和風月名と月の異名一覧!睦月〜師走 12ヶ月の読み方と由来を諸説つきで解説

カレンダーや手帳のすみに、小さく「睦月」「如月」「弥生」と書かれているのを見たことはありませんか。天気予報で「水無月の候」と耳にしたり、年末になると誰もが「師走で忙しい」と口にしたりします。これらは和風月名(わふうげつめい)と呼ばれる、旧暦時代に使われていた月の和風の呼び名です。

響きは美しいけれど、いざ「なぜ6月が水無月なの?梅雨で水だらけなのに」「神無月って神様がいない月?」と聞かれると、案外うまく答えられないものです。じつは1つ1つの名前に、田植えや季節の移ろい、昔の人の暮らしが詰まっています。

この記事では、1月の睦月から12月の師走まで12か月の和風月名の読み方と由来を、有力な説から面白い俗説まで諸説そろえて解説します。あわせて、各月がもつ月の異名(別名・異称)も由来つきで紹介します。読み終わるころには、カレンダーの片隅の文字がぐっと味わい深く見えるはずです。

私も昔は「水無月=水が無い月」だと信じていました。じつは正反対の意味だと知ったときは、かなり驚きましたよ。

和風月名とは?読み方と旧暦の基礎知識

富士山と日本の風景。和風月名は四季の移ろいを映した月の呼び名

和風月名とは、旧暦(太陰太陽暦)で使われていた、1月から12月までの和風の呼び名のことです。睦月・如月・弥生といった呼び名は、その月の季節や行事、農作業の様子をもとに名づけられました。

日本では明治5年(1872年)まで旧暦を使っていましたが、明治6年から現在の新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)に切り替わりました。和風月名はこの改暦のあとも、季節を表す言葉として手紙や俳句、カレンダーなどに残り続けています。

ここで大事なのが、旧暦と新暦には約1〜2か月のズレがあるという点です。旧暦の月名は当時の季節感に合わせて付けられているので、新暦のいまの感覚で読むと「なぜこの名前?」と感じる月が出てきます。このズレを頭に入れておくと、由来がすんなり理解できます。

まずは12か月の和風月名を一覧で確認しましょう。読み方と、旧暦での季節区分もあわせて示します。

和風月名 読み方 旧暦の季節
1月 睦月 むつき
2月 如月 きさらぎ
3月 弥生 やよい
4月 卯月 うづき
5月 皐月 さつき
6月 水無月 みなづき
7月 文月 ふみづき・ふづき
8月 葉月 はづき
9月 長月 ながつき
10月 神無月 かんなづき
11月 霜月 しもつき
12月 師走 しわす

旧暦では1〜3月が春、4〜6月が夏、7〜9月が秋、10〜12月が冬とされていました。新暦の感覚より季節が1つ前倒しになっている点に注目してください。それでは、季節ごとに各月の由来を見ていきましょう。

春の和風月名|睦月・如月・弥生の意味と由来

満開の八重桜。3月の弥生は桜月という異名でも呼ばれる

旧暦の春は1月・2月・3月です。新暦ではおおむね2月〜4月ごろにあたり、寒さの底から少しずつ春めいていく時期です。新年の祝い、寒さのぶり返し、草木の芽吹きが、それぞれの名前に映し出されています。

睦月(むつき)|1月

もっとも有力なのは、「睦び月(むつびつき)」が縮まったという説です。お正月に家族や親類が集まり、おたがいに仲良く親しみ合う(睦む)月であることから名づけられたとされます。「睦」という字には、仲むつまじい・親しくするという意味があります。

このほか、一年の「もと(元)」となる最初の月だから「元つ月(もとつつき)」が転じたとする説や、稲の実を初めて水に浸す「実月(むつき)」が語源とする説もあります。いずれも、新しい年のはじまりにふさわしい温かみのある由来です。

如月(きさらぎ)|2月

旧暦2月は新暦の3月ごろにあたりますが、まだ寒さがぶり返す時期です。そこで、寒さのために一度脱いだ衣をさらに重ねて着る「衣更着(きさらぎ)」が語源、というのが広く知られた説です。

一方で、春に向けて陽気が更にやってくる「気更来(きさらぎ)」、草木が生えはじめる「生更木(きさらぎ)」とする説もあります。「如月」という漢字自体は中国で2月を指す言葉から借りたもので、読みの「きさらぎ」とは由来が別という点も面白いところです。

弥生(やよい)|3月

弥生は「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」が縮まったものとされます。「弥(いや)」は「いよいよ・ますます」、「生ひ(おい)」は「生い茂る」という意味で、草木がいよいよ生い茂る月、という情景がそのまま名前になっています。

