CCENTの詳細と勉強方法について、現役ネットワークエンジニアが語る!

はい、ウマキです。

今回はネットワーク機器、世界最大手のCisco社の資格である、CCENT(ICND1)について、その詳細や取得方法について詳細に説明します。

私はCCENTについては、未受験であり、ICND1とICND2の両範囲が含まれる、CCNAを一発受験し、資格を取得しました。

基本的にCCNA資格取得を考えている方は、ICND1とICND2を分けて受験するのではなく、CCNAの一発受験の方が難易度も容易で、合格しやすいです。

【2017/08/29 追記】

しかし、営業や大学生の方で、詳細な知識は必要なく、単純にNW関連のエントリー資格を、取得したいと考えている方にとっては、CCENTのみの受験も考えられるでしょう。

基本的な勉強方法はCCNAと特に変わりないですが、本資格の取得を考えている方は、ネットワークについては初学者で、おそらく勉強方法について、全く分からない状態であると思うため、以下、なるべく詳しく記載します。

少しでも参考になれば幸いです。

CCENTとは

NW機器の世界最大手企業Cisco社が提供する資格試験です。Cisco Certified Entry Networking Technician の略称で、取得する事で、ネットワーク関連技術の基本的な技能を備えている事が証明されます。小規模で簡易的なネットワークの構築技術を有していると認定されます。

試験範囲としては、2017年現在では『100-105J ICND1 v3.0』が該当し、レイヤ1~3までの、ルーティングや、スイッチングなどの初歩的な知識が問われます。

また、『200-105J ICND2 v3.0』も合わせて取得することにより、『CCNA Routing and Switching』が認定されます。

CCNETの試験について

Cisco社の公式サイトでは、CCNET(ICND1)の試験範囲が公表されています。以下簡単にまとめますが、詳細については公式サイトをご確認下さい。

試験時間については90分、問題数は45~55問です。また最近の傾向として、IPv6の問題は必ず出題されるようです。

※引用:100-105J ICND1 – Cisco

ネットワークの基礎

配点は20%です。出題範囲としては、以下の分野が挙げられます。

  1. OSI参照モデル、TCP/IPモデル
  2. TCPプロトコル、UDPプロトコル
  3. 2進数、16進数
  4. IPv4アドレッシング、及びサブネット、IPv6関連知識
  5. レイヤを跨ぐ装置を繋ぐ、ケーブルタイプの選択

この他にもネットワークトポロジー関連の問題や、トラブルシュート関連の問題も出題されます。ネットワークエンジニアを目指すのであれば、非常に基本的な知識となり、業務でも、もちろん使います。

サブネッティングやプライベートアドレス、グローバルアドレスについては、重要な知識である為、暗記するだけで無く、内容をしっかりと理解しましょう。

LANスイッチングの基礎

配点は26%です。 スイッチングの関連知識について問われます。

  1. スイッチングの基本的概念
  2. スイッチ間接続(VLAN、アクセスポート、トランクポートなど)
  3. インターフェース間のトラブルシューティング(コリジョンなど)
  4. ポートセキュリティ関連知識

VLAN関連の知識は通常業務でも頻出するため、是非押さえておきたい分野です。出題される問題は、スイッチの動作の基本的な事項に留まる為、必ず覚えておきましょう

ルーティングの基礎

配点は25%となります。ルーティングの関連知識について問われます。

  1. ルーティングの基本的概念
  2. ルーティングテーブルの理解(AD値、メトリックなど)
  3. スタティックルーティング及びダイナミックルーティングの理解
  4. トラブルシューティング(RIPv2関連、VLAN間ルーティングなど)

スタティックルートや冗長化時に必要な、フローティングスタティック関連の知識や、RIPを用いたダイナミックルーティングも出題されます。

BGPなど、企業で汎用的に使われているルーティングプロトコルは出題されませんが、ダイナミックルーティングの基本的な知識を習得するためにも、しっかりと勉強しておきましょう。

インフラストラクチャ サービス

配点は15%となります。DNS、DHCP、ACLなどNW構築に欠かせない知識を問われます。詳細な出題範囲については以下になります。

  1. DNS に関する関連知識及びトラブルシューティング
  2. DHCP の設定及びトラブルシューティング
  3. IPv4標準ACL及び名前付きACLの設定
  4. NAT及びPATの設定、確認、トラブルシューティング

ACLについては、標準と名前付きのみ出題されます。本範囲で出題される、殆どの要素が企業のネットワークを作る時に必須となります。

インフラストラクチャの運用

配点は14%となります。出題範囲概要は以下になります。

  1. デバイスの設定、確認、トラブルシューティング(CDPなど)
  2. デバイス ハードニングの設定、確認、トラブルシューティング

また、Cisco IOSを使用したトラブルシューティング問題も出題され、レイヤの低い順からトラブル原因を探るなど、実際のトラブルシュートと近い知識も問われます。

受験方法

本試験については、テストセンター形式にて受験します。事前に予約をし、最寄りのテストセンター会場にて受験します。試験当日は、メモ用紙が渡され、PCが並んだ部屋に通され、試験に臨みます。

