人間は人生のおよそ3分の1を眠って過ごすといわれます。では、動物たちはいったいどれくらい眠っているのでしょうか。
1日に20時間以上も眠るコアラのような大寝坊もいれば、合計しても1日30分ほどしか眠らないキリンのような超ショートスリーパーもいます。その差はなんと40倍以上。睡眠時間のちがいには、食べ物・体の大きさ・天敵の有無といった、生き残るための切実な理由が隠れています。
この記事では、よく寝る動物から、ほとんど寝ない動物、さらには立ったまま眠る・片目だけ眠るといった面白い寝方の動物まで、全32種を睡眠時間のデータと理由つきでランキング形式に紹介します。読み終わるころには、動物の睡眠が「ただ寝ているだけ」ではなく、進化の知恵のかたまりだとわかるはずです。

目次
よく寝る動物の睡眠時間ランキング早見表【32種一覧】
まずは全32種の睡眠時間を、長い順にまとめた早見表です。数値は研究や飼育・野生の条件によって幅があるため、目安としてご覧ください。各動物の「なぜその睡眠時間なのか」は、このあとの本文でくわしく解説します。
| 動物 | 1日の睡眠時間の目安 | タイプ |
|---|---|---|
| コアラ | 20〜22時間 | よく寝る |
| コウモリ | 約19〜20時間 | よく寝る |
| オオアルマジロ | 約18時間 | よく寝る |
| フクロネズミ(オポッサム) | 約18時間 | よく寝る |
| ハリネズミ | 約18時間 | よく寝る |
| ナマケモノ | 野生10時間/飼育15〜20時間 | よく寝る |
| トラ | 約15〜16時間 | よく寝る |
| キツネザル | 約16時間 | よく寝る |
| リス | 約14〜15時間 | よく寝る |
| ハムスター | 約14時間 | よく寝る |
| ライオン | 約13〜20時間 | よく寝る |
| ネコ | 約12〜16時間 | よく寝る |
| イヌ | 約10〜13時間 | ふつう |
| カモノハシ | 約14時間(うちレム睡眠が長い) | 面白い寝方 |
| ヒツジ・ヤギ | 約4〜5時間 | あまり寝ない |
| ウシ | 約4時間 | あまり寝ない |
| ウマ・ロバ | 約3時間(立ったまま) | あまり寝ない |
| ゾウアザラシ | 約2時間(潜水中) | 面白い寝方 |
| アフリカゾウ | 野生で約2時間 | あまり寝ない |
| キリン | 合計約30分〜2時間 | あまり寝ない |
| ヒゲペンギン | 4秒×約1万回で計11時間 | 面白い寝方 |
| マッコウクジラ ほか | 特殊(本文参照) | 面白い寝方 |
よく寝る動物ランキング:睡眠時間が長い動物13選

ここからは、とくに睡眠時間が長い「よく寝る動物」を13種、ランキング順に紹介します。共通点は、栄養の乏しいものを食べていてエネルギーを節約したい動物か、安全な巣を持っていて長く眠っても危険が少ない動物だということです。
1. コアラ|1日20〜22時間で動物界トップクラス
よく寝る動物の代名詞といえばコアラです。1日のうち20〜22時間を眠って過ごし、起きているのはわずか2〜4時間ほどしかありません。
これほど眠る理由は、主食であるユーカリの葉にあります。ユーカリは栄養が乏しいうえに毒性のある成分(青酸化合物やタンニン)を含んでおり、コアラはこれを肝臓で解毒しながら消化しなければなりません。この作業に大量のエネルギーがかかるため、できるだけ動かず、眠って消費を抑えているのです。
裏を返せば、毒のあるユーカリを食べられるからこそ、コアラはライバルのいない食料を独占できています。よく寝るのは、その代償でもあるわけです。
2. コウモリ|逆さまにぶら下がって約19〜20時間
多くのコウモリは1日に約19〜20時間眠ります。洞窟や木の枝に後ろ足でぶら下がり、頭を下にした姿勢で休むのが特徴です。
逆さまでも血が頭に上らないのは、体重が軽く、後ろ足の腱が体重で自然にロックされる仕組みになっているからです。力を入れなくてもぶら下がり続けられるので、眠っている間も落ちません。
