数学記号一覧!読み方・意味・使い方・由来を四則から微積分まで分野別に解説

教科書やニュース、参考書でふと数式を見たとき、「この記号って、なんて読むんだろう」と手が止まった経験はありませんか。

数学記号は、世界共通の「数学の言葉」です。読み方と意味さえ分かれば、難しそうに見えた数式も、ぐっと身近に感じられるようになります。

この記事では、+−×÷といった四則演算から、∫(インテグラル)や∑(シグマ)といった一見ものものしい記号まで、よく使う数学記号を分野別に整理しました。それぞれの読み方・意味・使い方に加えて、「誰がいつ作ったのか」という由来や歴史の雑学まで添えて解説します。

読めなかった記号も、由来を知ると一気に親しみがわきますよ。

数学記号とは?読み方が分かると数式が「言葉」になる

数学記号とは、数や量、操作、関係などを短く表すために決められた約束ごとの記号です。「2に3を足す」と書く代わりに「2+3」と書けるのは、+という記号の意味を世界中の人が共有しているからです。

数学記号のやっかいなところは、同じ記号でも分野や文脈で読み方が変わる場合があることです。たとえば∂は「ラウンドディー」とも「デル」とも「パーシャル」とも読まれます。読み方は一つに決まっているわけではなく、いくつかの慣用読みが併存しているのです。

この記事では、よく登場する記号を「四則演算」「大小の比較」「数や量の操作」「集合と論理」「微分と積分」「図形とその他」の順に解説します。気になる記号から読んでみてください。

四則演算の数学記号と読み方(+ − × ÷ =)

ホワイトボードに書かれた+・−・=を含む方程式

まずは、もっとも基本となる四則演算とイコールの記号です。毎日のように目にする記号ですが、その由来までは意外と知られていません。

+(プラス/足す・加算)

足し算を表す記号で、「プラス」または「たす」と読みます。印刷物に初めて登場したのは、ドイツのヨハネス・ヴィッドマンが1489年に著した商業数学の本だとされています。

当初は計算の足し算ではなく、商品の「余り」を示す記号として使われていました。ラテン語で「〜と」を意味する「et」がくずれて+になった、という説が有力ですが、由来には諸説あります。

−(マイナス/引く・減算)

引き算を表す記号で、「マイナス」または「ひく」と読みます。+と同じくヴィッドマンの本に登場し、こちらは商品の「不足」を示す記号でした。

+と−が現在のような加減の意味で使われるようになり、イギリスに広まったのは、後述する数学者ロバート・レコードが1557年に紹介してからだといわれています。

×・·(かける・乗算)

かけ算を表す記号で、「かける」と読みます。×を広めたのは、イギリスのウィリアム・オートレッドで、1631年の著書『数学の鍵』で使ったことで知られています。

一方、点で表す「·」(中点)は、ドイツのライプニッツが好んで使いました。×が文字の「x(エックス)」と紛らわしいためで、文字式では今でも「·」や記号を省略する書き方がよく使われます。

÷・/(わる・除算)

わり算を表す÷は「わる」と読み、正式にはオベルス(obelus)と呼ばれます。スイスのヨハン・ラーンが1659年の著書で使ったのが広まりのきっかけです。

分数の形(横線、括線)も割り算を表します。プログラミングや関数電卓では「/」(スラッシュ)が割り算に使われることも多いです。

=(イコール/等しい・等号)

左右が等しいことを表す記号で、「イコール」または「ひとしい」と読みます。考案したのは、イギリスのロバート・レコードで、1557年の著書『砥石(といし)』の中で初めて使いました。

2本の平行な線を選んだ理由について、レコードは「2本の平行線ほど等しいものはないから」と説明したと伝えられています。とても理にかなったネーミングですね。

=が「平行線だから等しい」だなんて、ちょっと感動しませんか。

大小をくらべる数学記号と読み方(< > ≦ ≧ ≠ ≒ ≡)

次は、数の大小や等しさの「関係」を表す記号です。不等号は中学校で本格的に登場し、データや条件を扱うときに欠かせません。

<・>(小なり・大なり)

<は「しょうなり」、>は「だいなり」と読みます。開いている側が大きい数を向くのがポイントで、「3<5」は「3は5より小さい」という意味です。

この記号は、イギリスのトマス・ハリオットが考案し、死後の1631年に出版された著書で世に出ました。

≦・≧(以下・以上)

≦は「以下(いか)」、≧は「以上(いじょう)」を表し、等しい場合も含みます。「x≧0」は「xは0以上」、つまり0も含むという意味です。

国際的には≤・≥という形が一般的で、≦・≧は日本でよく使われる書き方です。形は少し違いますが、意味は同じものと考えて問題ありません。

「以上・以下」と「未満・より大きい」の違い
「以上」「以下」はその数を含み(≧・≦)、「より大きい」「未満」はその数を含みません(>・<)。「18歳以上」は18歳を含み、「18歳未満」は18歳を含まない、と考えると分かりやすいです。

