に似た者は誰か」を意味します。天の軍勢を率いる総司令官であり、『ダニエル書』では守護の長として、『ヨハネの黙示録』12章では竜(サタン)を打ち倒す戦いの天使として登場します。

正義と勇気の象徴で、剣や槍、そして最後の審判で魂を量る天秤を手にした姿で描かれます。カトリックでは9月29日が、ミカエルら大天使の祝日とされています。

ガブリエル(神は我が力)

ガブリエルは「神は我が力」を意味する、神の言葉を伝える使者です。『ルカによる福音書』では、聖母マリアにイエスの誕生を告げる「受胎告知」の場面で知られます。『ダニエル書』では、預言の意味を解き明かす役割も担いました。

イスラム教では「ジブリール」と呼ばれ、預言者ムハンマドにコーランを伝えた天使とされます。純潔を象徴する白百合や、知らせを告げるラッパを手にする姿で描かれることが多い天使です。

ラファエル(神は癒す)

ラファエルは「神は癒す」を意味する、治癒と旅人の守護をつかさどる天使です。旧約聖書の続編(外典)『トビト記』で、青年トビアの旅に同行し、父トビトの目の病を癒す物語が描かれます。

旅人の杖や、トビト記で薬となった魚を手にする姿で表され、医療・旅行の守護天使として親しまれています。

ウリエル(神は我が光・炎)

ウリエルは「神は我が光」あるいは「神の炎」を意味する天使です。聖書の正典には登場せず、『エノク書』や『エズラ記(第4エズラ書)』などの外典に現れます。知恵と啓示をつかさどり、預言の解釈を助ける役割を持ちます。

エデンの園を追われた人間が戻れないよう、炎の剣で園の門を守る天使ともされます。手に炎や巻物を持つ姿で描かれることが多い天使です。

なお、カトリックで正式に名前が認められている大天使は、聖書に登場するミカエル・ガブリエル・ラファエルの三名だけです。ウリエルは外典に由来するため、四大天使に数えられながらも公的には認められていない、という事情も覚えておくと面白いでしょう。

そのほかの有名な天使(メタトロン・サンダルフォン)

七大天使以外にも、後世のユダヤ教神秘思想(カバラ)などで有名になった天使がいます。メタトロンは「神の書記」とされ、預言者エノクが天に上げられて変身した天使だという伝承を持ちます。天使のなかでも特別な地位にあるとされ、神の玉座のすぐそばに立つともいわれる存在です。

その双子とされるサンダルフォンは、人間の祈りを神に届ける役割を担うとされます。どちらもゲームやアニメでおなじみの名前で、ここまで読んだ方なら「あのキャラの元ネタはこれか」と気づくことも多いはずです。

堕天使とルシファー|天使の階級と悪魔の関係

天から追放される堕天使たちを描いた絵画

神に反逆した天使たちが天から追放される「堕天使の墜落」。宗教画の人気主題のひとつです。

天使を語るうえで欠かせないのが、堕天使の存在です。堕天使とは、神に反逆して天界を追われ、悪魔となった元・天使のこと。その筆頭がルシファーです。

「ルシファー」はもともとラテン語で「光をもたらす者(明けの明星、つまり金星)」を意味する言葉でした。旧約聖書『イザヤ書』14章12節に出てくるヘブライ語「ヘーレール(輝く者)」を、4世紀末の聖職者ヒエロニムスがラテン語訳聖書(ウルガタ)で「lucifer」と訳したことに由来します。

もともとこの箇所は、傲慢なバビロニアの王を風刺したものでした。しかしのちに、キリスト教の教父たちが「天から落ちた者、すなわち神に反逆した堕天使」と解釈します。こうして、堕天前は最高位の熾天使だった(智天使だとする説もあります)美しい天使が、傲慢の罪で堕ちてサタンになった、という物語が生まれたのです。

つまり天使の階級と悪魔は、ちょうど表と裏の関係にあります。堕天使たちが地獄でどのような序列・階級を築いたのかは、悪魔側の視点でまとめた次の記事でくわしく解説しています。