3. オオアルマジロ|硬い鎧を着た約18時間睡眠
南米にすむオオアルマジロは1日約18時間眠る、れっきとした寝坊助です。硬い甲羅(うろこ状の鎧)で身を守れるため、長時間眠っても天敵に襲われにくいことが、長い睡眠を可能にしています。
4. フクロネズミ(オポッサム)|死んだふりでも有名な約18時間
北米のフクロネズミ(オポッサム)も約18時間眠ります。危険が迫ると気絶したように動かなくなる「死んだふり(擬死)」で知られますが、ふだんの睡眠時間もたっぷりです。夜行性で、昼間は巣穴でぐっすり眠ります。
5. ハリネズミ|丸まって約18時間眠る夜の住人
ハリネズミも1日約18時間という長い睡眠をとります。背中の針で身を守れるうえ、危険を感じると体を丸めてボールのようになるため、安心して長く眠れるのです。気温が下がる季節には冬眠もします。
6. ナマケモノ|「怠け者」の名前とは裏腹な睡眠時間
名前からして大寝坊のイメージがあるナマケモノですが、その睡眠時間には意外な真実があります。飼育下では1日15〜20時間眠るとされてきましたが、2008年に野生の個体を調べた研究では、なんと約10時間しか眠っていませんでした。
とはいえ、起きている時間もほとんど動かないのは事実です。筋肉量が極端に少なく代謝が低いため、エネルギーを節約して生きています。木の上でじっとしているのは、天敵に見つかりにくくする生存戦略でもあります。

7. トラ|狩りの合間にしっかり休む約15〜16時間
百獣の王に並ぶハンター、トラも1日15〜16時間眠ります。肉食動物は一度の狩りで大量のエネルギーとタンパク質を得られるため、何度も食事をする必要がありません。獲物を仕留めたあとは、ゆっくり体を休めて次の狩りに備えます。
「強い動物ほどよく寝る」のは、長く眠っても自分を襲う相手がいない、という余裕の表れでもあります。
8. キツネザル|木の上で寄り添って約16時間
マダガスカルにすむワオキツネザルなどのキツネザルの仲間は、約16時間眠ります。仲間と体を寄せ合い、木の上で休むことで、保温と外敵への警戒を両立させています。日なたで腹を見せて日光浴をする姿も有名です。
9. リス|冬は冬眠も、ふだんは約14〜15時間
リスはふだんから1日14〜15時間眠るよく寝る動物です。種類によっては冬に冬眠し、体温を大きく下げて何ヶ月も眠り続けるものもいます。木の洞や巣の中という安全な寝床を持っていることが、長い睡眠を支えています。
10. ハムスター|巣穴でぐっすり約14時間
ペットとしておなじみのハムスターも約14時間眠ります。本来は砂漠地帯にすむ動物で、暑い昼間は巣穴で眠り、涼しい夜に活動する夜行性です。飼育下でも昼間によく寝ているのはそのためなので、無理に昼間起こすのは避けてあげましょう。
11. ライオン|1日の大半を寝て過ごす約13〜20時間
サバンナの王者ライオンは、1日13〜20時間も寝て過ごします。とくに狩りに成功して満腹になったあとは、20時間近く眠ることもあります。
暑い日中は木陰でだらりと寝そべり、涼しくなる夕方から夜に狩りをします。トラと同じく、頂点捕食者だからこそ許される贅沢な睡眠です。
12. ネコ|「寝る子」が名前の由来とも言われる約12〜16時間
身近なネコも1日12〜16時間という長い睡眠をとります。子猫や老猫になると、さらに長く眠ることもあります。
「ネコ」という名前は「寝る子(寝子)」が由来という説もあるほど、よく寝る動物の代表格です。ただしその多くは浅い眠り(うたた寝)で、物音がするとすぐ目を覚まします。小さな物音で耳だけ動かすのは、狩りをする動物の名残です。
13. イヌ|人間に合わせつつ約10〜13時間
イヌはネコよりやや短く、1日10〜13時間ほど眠ります。子犬や老犬、大型犬はもっと長く眠る傾向があります。