≠(ノットイコール/等しくない)

「ノットイコール」と読み、左右が等しくないことを表します。=に斜めの線を引いて「等しいことを打ち消す」イメージの記号です。

≒・≈(ニアリーイコール/約・およそ)

≒や≈は「ニアリーイコール」と読み、「だいたい等しい」「約」を表します。「π≒3.14」のように、きりのよい近似値を示すときに使います。日本では≒、海外では≈がよく使われます。

≡(合同・恒等/三本線)

横線が3本の≡は、文脈によって読み方が変わります。図形では「合同(ごうどう)」を表し、2つの図形がぴったり重なることを意味します。

この合同記号は、ドイツの数学者ガウスが1801年の著書『整数論』で導入したものです。式が常に成り立つ「恒等式」を示すときにも、≡が使われます。

数や量を操作する数学記号(√ 累乗 ! ∑ ∏)

ここからは、数をまとめたり、特別な計算を表したりする記号です。見慣れないと身構えてしまいますが、意味はとてもシンプルです。

√(ルート/根号・平方根)

「ルート」と読み、平方根(2乗するとその数になる数)を表します。「√9=3」は「3を2乗すると9になる」という意味です。

この記号は、ドイツのクリストフ・ルドルフが1525年の著書で使ったのが最初とされます。根を意味するラテン語「radix(ラディックス)」の頭文字rが変形したもの、という説が知られています。

aのn乗(累乗・指数)

数字の右上に小さく数を書く書き方で、「〜乗」と読みます。「2³」は「2の3乗」で、2を3回かける(2×2×2=8)という意味です。右上の小さな数を「指数」と呼びます。

!(階乗/factorial)

数字のうしろに付く「!」は、感嘆符ではなく「階乗(かいじょう)」を表します。「5!」は「5から1まですべてかける」という意味で、5×4×3×2×1=120になります。

この記号を導入したのは、フランスのクリスティアン・クランプで、1808年のことです。長い式を毎回書く代わりに、印刷の都合からも便利だったため採用されたと伝えられています。

∑(シグマ/総和)

∑は「シグマ」と読み、たくさんの数の合計(総和)を表します。ギリシャ文字の大文字シグマで、「Sum(合計)」の頭文字に対応します。総和の記号として使い始めたのは、スイスの大数学者オイラーで、1755年のことです。

∑のようにギリシャ文字は数学のあちこちで活躍します。文字そのものの読み方や由来は、以下の記事で詳しくまとめています。

∏(パイ/総乗)

∏は大文字のパイで、「総乗(そうじょう)」、つまりたくさんの数のかけ算をまとめて表します。∑が足し算版なら、∏はかけ算版だと考えると分かりやすいです。

∑(足す)と∏(かける)はセットで覚えると忘れませんよ。

集合と論理で使う数学記号と読み方(∈ ⊂ ∪ ∩ ∀ ∃)

集合や論理の記号は、高校・大学で登場します。一見むずかしそうですが、「仲間かどうか」「すべてか一部か」を表しているだけです。

∈・∉(属する/要素)

∈は「ぞくする」と読み、あるものが集合の要素(メンバー)であることを表します。「3∈A」は「3は集合Aの要素である」という意味です。斜め線が付いた∉は「属さない」を表します。

この記号は、イタリアのジュゼッペ・ペアノが1889年に使い始めました。ラテン語で「〜である」を意味する「est」の頭文字、ギリシャ文字のε(イプシロン)がもとになっています。

⊂・⊃・⊆・⊇(部分集合)

⊂は「部分集合」を表し、ある集合がまるごと別の集合に含まれることを意味します。「A⊂B」は「AはBの一部分」という意味です。下に線の付いた⊆は「等しい場合も含む」ことを表します。

∪・∩(和集合・共通部分/カップ・キャップ)

∪は「和集合(わしゅうごう)」で、2つの集合を合わせた全体を表し、形から「カップ」とも呼ばれます。∩は「共通部分」で、両方に共通する部分を表し、「キャップ」とも呼ばれます。

∅(空集合)

∅は「空集合(くうしゅうごう)」と読み、要素が一つもない集合を表します。0(ゼロ)に斜め線を引いたような形をしています。

∀・∃(すべての・存在する)