旧暦3月は新暦の4月ごろ、まさに桜の季節です。そのため弥生には「桜月(さくらづき)」「花見月(はなみづき)」といった華やかな異名も多く付けられています。

睦月・如月・弥生は、新年の団らんから草木の芽吹きへ。春の3か月だけで、冬の名残から本格的な春への移ろいがきれいに描かれていますね。

夏の和風月名|卯月・皐月・水無月の由来と「水の無い月」の謎

水田に並ぶ早苗。5月の皐月は早苗を植える早苗月が語源

旧暦の夏は4月・5月・6月です。新暦ではおよそ5月〜7月にあたり、田植えという一年で最も大切な農作業が行われる季節でした。そのため、この3か月の由来には稲作にまつわる説が多く見られます。

卯月(うづき)|4月

有力なのは、白い花を咲かせる卯の花(ウツギの花)が咲く「卯の花月」が略されたという説です。旧暦4月はちょうどウツギの花の季節にあたります。

ほかにも、稲を植える「植月(うづき)」が語源とする説、十二支の4番目が「卯(う)」であることに由来するという説もあります。十二支は方角や時刻、暦と深く結びついており、月名にもその影響が見られるのは興味深いところです。

十二支そのものの順番や由来が気になった方は、以下の記事もあわせてどうぞ。

皐月(さつき)|5月

皐月は、早苗を植える月「早苗月(さなえづき)」が略されて「さつき」になったという説が有力です。「早乙女」「早苗」の「さ」は、田植えや耕作を表す古い言葉だとされています。

「皐」という漢字には、神に捧げる稲という意味があるともいわれます。梅雨どきに降る長雨を「五月雨(さみだれ)」、その時期の晴れ間を「五月晴れ(さつきばれ)」と呼ぶのも、この皐月から来ています。

水無月(みなづき)|6月

「梅雨で水だらけの6月が、なぜ水が無い月なの?」と多くの人がつまずくのが、この水無月です。じつは、ここに大きな勘違いのもとがあります。

ここがポイント
水無月の「無(な)」は「無い」ではなく、「〜の」を意味する連体助詞です。つまり水無月は「水の無い月」ではなく、本来は「水の月」という意味になります。神無月の「無」も同じ用法です。

有力なのは、田に水を引く時期であることから「水の月」とする説です。田植えのために田へ水を張る「水張月(みずはりづき)」が転じたとする説も、これと近い考え方です。

また、田植えという一大仕事を皆が仕終えた「皆仕尽(みなしつき)」が語源という説もあります。一方で、梅雨が明けて日照りが続き、文字どおり水が涸れる「水の無い月」という説も、現代の私たちには分かりやすいため広まりました。これは漢字に当てた後付けの解釈とみられています。

「無」が「の」を表すなんて、言われないと気づけませんよね。水無月=水の月、神無月=神の月。この2つはセットで覚えておくと忘れません。

秋の和風月名|文月・葉月・長月の読み方と由来

寺院を彩る紅葉。9月の長月は紅葉月という異名でも呼ばれる

旧暦の秋は7月・8月・9月です。新暦ではおよそ8月〜10月にあたり、七夕や月見、紅葉、そして実りの収穫が重なる、もっとも風情ゆたかな季節です。

文月(ふみづき・ふづき)|7月

有力なのは、七夕にちなんだ説です。短冊に歌や願いを書き、書物を開いて夜気にさらす行事から、「文披月(ふみひらきづき)」が縮まって文月になったとされます。

もう一つ、稲の穂が膨らんで実りはじめる「穂含月(ほふみづき)」「含み月」が語源とする説もあります。七夕の風雅さと、稲作の実りの両方が候補になっているのが、いかにも日本らしい月名です。

葉月(はづき)|8月

旧暦8月は新暦の9〜10月にあたり、秋の盛りです。そのため、木の葉が落ちる「葉落ち月(はおちづき)」が縮まったという説が有力とされています。「8月なのに葉が落ちる?」と感じますが、旧暦と新暦のズレを踏まえると納得できます。

このほか、雁(がん)が初めて飛来する「初来月(はつきづき)」、稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」とする説もあります。

長月(ながつき)|9月

もっとも知られているのは、秋の夜が長くなる「夜長月(よながつき)」が略されたという説です。旧暦9月は新暦の10〜11月ごろで、たしかに日が短く、夜が長く感じられる時期です。