天使と対になる悪魔の階級が気になった方は、以下の記事もあわせてどうぞ。

天使にランクがあるなら、悪魔にもランクがある。光と闇できっちり対になっているのが、神話の面白いところです。

宗教画での天使の見分け方|翼の数と持ち物

受胎告知 大天使ガブリエルと聖母マリア

受胎告知。左の大天使ガブリエルが、右の聖母マリアにキリストの懐妊を告げる名場面です。

美術館や教会で天使の絵を見たとき、その天使が「どの階級・誰なのか」を見分けるコツがあります。鍵になるのは翼の数持ち物(アトリビュート)です。

翼が6枚(六翼)で赤く描かれていれば熾天使セラフィム、4つの顔を持つ異形なら智天使ケルビムです。剣や天秤を持ち竜を踏むのが大天使ミカエル、白百合を持つのが受胎告知の大天使ガブリエル、魚や杖を持つのがラファエルだと見分けられます。

おおまかな傾向として、位が高い天使ほど翼の数が多く描かれるのも面白いポイントです。最高位の熾天使は6枚、智天使は4枚、そして人間に近い下位の天使は2枚というように、翼の数が天界での地位を表すことがあります。神に近いほど、より多くの翼で神を讃えていると考えられたのです。

また、ルネサンス以降に大量に描かれた翼の生えた裸の赤ちゃん(プット)は、もともとは智天使ケルビムが変化したものです。さらに、弓矢を持つ赤ちゃん天使はローマ神話の愛の神クピド(キューピッド)と混ざり合い、現在の「天使イコール可愛い幼児」というイメージが完成しました。頭上に輝く光の輪(光輪・ハロー)は、その人物が聖なる存在であることを示す記号です。

天使の階級にまつわる雑学

天使について、思わず誰かに話したくなる雑学を集めました。

「天使」という言葉の語源は? 天使を意味する英語「エンジェル(angel)」は、ギリシャ語の「アンゲロス(angelos)」に由来します。その意味は「使者・伝える者」。つまり「天使」という言葉そのものが、神の言葉を人間に伝える役割を表しているのです。

天使に性別はあるの? 神学的には、天使は肉体を持たない霊的な存在なので、基本的に性別はないとされています。宗教画で男性的にも女性的にも描かれるのは、そのためです。

天使の数はどれくらい? 聖書には「その数は万の幾万倍、千の幾千倍」(ダニエル書・黙示録)とあり、数えきれないほど大勢いるとされています。

守護天使は一人に一人つく? カトリックの伝統では、人間一人ひとりに守護天使がついて見守ってくれるとされ、10月2日は「守護の天使」の記念日です。

イスラム教にも天使がいる? はい。イスラム教では天使(マラク)の存在を信じることが信仰の柱の一つで、ガブリエル(ジブリール)やミカエル(ミーカール)が登場します。

ダンテの『神曲』では9階級が宇宙の構造になっている? はい。中世の詩人ダンテは『神曲』天国篇で、9つの天使の階級を、月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星・恒星天・原動天という9つの天球に対応させました。最高位の熾天使は、宇宙のいちばん外側で全体を動かす原動天をつかさどります。天使の序列が、そのまま宇宙の階層になっているのです。

「堕天使の物語」を完成させたのは詩人だった? ルシファーが神に反逆して堕ちるという壮大な物語は、聖書そのものよりも、17世紀イギリスの詩人ミルトンの叙事詩『失楽園』によって広く知られるようになりました。文学が、私たちの天使・悪魔のイメージを大きく育てたのです。

天使と聖人はどう違う? 天使ははじめから神に仕える霊的な存在ですが、聖人はもともと人間で、信仰の篤さによって死後に教会から認められた人々です。守護天使と守護聖人を混同しがちですが、その出自はまったく異なります。

天使の階級クイズ5問

ここまでの知識を使って、天使の階級クイズに挑戦してみましょう。答えはそれぞれの下にあります。

第1問 天使の最高位の階級は?

天使の9階級で、いちばん上に位置する階級は何でしょう。

答え:熾天使(セラフィム)。神への愛で全身が燃え上がる、六翼の天使です。

第2問 エデンの園を守る、4つの顔を持つ天使は?

創世記で命の木への道を守る番人として登場し、人・獅子・牛・鷲の顔を持つ天使は何でしょう。

答え:智天使(ケルビム)。後世の宗教画では、可愛い赤ちゃん(プット)に姿を変えました。

第3問 マリアに受胎告知をした大天使は?

