今回は筒井康隆のおすすめ作品について、ランキング形式にて、紹介していきます。
数多くの名作を残している作家のため、どれから読めば良いか分からない方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。
以下、目次となります。
目次
筒井康隆とは?
1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。
1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。
1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。
1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。
1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。2017年、『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。など著書多数。
- 公式twitter: 筒井康隆 (@TsutsuiYasutaka) | Twitter
- Web 日記:笑犬楼大通り 偽文士日碌
小松左京、星新一と並んで「SF御三家」と呼ばれる小説家です。
純文学から前衛的な作品まで、様々なジャンルの小説を発表しており、上記の引用の通り、多くの賞を受賞しています。
筒井康隆のおすすめ本ランキング|1位~10位
1位:七瀬ふたたび
- 発行日:1975年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第7回星雲賞受賞
- 備考 :TVドラマ化・映画化・コミカライズ済
2位で紹介する「時をかける少女」と、どちらを上位にするか迷いましたが、個人的に筒井康隆を知るきっかけとなった本作を上位にあげます。
本作は主人公七瀬の活躍を描いた3部作の2作目となり、他関連作品は以下となります。
- 「家族八景」:七瀬の家政婦時代の話
- 「七瀬ふたたび」:超能力サスペンスが主軸となる話
- 「エディプスの恋人」:上記の後日談
前作とは打って変わって、アクション映画的なスピーディーな展開で、ぐいぐいと読者を惹きつけます。
また、特殊な能力を持つ人の悲哀もしっかりと描けており、エンターテインメント以外の部分でも、きちんと読み応えがありました。
2位:時をかける少女
- 発行日:1967年3月
- 発行元:鶴書房盛光社
- 備考 :映画化、コミカライズなど実績多数
「時かけ」の愛称で親しまれている作品です。
原作よりも、細田守監督によるアニメ映画の方が有名なため、そちらの印象が強い人が多いのではないでしょうか。
主人公芳山和子(よしやまかずこ)は、ある出来事をきっかけとして、タイムリープ能力と、テレポーテーション能力を獲得します。
そして、上記の能力を駆使して、事件の真相に迫ります。
本作は短編であり、本書には他にも「悪夢の真相」や「果てしない多元宇宙」という名編が収録されているため、ぜひそちらもチェックしてみて下さい!
3位:パプリカ
- 発行日:1993年
- 発行元:中央公論新社
- 備考 :今敏監督にてアニメ映画化
精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。
他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。
(引用:筒井康隆 『パプリカ』 | 新潮社)
今敏監督のアニメ映画が大ヒットしたため、そちらで知った人も多いのではないでしょうか。
超一流の研究者と、夢に潜入する探偵という二つの顔を持つ千葉敦子の活躍を描きます。ストーリーはテンポよく進み、前半は読みやすいですが、後半はかなり話が飛躍するため、筒井康隆らしい、濃密な世界観を堪能できます。
「夢の世界」と「現実世界」が交錯し、カオスへと昇華する様を、ぜひあなたの目で確かめて下さい!
4位:旅のラゴス
- 発行日:1986年
- 発行元:徳間書店; 新潮社
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。
集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?
(引用:筒井康隆 『旅のラゴス』 | 新潮社)
筒井康隆著作の中では、王道でかなり読みやすい作品となります。
主人公ラゴスが旅を続ける中で、様々な人との出会い、多くの経験を積む物語です。
SFというよりは、ファンタジーに近い世界観ですが、確かな筆力と構成力で、ラゴスの旅を余すことなく描いています。
奴隷編ではやや残酷な描写が多く、耐性のない方は、注意が必要ですが、それを乗り越えれば、より主人公へ感情移入できるようになるでしょう!
5位:最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1
- 発行日:2002年11月
- 発行元:新潮文庫
- 備考 :「世にも奇妙な物語」にてドラマ化
愛煙家である筒井康隆が、嫌煙運動に対するアンチテーゼの1つとして執筆した短編です。
私も禁煙をしていた時期があり、個人的に好きな短編集の1つだったので、本順位としました。
まるで、魔女狩りのように加熱する喫煙者を排斥する運動について、ブラックユーモアを交えて、鋭く描写しています。
また、他にも「ヤマザキ」、「万延元年のラグビー」、「問題外科」、「傾いた世界」など珠玉の短編が収録されており、どれも面白く、ハズレのない一作です!