飼い主の生活リズムに合わせて昼間に活動し、夜まとめて眠ることも多いですが、本来はこまめに寝たり起きたりをくり返す動物です。番犬としての習性から、眠りが浅く、すぐに反応できるようになっています。
あまり寝ない動物:睡眠時間が短い動物ランキング7選

続いては逆に、ほとんど眠らない「あまり寝ない動物」です。共通するのは、栄養の少ない草を大量に食べる必要がある草食動物で、いつ肉食動物に襲われるかわからない立場にあること。長く眠ることが命取りになるため、睡眠を極限まで削っています。
14. キリン|合計30分〜2時間の超ショートスリーパー
動物界でもっとも眠らない動物のひとつがキリンです。1日の睡眠時間は合計してもわずか30分〜2時間ほど。しかも一度に深く眠るのは数分だけで、立ったまま浅いうたた寝をこまめにくり返します。
これほど短い理由は、首が長すぎることにあります。横になって深く眠ると、立ち上がるのに時間がかかり、その間にライオンなどに襲われれば逃げ遅れてしまいます。深い眠りは命がけのリスクなので、キリンは熟睡をほとんど捨てる進化を選んだのです。
15. アフリカゾウ|野生では1日たった2時間
地上最大の陸上動物アフリカゾウは、野生では1日約2時間しか眠らないことが2017年の研究でわかりました。これは哺乳類の中でも最短クラスです。
巨大な体を維持するには大量の植物を食べ続ける必要があり、起きて食事に時間を使わなければなりません。しかも横たわって眠るのは数日に一度だけで、ふだんは立ったまま短く眠ります。群れで交代しながら見張りを立て、安全を確保しています。
16. ウマ|立ったまま眠れる約3時間睡眠
ウマの睡眠時間は1日約3時間と短めです。最大の特徴は、立ったまま眠れること。脚の関節に「停止装置」と呼ばれるロック機構があり、筋肉の力をほとんど使わずに立ち続けられます。
これは、敵が来たらすぐ逃げられるようにするための適応です。ただし、深い眠り(レム睡眠)をとるには横になる必要があるため、安全な環境では地面に寝そべることもあります。
17. ウシ|反芻しながら休む約4時間
ウシの睡眠は1日約4時間ほどです。横になっている時間は長いのですが、その多くは眠っているのではなく、一度飲み込んだ草を口に戻してかみ直す「反芻(はんすう)」をしています。実際に深く眠っている時間はごくわずかです。
18. ヒツジ|群れで身を守りながら約4時間
ヒツジも1日約4時間程度の睡眠です。群れで固まって過ごすことで、互いに見張り役を果たし、外敵への警戒を分担しています。眠るときも仲間の近くを離れません。
19. ヤギ|好奇心旺盛で約5時間
ヤギの睡眠時間は約5時間とされます。ヒツジと近い仲間ですが、より活発で好奇心が強く、起きている間はあちこち動き回って草や木の葉を食べています。崖のような場所でも平然と過ごせる身軽さも、長く眠らない暮らしと関係しています。
20. ロバ|警戒心の強い約3時間
ロバもウマと同じく1日約3時間ほどしか眠らず、立ったまま休むことができます。とても警戒心が強く、危険を察知すると大きな声で鳴いて仲間に知らせます。家畜の群れの「見張り役」として飼われることもあるほどです。

動物の面白い寝方・特殊な睡眠12選

睡眠時間の長さだけでなく、その「寝方」にも動物ごとの驚きの工夫があります。立ったまま、片目を開けて、泳ぎながら、空を飛びながら。ここでは思わず誰かに話したくなる、面白い寝方をする動物を12種紹介します。
21. フラミンゴ|片足で立ったまま眠る
フラミンゴが片足で立って眠る姿は、動物園でもおなじみの不思議な光景です。長年「体温を逃がさないため」と考えられてきました。足やくちばしは羽毛がなく外気で冷えやすいので、片足を羽毛の中にしまって熱を守っているという説です。
さらに2017年の研究で、フラミンゴは一本足のほうが体を支えやすいことがわかりました。一本足で立つと体の重心がちょうど足の真上にきて、筋肉の力をほとんど使わずに立ち続けられるのです。実際、死んだフラミンゴでも一本足で立たせるとそのまま立ち続けたという驚きの報告もあります。
22. マッコウクジラ|海中で垂直に立って眠る