ほかにも、長雨が続く「長雨月(ながめつき)」、稲刈りの季節であることから「稲刈月(いねかりづき)」が転じたとする説もあります。重陽の節句にちなんで「菊月(きくづき)」とも呼ばれます。

冬の和風月名|神無月・霜月・師走と「神の留守」の俗説

出雲大社。神無月には全国の神々が出雲に集まるとされる

旧暦の冬は10月・11月・12月です。新暦ではおよそ11月〜翌1月にあたります。神々の集い、霜のおとずれ、一年の締めくくりが、それぞれの名前に表れています。

神無月(かんなづき)|10月

もっとも有名なのは、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲大社に集まり、各地の神様が留守になるから「神無月」、という説です。逆に神々が集まる出雲地方では、この月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。

ただし、これは中世以降に広まった俗説とされています。学術的には、水無月と同じく「無」は連体助詞の「の」であり、神を祭る月という意味の「神の月」が本来の由来とする見方が有力です。

このほか、雷が鳴らなくなる「雷無月(かみなしづき)」、新米で酒を醸す「醸成月(かみなんづき)」を語源とする説もあります。出雲の「神在月」という呼び方が各地に伝わるなかで、「神様が留守になる月」という物語が定着していったと考えられています。

霜月(しもつき)|11月

霜月は、文字どおり霜が降りはじめる月「霜降り月(しもふりつき)」が略されたという説が有力です。旧暦11月は新暦の12月ごろで、朝晩の冷え込みが厳しくなる時期にあたります。

このほか、収穫物を意味する「食物月(おしものつき)」、各地で霜月神楽が舞われることから「神楽月(かぐらづき)」とする説もあります。

師走(しわす)|12月

もっとも親しまれているのは、年末になると僧(師)がお経をあげるために東西へ走り回る「師馳す(しはす)」から、というものです。「師匠も走るほど忙しい月」というイメージで広く知られています。

ただしこちらも、漢字は後から当てたものとみられています。学術的には、一年が果てる「年果つ(としはつ)」「為果つ(しはつ)」「四極(しはつ)」などが語源とされ、「師走」はその音に当てた当て字という見方が有力です。意味から作られた名前というより、響きに漢字を当てたパターンですね。

神無月の「神様が出雲に集合」説も、師走の「お坊さんが走る」説も、じつは後付けの可能性が高いんです。でも、物語として魅力的だからこそ語り継がれてきたのでしょうね。

月の異名一覧|各月の別名・異称を由来つきで紹介

じつは和風月名のほかにも、各月には数多くの「異名(別名・異称)」があります。その数は全部で数百種類にのぼるといわれ、桜・菊・雪といった季節の風物や、行事、農作業にちなんで生まれました。ここでは各月の代表的な異名を、由来とともに季節ごとに紹介します。

まずは春(1〜3月)の異名です。

主な異名(読み) 由来・意味
1月 睦月 初春月(はつはるづき)/太郎月(たろうづき) 一年の最初の月であることから。太郎月は「長男格の月」の意
2月 如月 梅見月(うめみづき)/雪消月(ゆきげづき) 梅が咲き、雪が消えはじめる時期であることから
3月 弥生 桜月(さくらづき)/夢見月(ゆめみづき) 桜の季節。桜の別名「夢見草」から夢見月とも

続いて夏(4〜6月)の異名です。

主な異名(読み) 由来・意味
4月 卯月 花残月(はなのこりづき)/夏初月(なつはづき) 桜の名残が惜しまれる時期。夏のはじまりでもあることから
5月 皐月 早苗月(さなえづき)/菖蒲月(あやめづき) 早苗を植え、菖蒲が咲く時期であることから
6月 水無月 風待月(かぜまちづき)/蝉羽月(せみのはづき) 涼風を待ち、蝉の羽のように薄い衣をまとう時期であることから

秋(7〜9月)の異名は、行事や月見にちなんだものが目立ちます。

主な異名(読み) 由来・意味
7月 文月 七夕月(たなばたづき)/愛逢月(めであいづき) 七夕の行事から。織姫と彦星が逢う月という意の愛逢月も
8月 葉月 月見月(つきみづき)/雁来月(かりくづき) 中秋の名月の月見、雁が飛来する時期であることから
9月 長月 菊月(きくづき)/紅葉月(もみじづき) 重陽の節句で菊を愛で、紅葉が色づく時期であることから