6位:残像に口紅を
- 発行日:1989年4月
- 発行元:中央公論
- 備考 :芸人カズレーザーの一押し本
「あ」が消えると、「愛」も「あなた」もなくなった。ひとつ、またひとつと言葉が失われてゆく世界で、執筆し、飲食し、交情する小説家。
究極の実験的長篇。
(引用:残像に口紅を|文庫|中央公論新社)
筒井康隆の語彙力の豊富さが遺憾なく発揮された、実験的小説の大傑作です。
上記引用の通り、物語が進むにつれて、どんどん言葉が消失しますが、それに伴い、文体は柔軟に変化し、まるで壊れかけの機械のように、言葉を紡ぎだします。
終盤は、まるで詩のようなぎこちない文章になりますが、それが逆に愛おしく、切なくなりました。
また、畳み掛けるようなラストの展開や、物語のオチも必見です。
余談ですが、本作はメイプル超合金のカズレーザーもおすすめしており、30年近く前に発売されたにも関わらず、現在でも売れ続けています。
7位:愛のひだりがわ
- 発行日:2002年1月
- 発行元:岩波書店
幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。
母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。
暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく。
(引用:筒井康隆 『愛のひだりがわ』 | 新潮社)
左腕が不自由ですが、犬の言葉が分かる、月本愛を主人公としたジュブナイル小説です。
荒廃した近未来を舞台として、少女は旅を続け、そこで様々な事件と遭遇します。
小・中学生向けに書かれた小説であり、ルビも付けられ、筒井康隆特有の毒々しい表現も、かなりマイルドになっています。
しかし、そのような王道の物語の中にも、しっかりと著者らしさが反映されており、大人が読んでも読みごたえ十分の作品でした!
8位:虚人たち
- 発行日:1981年4月
- 発行元:中央公論社
- 受賞歴:泉鏡花賞受賞
筒井康隆の実験的な小説の中でも、取り分け異彩を放つ一作です。
妻と娘が誘拐された主人公ですが、物語が進行した後、自身が小説の中の存在だと気づき、作者に反抗するというあらすじです。
主人公の1分間が、原稿用紙1枚となるように設計されているため、何と、主人公の意識がない時は白紙のページが続くという、非常に珍しいメタフィクション技法が取られています。
個人的には、もう少し上の順位でも良かったのですが、筒井康隆の小説に慣れていない方にとっては、読みづらい箇所もかなり多いため、本順位としました。
9位:モナドの領域
- 発行日:2015年12月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:毎日芸術賞受賞
河川敷で発見された片腕はバラバラ事件の発端と思われた。
美貌の警部、不穏なベーカリー、老教授の奇矯な振舞い、錯綜する捜査・・・。
だが、事件はあらゆる予見を越え、やがてGODが人類と世界の秘密を語り始める――。
(引用:筒井康隆 『モナドの領域』 | 新潮社)
こちらも、筒井康隆らしい実験小説の一つです。
著者自身「自身の最高傑作」と言うほど熱が籠った作品であり、神(GOD)を裁判にかけるという、難解なテーマを扱っています。
しかし、文体は相変わらず軽快なため、氏の小説に慣れている方であれば、スイスイと読み進めることが出来るでしょう。
また、作中には、様々な仕掛けが仕込まれており、メタフィクション要素も多いため、それらを期待している方も、十分に満足できるはずです。
10位:富豪刑事
- 発行日:1978年
- 発行元:新潮社
- 備考 :TVドラマ、アニメ化済
SF作品で有名な筒井康隆氏ですが、今作のように、ミステリーの分野でも多くの傑作小説を出版しています。
「大富豪が刑事になる」という痛快なプロットの元、個性豊かなキャラクター達と、様々な難事件に挑みます。
他作品とは異なり、エンターテインメント性に富んでおり、トリック自体も良く練られているため、間口の広い作品と言えるでしょう!
また、本作はメディアミックスもされており、深田恭子主演でTVドラマ化もされています。
さらに、2020年にTVアニメ化もされるため、そちらも要チェックです!
筒井康隆のおすすめ本ランキング|11位~19位
11位:わたしのグランパ
- 発行日:1999年
- 発行元:文藝春秋
- 受賞歴:第51回読売文学賞小説賞受賞
- 備考 :石原さとみ主演で映画化
中学生の珠子の前に、とつぜん現れた祖父・謙三はなんと刑務所帰りだった。侠気あふれるグランパは、町の人たちから慕われ、珠子の周囲の問題を次々に解決していく。
巨匠が放つ傑作ジュブナイル!
主人公珠子を取り巻く出来事や、祖父(グランパ)である謙三の家族愛を描いた作品です。
筒井康隆著作の中では、断トツで読みやすく、読者の心の琴線を鳴らす、名作に仕上がっています。
また、本作は石原さとみ主演で映画化もされているため、原作が気に入った方は、そちらもぜひ視聴してみましょう!