聖母マリアにイエスの誕生を告げた、「神は我が力」を意味する大天使は誰でしょう。

答え:ガブリエル。イスラム教ではジブリールと呼ばれ、ムハンマドにコーランを伝えました。

第4問 堕天使ルシファーは、もともと何階級だった?

傲慢の罪で天界を追われたルシファーは、堕天する前は何という最高位の天使だったとされるでしょう。

答え:熾天使(セラフィム)。最高位の美しい天使が堕ちてサタンになった、とされます。

第5問 大天使の名前の語尾「エル」の意味は?

ミカエル、ガブリエル、ラファエル。これらの名前に共通する語尾「エル」は、何を意味するでしょう。

答え:神。ヘブライ語で神を意味し、名前全体が「神の○○」という意味になります。

第6問 9階級を最初に体系化した6世紀の書物は?

天使の9階級を初めて整理し、後世に大きな影響を与えた6世紀初頭の書物は何でしょう。

答え:『天上位階論』。偽ディオニュシオス・アレオパギテースが著したとされる一冊です。

第7問 智天使ケルビムは、後世の絵画で何の姿になった?

本来は4つの顔を持つ異形だった智天使は、ルネサンス以降の宗教画で何の姿で描かれるようになったでしょう。

答え:翼の生えた赤ちゃん(プット)。可愛い天使のイメージは、ここから生まれました。

天使の階級に関するよくある質問(FAQ)

天使の9階級は聖書に書いてあるのですか?

「天使は9階級」という形そのものは、聖書には書かれていません。6世紀の『天上位階論』が、聖書のあちこちに登場する天使の呼び名を整理して体系化したものです。各階級名(熾天使・智天使・主権・力など)は、イザヤ書・エゼキエル書・パウロ書簡などに散らばって登場します。

大天使は階級としては低いのに、なぜ有名なのですか?

大天使は9階級のうち第8位ですが、ミカエルやガブリエルのように固有の名前で呼ばれ、人間に直接メッセージを伝える役割を持つため、知名度が突出しています。なお、ミカエルは本来もっと上位の天使たちの長だとする説もあります。

セラフィムとケルビム、どちらが上位ですか?

熾天使セラフィムが第1位、智天使ケルビムが第2位なので、セラフィムのほうが上位です。セラフィムは神への愛を、ケルビムは神の知識を象徴する存在とされています。

天使・大天使・熾天使はどう違うのですか?

いずれも9階級の中の階級名です。最下位の第9位がそのまま「天使」、下から2番目の第8位が「大天使」、そして最高位の第1位が「熾天使」です。同じ天使でも、序列は大きく異なります。

守護天使は何階級にあたりますか?

人間一人ひとりを見守る守護天使は、最下位の第9位「天使」にあたるとされます。最も人間に近い階級だからこそ、私たちの日々を見守る役割を任されているのです。

天使は今でも信じられているのですか?

はい。カトリックや正教会、イスラム教では、今も天使は信仰の大切な一部です。また宗教を離れても、天使・大天使・堕天使は映画やゲーム、アニメの人気モチーフであり続けています。階級や名前の由来を知っておくと、そうした創作の世界もぐっと深く楽しめるようになります。

まとめ|天使の階級を知ると世界が広がる

天使の9階級は、6世紀の『天上位階論』が体系化したもので、上位三隊・中位三隊・下位三隊に分かれていました。

最高位の熾天使セラフィムは神への愛で燃え、第2位の智天使ケルビムは知識を守り、私たちに身近な守護天使は最下位の第9位「天使」でした。

有名な大天使ミカエル・ガブリエル・ラファエルは、序列では下から2番目の「大天使」に属しますが、人間にメッセージを伝える使者として最もよく知られています。そして、その対極にいるのが、堕天して悪魔となったルシファーたちでした。

この階級と役割を覚えておくと、宗教画やゲーム、アニメに登場する天使たちの背景が、ぐっと深く読み解けるようになります。次に天使の絵を見たときは、ぜひ翼の数と持ち物に注目してみてください。きっと、ただ美しいだけに見えた一枚の絵の奥に、壮大な天界の物語が見えてくるはずです。

天使の名前が、ただのカッコいい響きではなく「神の○○」という意味だったとは。これからは天使を見るたびに、その階級を考えてしまいそうです。