冬(10〜12月)の異名には、出雲の神在月のように物語性のあるものが含まれます。

主な異名(読み) 由来・意味
10月 神無月 神在月(かみありづき)/時雨月(しぐれづき) 出雲では神が集うため神在月。時雨が降りはじめる時期でもある
11月 霜月 雪待月(ゆきまちづき)/神楽月(かぐらづき) 初雪を待ち、各地で神楽が舞われる時期であることから
12月 師走 極月(ごくげつ)/春待月(はるまちづき) 一年の極まる月。一方で次の春を待つ月という前向きな異名も

同じ月でも、寒さに注目すれば「雪待月」、次の季節を見れば「春待月」と、見る角度で名前が変わります。昔の人が季節をどれほど細やかに感じ取っていたかが伝わってきますね。

和風月名と新暦のズレ|旧暦の季節感を読み解くコツ

ここまで何度も出てきた「旧暦と新暦のズレ」を、あらためて整理しておきましょう。和風月名の由来を理解するうえで、いちばん大切なポイントです。

旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦に、季節を合わせるための調整(閏月)を加えた太陰太陽暦です。そのため、旧暦の日付は新暦よりおおむね1か月から1か月半ほど遅れて進みます。旧暦の1月1日は、新暦ではだいたい1月下旬から2月中旬ごろにあたります。

このズレを知っていると、「葉月(8月)に葉が落ちる」「文月(7月)が秋の区分」といった一見おかしな点が、すっきり理解できます。旧暦の月名は、当時の体感の季節に合わせて付けられているのです。

Tips
和風月名を新暦の感覚で読むときは、頭の中で「およそ1か月後ろにずらす」と季節感が合います。たとえば「水無月(6月)」を真夏の入り口、「神無月(10月)」を晩秋から初冬とイメージすると、由来がしっくりきます。

和風月名の覚え方|語呂合わせと暗記のコツ

12か月の和風月名を順番に覚えるには、いくつかコツがあります。まずは声に出してリズムで覚える方法です。「むつき・きさらぎ・やよい・うづき・さつき・みなづき・ふみづき・はづき・ながつき・かんなづき・しもつき・しわす」と、五七調のように区切って唱えると、意外とすんなり頭に入ります。

意味とセットで覚えるのも効果的です。「睦む正月、衣を更に着る2月、草木が生いる3月……」と、由来をひとことずつ結びつけていくと、ただの丸暗記より忘れにくくなります。

季節の節目で覚える方法もあります。春の睦月・如月・弥生、夏の卯月・皐月・水無月、というように3か月ずつグループにすると、12個でも整理しやすくなります。学校のテストや教養として覚えたいときは、自分に合った方法を選んでみてください。

現代に残る和風月名|師走・神無月・卯月の使われ方

新暦に切り替わって150年以上たったいまも、和風月名はさまざまな場面で生き続けています。もっとも身近なのは、年末を表す「師走」でしょう。「師走の忙しさ」という言い方は、今でもごく自然に使われています。

女性の名前としても親しまれており、5月生まれにちなんだ「さつき(皐月)」、3月の「弥生」などは人気の名前です。手紙の冒頭で季節を表す「時候の挨拶」にも、「水無月の候」「神無月のみぎり」といった形で和風月名が使われます。

また、俳句や短歌では季語として今も現役です。スポーツの世界では、大相撲の5月場所を「五月場所」と呼ぶなど、和風月名にゆかりのある表現が各所に残っています。何気なく使っている言葉の背景に、旧暦の季節感が息づいているのです。

「師走」だけでなく、人の名前や時候の挨拶にもしっかり残っているんですよね。意味を知ったうえで使うと、言葉選びがちょっと豊かになる気がします。

まとめ|和風月名と月の異名で季節の言葉を楽しむ

和風月名は、旧暦時代の季節や暮らしを映した、12か月の美しい呼び名です。睦月の団らん、皐月の田植え、長月の夜長、師走の慌ただしさ。どれも昔の人の生活実感から生まれています。

由来には有力な説のほかに、いくつもの異説や俗説があります。水無月や神無月の「無」が「の」を表すこと、師走や神無月の物語が後付けの可能性が高いことなど、知ってみると奥が深い世界です。

さらに各月には、桜月・夢見月・雪待月といった数多くの異名があります。同じ一年でも、見る角度によってこれほど多彩な名前が生まれる。そこに日本語と季節感の豊かさが詰まっています。

カレンダーの片隅に和風月名を見つけたら、ぜひその月の由来を思い出してみてください。きのうまで何気なく過ぎていた一か月が、少しだけ味わい深く感じられるはずです。

次にカレンダーをめくるときが、ちょっと楽しみになりませんか。今月の異名は何だろう、と探してみるのもおすすめですよ。