12位:ヨッパ谷への降下 自選ファンタジー傑作集
- 発行日:2006年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:川端康成文学賞受賞
筒井康隆が発表した、短編ファンタジー小説を12編集めた作品集です。以下のエピソードにより構成されています。
- 薬菜飯店
- 法子と雲界
- エロチック街道
- 箪笥
- タマゴアゲハのいる里
- 九死虫
- 秒読み
- 北極王
- あのふたり様子が変
- 東京幻視
- 家
- ヨッパ谷への降下(川端康成文学賞受賞)
どれも、筒井康隆特有の癖のある話ばかりでしたが、個人的には、「ヨッパ谷への降下」と「九死虫」が気に入りました。
小説に明確なオチや、分かりやすいプロットを求める方は、本作は向いていませんが、氏の世界観に触れたい方は、ぜひ一読を!
13位:虚航船団
- 発行日:1984年
- 発行元:新潮社
- 備考 :書き下ろし長編
鼬族と文房具の戦闘による世界の終わり――。
宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ驚異の文学、鬼才が放つ、世紀末への戦慄のメッセージ。
(引用:筒井康隆 『虚航船団』 | 新潮社)
宇宙船の乗り組み員は全て文房具という、奇想天外な設定の小説です。
しかも、その文房具船員は、長い航海で皆疲弊し、狂気を抱えています。
また、宇宙船が目指す、流刑地となっている惑星クォールでは、イタチ族が驚異的な
速さで文明を発展させていました。
そして、文房具船が惑星クォールに到着した後、文房具とイタチ達の血みどろの最終戦争が勃発します。
上記のあらすじだけでも、かなり特異な設定であることが分かるはずです。
それだけでなく、本作は時系列が複雑に絡み合いながら物語が進み、史実を基盤としたエピソードも頻出します。
そのため、筒井氏の作品の中でも、取り分け読み手を選びますが、興味ある方は、ぜひチャレンジしてみましょう!
14位:朝のガスパール
- 発行日:1992年8月
- 発行元:朝日新聞社
- 受賞歴:日本SF大賞受賞
- 備考 :読者参加型のメタフィクション小説
コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。
窮地の聡子を救うため、なんと“まぼろしの遊撃隊”がやってきた!
かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。
パソコン通信による書き込みや、投書による読者の要望を取り入れるという、異端の試みを行った、読者参加型の小説です。
現在では、某巨大掲示板で、安価型の物語などが連載されていますが、それをネットがほとんど普及していなかった時代に生み出した、筒井氏の先見性には、驚きを隠せません。
筒井氏の他作品同様、階層化したメタフィクションの世界が舞台となるため、慣れていない方だと物語に入り込むのにやや苦労します。
しかし、他の小説では決して味わえない読書体験ができるため、食わず嫌いせず、ぜひ一度手に取ってみましょう!
15位:夢の木坂分岐点
- 発行日:1987年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第23回谷崎潤一郎賞受賞
サラリーマンか作家か? 夢と虚構と現実を自在に流転し、一人の人間に与えられた、ありうべき幾つもの生を重層的に描いた話題作。
(引用:筒井康隆 『夢の木坂分岐点』 | 新潮社)
虚構と現実が、複雑怪奇に交錯しあう難解な作品です。
その異端性から、読了にはかなりの労力を要しますし、著者の実験的小説に慣れていない方にとっては、ハードルが高い作品と言えます。
しかし、幾重にも重なりあう多次元的な解釈を理解できたのであれば、途端に本書は、他のどんな名著にも勝る傑作へと変化し、極上の読書体験を得ることが出来るでしょう。
16位:ビアンカ・オーバースタディ
- 発行日:2012年8月
- 発行元:星海社
- 備考 :他作家による続編あり
ウニの生殖の研究をする超絶美少女・ビアンカ北町。
彼女の放課後(オーバースタディ)に、ちょっと危険な生物学の実験研究にのめりこむ、生物研究部員。
そんな彼女の前に突然、「未来人」が現れて--!
筒井康隆氏が、なんと77歳の時に書き上げたライトノベルです。
その年齢から新ジャンルへと挑戦する胆力も素晴らしいですが、作品自体も良くまとまっています!
昨今のライトノベルの流れをきちんと取り入れつつも、筒井康隆の持ち味がしっかりと生かされており、往年のファンも満足できる仕上がりです。
また、本作は、新人作家である筒城灯士郎が続編として、「ビアンカ・オーバーステップ」を書いており、そちらの評価も高いため、本作を気に入った方は、ぜひ手に取ってみましょう!