∀は「すべての」を表す全称記号で、英語の「All」のAを逆さにした形です。∃は「存在する」を表す存在記号で、「Exists」のEを裏返した形です。

∃はペアノが1897年に、∀はドイツのゲンツェンが1935年に導入しました。「すべてのxについて成り立つ」「条件を満たすxが存在する」といった主張を、短く正確に書けるようになりました。

⇒・⇔・∧・∨・¬(論理記号)

条件のつながりを表す論理記号も、意味を知れば読めます。代表的なものをまとめました。

  • ⇒(ならば)… 「AならばB」という条件を表します。
  • ⇔(同値・必要十分)… 「AとBは同じこと」という意味です。
  • ∧(かつ・アンド)… 「AもBも両方」を表します。
  • ∨(または・オア)… 「AかBのどちらか」を表します。
  • ¬(否定・ノット)… 「Aでない」を表します。

微分・積分(解析)の数学記号と読み方(∫ ∂ ∇ lim)

微分・積分の記号は、数学記号の中でも特に「読めなくて当然」と思われがちな存在です。ですが、ひとつずつ見れば、ちゃんと意味と由来があります。

∫(インテグラル/積分)

∫は「インテグラル」と読み、積分(細かく分けたものをすべて足し合わせる操作)を表します。考案者は、ライプニッツです。

この独特の形は、合計を意味するラテン語「summa(スンマ)」の頭文字sを、縦に長く伸ばしたものです。1675年10月29日の手稿で初めて使われたことが分かっています。積分が「無限に細かい和」であることを、形そのものが表しているのです。

dx・d/dx(微分)

dxやd/dxは「ディーエックス」「ディーディーエックス」などと読み、微分(変化の割合)を表します。これもライプニッツの記法で、「ごくわずかな変化」を意味します。

∂(ラウンドディー/偏微分)

∂は「ラウンドディー」や「デル」「パーシャル」と読み、複数の変数があるときの偏微分を表します。アルファベットのdを筆記体風にくずした形です。

記号を整理したのは、フランスのルジャンドルで1786年のこと、その後ドイツのヤコビが1841年に広めました。普通のdと区別するために、丸みのある∂が使われます。

∇(ナブラ/デル)

∇は「ナブラ」または「デル」と読み、ベクトルの微分などに使う演算子です。△を逆さにしたような三角形の形をしています。

この記号を使い始めたのは、アイルランドのハミルトンです。「ナブラ」という名前は、形が古代の竪琴(たてごと)に似ていることから、その楽器の名前をとって付けられたといわれています。

lim(リミット/極限)

limは「リミット」と読み、極限(限りなく近づく先の値)を表します。「limit(リミット=限界)」の略で、「nを限りなく大きくしたときに近づく値」などを表すときに使います。

∫がsummaのSだと知った日から、積分が少し好きになりました。

図形・その他でよく見る数学記号(∠ ⊥ ∥ π ∞ ∝ ∴ ∵)

最後に、図形やその他の場面で登場する記号をまとめます。円周率πや無限大∞など、数学以外でも目にする有名な記号もここに含まれます。

∠・⊥・∥(角・垂直・平行)

∠は「かく」と読み、角度を表します。⊥は「すいちょく」で2つの直線が直角に交わること、∥は「へいこう」で2つの直線がどこまでも交わらないことを表します。

∽(相似)と≡(合同)

∽は「そうじ(相似)」と読み、形は同じで大きさが違う図形の関係を表します。前に出てきた≡(合同)は、形も大きさもぴったり同じ関係です。「拡大・縮小すれば重なる」のが相似、「そのまま重なる」のが合同です。

π(パイ/円周率)

石畳で作られた円周率πのモザイク

πは「パイ」と読み、円周率(円周の長さが直径の何倍かを表す値、約3.14)を表します。ギリシャ文字のπで、円周を意味するギリシャ語の頭文字に由来します。

この記号を円周率の意味で使い始めたのは、イギリスのウィリアム・ジョーンズで1706年のこと。その後、オイラーが1737年ごろから使って一気に広めたことで、世界の標準になりました。

∞(無限大)

∞は「むげんだい」と読み、限りなく大きい(または小さい)ことを表します。横向きの8のような形で、考案したのはイギリスのジョン・ウォリスです。1655年の著書で使われました。

∝・∴・∵(比例・ゆえに・なぜならば)

残りのよく見る記号も、まとめて押さえておきましょう。

  • ∝(ひれい)… 「比例する」を表します。「y∝x」は「yはxに比例する」という意味です。
  • ∴(ゆえに)… 結論を導くときに「だから」という意味で使います。点が上向きの三角に並びます。
  • ∵(なぜならば)… 理由を述べるときに使い、∴を上下逆にした形です。∴の記号は1659年のラーンの著書ですでに使われていました。