私の受験した会場では、ヘッドフォンも用意されており、周りの騒音が気になる方は、それを装着することが許されていました。

受験料について

CCENT(ICND1)の受験料は、2017年2月頃に値上げが行われ、19,800円(税抜)となっております。

非常に高額な値段ではありますが、NW関連機器については、Cisco機器を導入している企業が多く、業界内ではデファクトスタンダードになっている為、このような横暴な価格設定が罷り通っています。

実際に私が業務で担当している企業も、ルーターやスイッチに関しては、Cisco機器を導入している企業が多いです。資格商法と揶揄されていますが、ネットワークエンジニアにとっては、技術力の証明の為、仕方のない出費と言えるでしょう。

受験予約方法

ピアソンVUE*1公認のテストセンターとして実施されます。

その為、まずピアソンVUEのアカウントを作成し、そこから試験予約を実施します。以下のリンクに詳細な予約方法の記載がある為、参考にして下さい。

オンライン試験については、650 または 700 から始まる試験コードのCisco試験のみ対応の為、CCENT(ICDN1)については対象外です。

CCENTの勉強方法

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本項では、CCENT短期合格のための勉強方法を教えます。基本的にCCNAと勉強方法は同様ですが、多少異なる点もある為、以下解説します。

必要教材

CCNAと同様、基本的に資格取得に必要な情報は、全てネット上にある為、参考書の購入は不要です。よく、無駄に分厚い問題集を薦めているサイトがありますが、持ち運びにくく、資格取得後使用する事もほとんどない為、無駄な出費となります。

以下のどちらかのサイトに登録し、ひたすら問題を解き続けましょう。

どちらもネットワークエンジニア向けの学習サイトとなります。CCNA受験であれば、CramMedia(クラムメディア)をおすすめしますが、CCENTのみ取得予定であれば、ICND1の範囲がすべて無料で受講できるPing-tがおすすめです。

私はCCNA受験時、どちらのサイトも試しましたが、問題の的中率に取り上げて大きな違いはありませんでした。(CramMedia(クラムメディア)の方が、やや的中率が高かった印象です。)

問題数については、CramMedia(クラムメディア)の方が厳選されており、少ない暗記で試験に臨むことが出来ますが、有料の為、その点は注意してください。

私のように、参考書なしで、サイトの問題を回答するだけで、合格している方はたくさんいるため、他の事例を知りたい方は、以下どちらかのサイトに飛び、合格体験記を読んでみましょう。

勉強方法

今回はPing-tを用いた勉強方法について記載します。ルーティングやスイッチングなど、仕組みを理解する事も重要ですが、それ以上に覚える項目が多い為、まずは、暗記を頑張りましょう。

最強WEB問題集を9割以上金にする

上記サイトに登録すると、ICDN1の範囲であれば、無料にて問題を解くことが出来ます。まずは、『分野別モード』で、それぞれの単元を選択し、問題を解いていきましょう。

分からなかった問題については、解答を良く読み、内容について理解を深める事をおすすめします。回答文及び選択肢の丸暗記は厳禁です。3回連続で正答すると金マークはつくため、9割以上の問題で金マークがつくように反復練習を行います。

私は間違えた問題については、暗記ポイントを大学ノートにまとめました。また、Ping-tの解説のみでは理解できなかった事柄については、ネットで調べ、それも同様に纏めました。

更に、通勤時間などの隙間時間に、スマホにて学習を進めるなど、なるべく効率化を図って勉強するように心掛けていました。

模擬試験モード

分野別モードが完了した後、模擬試験モードを実施します。ランダムでICND1範囲の問題が出題され、時間内に回答するテストとなります。

こちらも正答率は9割以上を目指しましょう。3回ほど繰り返し、正答率がすべて9割以上であれば、暗記については十分と言えます。可能な限り、本番試験と同様の心持ちで、集中力を持って挑みましょう。

シナリオ問題対策

showコマンドを用いて問題点を把握し、回答を選ぶ問題です。Ping-tでは、showコマンドの結果が表示された状態で回答するため、自身でshowコマンドを打ち込む事はありませんが、実際の試験では、機器を選択し、コマンドを自分で打ち込む必要があります。

最低でも以下のコマンドは、瞬時に打てるようにし、その出力結果も併せて把握しましょう。

  • show run
  • show ip interface brief
  • show ip dhcp pool
  • show access-lists
  • show ntp status

シミュレーション問題はバグも多いようで、受け付けていないコマンドもあり、意外な挙動を見せる場合もあるため、注意しましょう。

可能であれば、中古でも良いので、上記のような実機(C1812など)を購入し、showコマンドを叩いてみることが、機器の理解にも繋がりますが、CCENT(ICND1)のみ受験であれば、わざわざ購入する理由は薄いかと思います。