17位:聖痕
- 発行日:2013年5月
- 発行元:新潮社
1973年、5歳の葉月貴夫は性器を切り取られた。
しかし尚も美しく健やかに成長した彼は、周囲の人びとのさまざまな欲望を惹き起こしていく――。
古今の日本語の贅を縦横に駆使し、小説言語の枠を大幅に広げながら、文学史上最も美しい主人公の数奇な人生を追う。
朝日新聞連載中から騒然たる話題を振りまいた問題作刊行。
(引用:筒井康隆 『聖痕』 | 新潮社)
絶世の美貌を持つ主人公貴夫が、幼齢の時に猟奇事件に巻き込まれた後、数奇な人生を歩む物語です。
性欲が無くなった貴夫と、それを取り囲む家族や周囲の愛憎模様を巧みな筆致で描き出します。
難読漢字が頻出する点が本作の特徴ですが、それらには注釈がついており、また日本語の流れも完璧なため、それを読まずとも十分に意味を理解できます
18位:アホの壁
- 発行日:2010年2月
- 発行元:新潮社
タイトルから、ミリオンヒットを記録した、養老孟司の「バカの壁」のパロディに見えますが、その認識は誤りです。
本書は、人が取る「アホな行動や言動」に対して、真正面から分析した名著となります。
どの章も読みごたえがありましたが、中でも第1章の「人はなぜアホなことを言うのか」については、納得する部分も多く、楽しんで読み進めることが出来ました。
19位:老人の美学
- 発行日:2019年10月
- 発行元:新潮社
青年、中年からやがて老年へ。人生百年時代にあっても、「老い」は誰にとっても最初にして最後の道行きなのだ。
自分の居場所を見定めながら、社会の中でどう自らを律すればいいのか。
周囲との付き合い方から、孤独との向き合い方、いつか訪れる最期を意識しての心の構えまで――。
85歳を迎えた巨匠・筒井康隆が書き下ろす、斬新にして痛快、リアルな知恵にあふれた最強の老年論!
(引用:筒井康隆 『老人の美学』 | 新潮社)
著者の作品である、「わたしのグランパ」や「愛のひだりがわ」などを引用して、死生観や生き方をまとめた本です。
筒井康隆らしいユーモアを交えながらも、具体的な解説もしっかりと書かれていました。
正直、私のような若輩者が読むには、少し早く感じましたが、還暦に近く、筒井康隆作品に触れたことがある読者であれば、様々な気付きを得られることでしょう
筒井康隆が好きな方におすすめの他作家の作品!
筒井康隆は、その唯一無二の作家性のため、中々他作家を薦めるのが難しいですが、その中でも個人的におすすめしたい作品を、以下で紹介します。
ハーモニー(伊藤計劃)
- 発行日:2008年12月
- 発行元:早川書房
- 受賞歴:第40回星雲賞および第30回日本SF大賞受賞
- 備考 :劇場アニメ化済
21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。
医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する「ユートピア」。
そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した――。
それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはすの少女の影を見る――。
『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
夭折の天才、伊藤計劃のSF小説です。
前作、「虐殺器官」から続く物語となり、主人公霧慧トァンを軸に物語は進行します
SF小説でよく描かれる、「恐怖」によって管理される世界ではなく、「善意」によって成り立つ、理想的な社会を描写していますが、その「慈愛」がもたらす、閉塞感についても、鮮明に描き出しています。
人々が思い描く、理想郷の先に存在する臨界点について、ある種の答えを提示している傑作なので、SF好きな方はぜひ手に取ってみましょう!
また、本作は映画化もされているため、興味がある方は、ぜひそちらもチェックしてください!
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(村上春樹)
- 発行日:1985年6月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第21回谷崎潤一郎賞受賞
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。
老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。
静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
村上春樹が送る、傑作サイエンスフィクション小説です。
2つの世界の話が交互に語られる、変わった切り口の物語であり、断片的なエピソードが最後に一気に繋がるさまは圧巻です!
もちろん、筒井康隆のような、実験的な趣や、特異な中毒性はありませんが、村上春樹の作品には、それとはまた異なった常習性があります。
そのため、未読の方は、ぜひ一読し、その「味」を確かめてみて下さい!
また、村上春樹の作品については、以下でもおすすめを紹介しているため、そちらも合わせて参考にして頂ければ幸いです。
まとめ
筒井康隆のおすすめ作品について、詳細にまとめていきました。
実験的な小説が多い作者ですが、それ以外にも万人向けの作品も多く発表しています。
この中に一つでも、気になる作品が見つかったのであれば、これ以上嬉しいことはありません。
まだまだ氏の名作は多いため、追加で読んだ際に、本エントリーに追記していきます!
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