マッコウクジラは、海面近くで体を縦にし、垂直に立ったまま眠ります。2008年にイギリスのセント・アンドルーズ大学の研究チームが偶然発見した光景で、全長12メートル以上の巨体が何頭も縦に並んで浮かぶ姿は、神秘的かつ少し不気味です。
クジラは1回につき10〜15分ほどの短いうたた寝をし、1日のうち睡眠にあてるのはわずか7%ほどといわれます。すぐ水面に出て呼吸できるよう、この姿勢をとっていると考えられています。
23. ヒゲペンギン|4秒の眠りを1日1万回
南極にすむヒゲペンギンの睡眠は、近年もっとも話題になった発見のひとつです。2023年にScience誌で発表された研究によると、子育て中のヒゲペンギンは平均わずか4秒という超短時間の眠り(マイクロスリープ)を、1日に約1万回もくり返していました。
細切れの眠りをかき集めると、合計で11時間以上になります。卵やヒナを狙うナンキョクオオトウゾクカモメや、巣の材料を盗む仲間に常に警戒しなければならないため、まとまって眠る余裕がないのです。それでも睡眠の総量はしっかり確保している、驚きの生存術です。
24. ゾウアザラシ|深い海に潜りながら眠る
ゾウアザラシは1日約2時間しか眠らず、しかもその眠りを海の中でとります。2023年の研究で、捕食者であるサメやシャチがいない水深300メートル以上の深海まで潜り、らせんを描きながら沈んでいく間に眠っていることが明らかになりました。
アザラシは体内に大量の酸素をたくわえられるため、10分以上も息を止めたまま眠れます。深く潜るほど安全なので、わざわざ危険な海面ではなく深海で眠るという、理にかなった選択をしているのです。
25. カモノハシ|レム睡眠が哺乳類で最も長いとされる
卵を産む珍しい哺乳類カモノハシは、睡眠の「中身」がユニークです。1日約14時間眠るうち、夢を見ているときの浅い眠り「レム睡眠」が約8時間に達し、哺乳類で最も長いとする研究があります。
レム睡眠中のカモノハシは、まるで獲物をくわえているかのように口を動かすことがあるそうです。原始的な特徴を残すカモノハシの睡眠は、レム睡眠がいつ進化したのかを探る重要な手がかりとして注目されています。
26. セイウチ|水に浮いたまま、牙を引っかけて眠る
セイウチは眠り方のバリエーションが豊富です。のどにある空気袋をふくらませて浮き輪代わりにし、水面にプカプカ浮いたまま眠ることができます。また、流氷のふちに長い牙を引っかけて体を固定し、ぶら下がるように休むこともあります。陸に上がれば、仲間とぎゅうぎゅうに密着して何時間も眠ります。
27. ミーアキャット|折り重なって山になって眠る
砂漠に暮らすミーアキャットは、巣穴の中で家族が折り重なるように密集して眠ります。夜の砂漠は冷え込むため、体を寄せ合って暖を取り、同時に一番下の仲間が一番暖かいという助け合いの構造になっています。日中、直立して見張りをする姿とのギャップも魅力です。
28. アマツバメ・渡り鳥|空を飛びながら眠る
アマツバメの仲間は、数ヶ月もの間ほとんど着陸せず、飛び続けたまま生活します。その間どうやって眠るのかというと、脳の半分ずつを交代で休ませる「半球睡眠」で、飛びながら短い眠りをとっていると考えられています。渡り鳥の中にも、長距離の渡りの最中に同じ方法で眠るものがいます。
29. 魚|まぶたがないので目を開けたまま眠る
魚にはまぶたがないため、目を閉じて眠ることができません。多くの魚は、岩陰や水草のかげで体の動きを止め、ぼんやりとした状態で休みます。金魚も夜になると水槽の底のほうでじっとして眠っています。目を開けたまま動かないので、一見すると起きているように見えるだけなのです。
30. サメ|泳ぎ続けながら眠る種もいる
サメの中でも、ホホジロザメのように泳ぎ続けないとエラに水を通せず呼吸できない種は、止まって眠ることができません。こうしたサメは、泳ぎながら休んでいると考えられています。脳の一部だけで遊泳をコントロールし、体を動かしたまま眠るという説が有力です。一方、海底でじっとして休めるネムリブカのような種もいます。