資格取得のためのお役立ちサイト

本項では、追加で資格取得のために役立つサイトを紹介します。ネットワークエンジニアの通常業務でも役立つサイトなので、参考にして頂ければ幸いです。

CCENTの勉強で詰まったら【teratail】で質問してみる

エンジニアの転職サイトでお馴染みのレバレジーズ株式会社が提供する、エンジニア特化型のQ&Aサイトがteratailです。

評価機能なども搭載されており、1日に100個程度の質問が投稿される中、その9割程度に回答が付くなど、高い回答率を誇ります。CCENTの勉強中、どうしても理解できない事があれば、一度質問を投げてみて下さい。

プログラミングなどの、上位レイヤの質問が多いですが、ネットワーク系の有識者もおり、そちらについても少しずつですが回答が増えている状態です。逆に誰かの質問に答える事で、自身のスキルアップも図れるため、是非試してみましょう!

より詳細については、以下公式サイトを参照頂けますと幸いです。

合格のコツ

本項目については、合格の為のコツを記載します。暗記がしっかりできている事前提ですが、参考にして頂けると幸いです。

時間配分を考える

試験時間は90分となります。一度問題を飛ばして、他問題を回答してから戻るという、再回答が出来ない仕組みになっている為、時間配分は事前に決めておきましょう。

2問程度出題されるシナリオ問題に、15分ずつ割り当てる場合、予備時間を10分と考えると、残り50分となり、他選択肢の問題については、1問約1分ペースで回答しなければなりません。

模擬試験を実施する際には、片手にタイマーを置き、ペース配分を気にしながら回答する癖をつけましょう。

計算問題を素早く解答する

2進数、16進数、またサブネットマスクの問題など、計算問題が出題されますが、それらについては、淀みなく素早く回答出来るよう準備しておきましょう。

特に、本試験は上述したように、時間との勝負になります。計算ミス等で時間を割くわけにはいかない為、短時間で正しい答えが導けるように、何度も反復練習を行いましょう。

また、私の場合、サブネット計算で使う数字については、事前に暗記しておき、試験開始直後に、配布された紙に書くなどして、少しでも計算を楽に、早くするよう工夫しました。

混乱した場合、深呼吸をする

試験はランダムで出題されます。そのため、運が悪いと、1問目からシミュレーション問題が出題されて、パニックに陥ることもあります。

本試験の一番の敵は、混乱する事にあります。Cisco語と揶揄される独特な日本語表現も、それに拍車をかけるため、問題の意味が分からなくなったら、まずは深呼吸するよう、心がけて下さい。

慌てて解くよりも、集中力が上がり、正答率が高まります。緊張を感じたのであれば、目を閉じ、深く息を吸いましょう。

CCNAの取得を考えている場合

記事冒頭でも説明しましたが、CCNAの取得を考え、まずはCCENT(ICND1)の受験を考えている方は、一度考慮しなおすことをおすすめします。

ICND1、ICND2どちらも受験する場合、CCNAのみの試験対策に比べ、非常に詳細な部分まで勉強しなければいけなくなります。

CCENT(ICND1)のみを受験する場合のメリットは、以下2点になります。

  1. Ping-tにて、無料で試験範囲を勉強することが可能。
  2. テストセンターの雰囲気や、Cisco語と呼ばれる、独特の日本語の言い回しに触れることで、環境に慣れることが出来る。

上記のメリットについて、大きく魅力を感じる方、もしくはICND2の受験を考えていない方であれば、CCENT(ICND1)の受験をしてみても良いかもしれません。

またネットワークエンジニアへの転職を考えている方であれば、最低でもCCNPまでは取得する事をおすすめします。CCENTの資格のみでは、エンジニアとして転職市場では、ほとんど評価されることがない為、その点は注意してください。

まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございました。

Ciscoの資格試験については、随時修正が行われている為、本エントリーについても、本業の合間になりますが、少しずつ追記していく予定です。

私自身、CCNPまで取得が完了していますが、やはり重要な事は、暗記です。短期間で頭にたたき込むことが合格の一番の近道だと考えています。

また、もう少し時間をかけて勉強したい方であれば、GNSなどの仮想環境でも良いので、実際に簡易的なNWを構築してみて、コマンドを打ち込んでみましょう。

理解がより深まり、NW構築の楽しさも分かるはずです。

受験料が高い為、必ず一度で合格できるよう、十分に準備して臨むことをおすすめします。

あなたの早期CCENTの合格を祈っています。

他、Cisco関連資格のエントリーについてはこちら!

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ウマキ

*1:主要なIT系資格試験をはじめ、金融、保険、医療、人事採用等、プロフェッショナル資格試験を世界175か国で配信する、CBT試験運営のリーディングカンパニー