読み間違いに注意したい数学記号

記号の中には、見た目が似ていて取り違えやすいものや、つい間違って読んでしまうものがあります。ここでつまずきやすいポイントを整理しておきましょう。

  • ∂ は「でぃー」ではなく「ラウンドディー(デル)」。普通のdとは別物です。
  • ∇ は「ぎゃくさんかく」ではなく「ナブラ」。△(デルタ)とは役割が違います。
  • ! は「びっくりマーク」ではなく「階乗」。「5!」は120という数を表します。
  • ∈ は「いー」ではなく「ぞくする」。アルファベットのEではありません。
  • ∴ と ∵ は向きで意味が逆。点が上にあるのが「ゆえに」、下にあるのが「なぜならば」です。
  • ≡ は「等しい」ではなく「合同」または「恒等」。=より強い意味を持ちます。
ワンポイント
読み方が一つに決まっていない記号も多いので、「絶対この読みでないと間違い」と気負う必要はありません。意味さえ取り違えなければ大丈夫です。

数学記号の由来・歴史がわかる雑学

黒板に書かれた古い時代の足し算とかけ算の計算

ここまで見てきたように、数学記号の多くは特定の人物が考え出し、便利だったために世界へ広まってきました。記事のおさらいも兼ねて、由来の雑学をまとめます。

=(イコール)は、ロバート・レコードが「2本の平行線ほど等しいものはない」という理由で1557年に考案しました。記号のデザインに、ちゃんと意味が込められているのが面白いところです。

∫(インテグラル)は、合計を表すラテン語「summa」の頭文字sを伸ばしたもの。∞(無限大)はジョン・ウォリスが1655年に使い始めました。πが円周率として広まったのは、ジョーンズとオイラーのおかげです。

+と−は、もともと商品の余りと不足を示す商人の記号だったという説があります。!(階乗)が採用された理由のひとつは「印刷に便利だったから」。∇(ナブラ)は、古代の竪琴の名前が由来です。記号の歴史をたどると、数学者たちの工夫と遊び心が見えてきます。

どの記号にも作った人がいて、広めた人がいる。そう思うと数式が物語に見えてきます。

数学記号クイズ!読み方が分かるかチャレンジ

覚えた記号の読み方を、クイズで確認してみましょう。答えはそれぞれの下に隠してあります。

第1問:「∫」は何と読むでしょう?

答え:インテグラル(積分の記号。summaのsが由来)

第2問:「∑」は何と読むでしょう?

答え:シグマ(総和=合計を表す記号)

第3問:「5!」はいくつになるでしょう?

答え:120(5×4×3×2×1の階乗)

第4問:「∂」の読み方を1つ答えてください。

答え:ラウンドディー(またはデル、パーシャル。偏微分の記号)

第5問:「≧」はどういう意味でしょう?

答え:以上(その数を含んで大きい)

記号を使った数の問題にもチャレンジしたい方は、こちらの記事もおすすめです。

数学記号についてよくある質問(FAQ)

最後に、数学記号についてよく寄せられる疑問にお答えします。

Q. ×と・(中点)は同じ意味ですか?

はい、どちらもかけ算を表します。文字式では、×が文字のxと紛らわしいため、「・」を使ったり記号を省略したりするのが一般的です。

Q. ∑と∫はどう違いますか?

∑(シグマ)はとびとびの数を足し合わせる「総和」、∫(インテグラル)は連続的に変化する量を足し合わせる「積分」です。どちらも「たくさん足す」点は共通していますが、対象が離散的か連続的かが違います。

Q. 「以上・以下」と「未満・より大きい」の記号の違いは?

「以上(≧)」「以下(≦)」はその数を含み、「より大きい(>)」「未満(<)」はその数を含みません。境目の数を含むかどうかが、両者の違いです。

Q. 数学記号はどうやって入力すればいいですか?

パソコンでは、「すうがくきごう」や記号の読み(「るーと」「しぐま」など)で変換すると出ることが多いです。Wordなら「数式」機能、Webならコピー&ペーストが手軽です。

まとめ|数学記号は読み方が分かれば怖くない

数学記号は、数や操作、関係を短く表すための「世界共通の言葉」です。読み方と意味が分かれば、数式は一気に読みやすくなります。

+−×÷や=といった四則の記号には、商人の記号や「平行線」といった意外な由来がありました。

∫や∑、∂、∇のような上級記号も、「summaのs」「総和のシグマ」のように、形と意味がつながっています。由来を知れば、ただの記号の暗記が、ちょっとした物語に変わります。

気になった記号があれば、ぜひ声に出して読んでみてください。読めるようになるだけで、数学との距離はぐっと縮まりますよ。

全部は覚えなくて大丈夫。「読めた」が増えるたび、数式が楽しくなります。