31. ワニ|片目を開けたまま眠る
ワニは片目だけを開けて眠ることがあります。2015年のオーストラリア・ラトローブ大学の研究で確認された行動で、人が近づくと開いているほうの目でしっかりこちらを見ていたそうです。鳥やイルカと同じく、脳の半分を休ませながらもう半分で警戒する半球睡眠をしている可能性があります。
32. クマ|冬眠は「睡眠」とは少し違う
最後はクマの冬眠です。クマは秋にたっぷり食べて脂肪をため、冬の数ヶ月を巣穴でほとんど飲まず食わずで過ごします。ただし、これは私たちの「睡眠」とは少し違います。
冬眠中のクマは体温を数度下げ、心拍や代謝を大きく落とした特殊な省エネ状態に入ります。ただ眠っているのではなく、刺激があれば起きられる程度の浅い休眠で、メスはこの間に出産・授乳までこなします。エネルギーを使わずに厳しい冬を乗り切る、究極の生存戦略なのです。
なお、イルカが脳を左右交代で休ませる半球睡眠や、ラッコが流されないよう手をつないで眠る話など、動物の眠りにはほかにも面白い雑学がたくさんあります。半球睡眠やラッコの寝方をもっと知りたい方は、以下の記事もどうぞ。
なぜ動物によって睡眠時間がこんなに違うのか

コアラの22時間とキリンの30分。同じ哺乳類でこれほど差が出るのはなぜでしょうか。動物の睡眠時間を決める要因は、おもに次の4つに整理できます。
食べ物(肉食か草食か)
もっとも大きいのが食べ物です。肉食動物は栄養価の高い肉を一度にたくさん食べられるので、食事の回数が少なくてすみ、その分よく眠れます。一方、草食動物は栄養の乏しい草を大量に食べ続けなければならず、起きて食事に時間を使う必要があるため睡眠が短くなります。
体の大きさと代謝
一般に、体が大きい動物ほど睡眠時間は短い傾向があります。ゾウやキリンのような大型動物は維持に大量の食料が必要なうえ、横たわって起き上がるのにも時間がかかるため、長く眠れません。逆に小型動物は代謝が速く、こまめに休む必要があります。
天敵の有無と安全な寝床
安全に眠れる環境があるかどうかも重要です。硬い甲羅を持つアルマジロ、針を持つハリネズミ、巣穴を持つコウモリやハムスターは、長く眠っても襲われにくいのでたっぷり眠れます。逆に、開けた草原で暮らし常に狙われている草食動物は、眠りを削るしかありません。先ほどのヒゲペンギンが眠りを4秒ずつに刻むのも、天敵への警戒が理由でした。
レム睡眠とノンレム睡眠
動物の眠りも、人間と同じように浅い眠り「レム睡眠」と深い眠り「ノンレム睡眠」に分かれます。危険にさらされている動物ほどレム睡眠が少なく、安全な動物ほど深い眠りをしっかりとれる傾向があります。水中で暮らす動物や飛び続ける鳥が編み出した半球睡眠も、危険と眠りのジレンマを解決するための進化のかたちといえます。

よく寝る動物に関する雑学・豆知識
最後に、動物の睡眠にまつわる豆知識をいくつか紹介します。
「冬眠」と「睡眠」はまったくの別もの
冬眠は、ただ長く眠ることではありません。体温・心拍・代謝を極端に落とした特殊な状態で、エネルギーをほとんど使わずに過ごします。クマ、リス、コウモリ、カエルなどが冬眠しますが、その深さは種類によってさまざまです。
渡り鳥は「飛びながら」眠れる
長距離を移動する渡り鳥は、脳の半分ずつを休ませる半球睡眠を使い、飛行中でも眠ることができます。片方の脳と片方の目を起こしておくことで、進路や仲間を確認しながら休むという離れ業です。
赤ちゃんの動物ほどレム睡眠が多い
生まれたばかりの動物は、脳の発達のためにレム睡眠の割合が高いことが知られています。これは人間の赤ちゃんがよく眠り、よく夢を見ているとされるのと同じです。眠りは、ただの休息ではなく脳を育てる大切な時間でもあるのです。
よく寝る動物クイズ5問
ここまでの内容から、よく寝る動物に関するクイズを5問出題します。何問わかるか挑戦してみてください。
第1問:1日20〜22時間眠る、よく寝る動物の代表は?
ヒント:ユーカリの葉を食べるオーストラリアの動物です。
ユーカリの解毒にエネルギーを使うため、起きているのは1日2〜4時間ほどです。
第2問:1日の睡眠が合計30分〜2時間しかない、首の長い動物は?
ヒント:横になって眠ると立ち上がるのに時間がかかってしまいます。
深い眠りは数分だけ。立ったまま浅いうたた寝をこまめにくり返します。
第3問:4秒の眠りを1日1万回くり返して睡眠を確保する鳥は?
ヒント:南極にすむペンギンの仲間です。
2023年に発表された研究で判明。捕食者への警戒のため、細切れの眠りで計11時間を確保しています。
第4問:片足で立ったまま眠ることで知られる、ピンク色の鳥は?
ヒント:一本足のほうが体を支えやすいことが研究でわかっています。
体温を逃がさず、しかも筋力を使わずに立てるという、二重に合理的な姿勢です。
第5問:野生では1日約2時間しか眠らない、地上最大の陸上動物は?
ヒント:巨大な体を維持するため、食べ続ける必要があります。
2017年の研究で判明。横になって眠るのは数日に一度だけです。
よく寝る動物についてよくある質問(FAQ)
Q. 世界で一番よく寝る動物は何ですか?
一般的にはコアラが「1日20〜22時間」で最もよく寝る動物として知られています。ただし、コウモリやオオアルマジロ、フクロネズミなども18〜20時間眠るため、調査によって順位は前後します。いずれも「栄養の乏しいものを食べる」「安全な寝床を持つ」という共通点があります。
Q. 一番眠らない動物は何ですか?
大型の草食動物が短く、キリンが合計30分〜2時間、野生のアフリカゾウが約2時間とされ、最短クラスです。これらは「栄養の少ない草を食べ続ける必要がある」「天敵に狙われやすい」ことが理由です。
Q. 肉食動物と草食動物では、どちらがよく寝ますか?
肉食動物のほうがよく寝ます。栄養価の高い肉を一度にたくさん食べられるので食事の回数が少なくてすみ、頂点捕食者は襲われる心配も少ないためです。ライオンやトラが1日の大半を寝て過ごすのはそのためです。
Q. 動物は夢を見ますか?
はっきりとは断定できませんが、多くの哺乳類や鳥にレム睡眠(夢を見ているとされる浅い眠り)が確認されています。眠っているネコやイヌが足を動かしたり鳴いたりするのは、夢を見ている可能性があるといわれます。カモノハシのレム睡眠が長いことも、夢と進化の関係を考えるうえで注目されています。
まとめ:よく寝る動物32選から見える生き残りの知恵
よく寝る動物から、ほとんど寝ない動物、面白い寝方の動物まで全32種を見てきました。
1日22時間眠るコアラと、30分しか眠らないキリン。この極端な差を生んでいるのは、食べ物・体の大きさ・天敵の有無という、生き残るための条件のちがいでした。
よく寝る動物は、栄養の乏しいものを食べてエネルギーを節約していたり、安全な寝床を持っていたりする動物。あまり寝ない動物は、草を食べ続ける必要があり、いつ襲われるかわからない草食動物でした。
立ったまま、片目を開けて、泳ぎながら、空を飛びながら。動物たちのユニークな寝方は、どれも厳しい自然を生き抜くために磨かれた進化の知恵です。今度動物園や水族館に行ったら、ぜひ動物たちの「寝姿」にも注目してみてください。きっと新しい発見があるはずです。


