重松清のおすすめ本ランキング!19選をまとめて紹介!

今回は、重松清のおすすめ本をランキング形式で紹介していきます!

彼の作品に興味を持ち、他のおすすめ本を探している方は、ぜひ、参考にしてください!

以下、目次となります。

重松清(しげまつきよし)とは?

1963(昭和38)年、岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。

1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。

2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。

現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。

(引用:重松清 | 著者プロフィール | 新潮社

往年の名作家であり、様々な傑作を残し、上記のように数多くの賞を獲得しています。

また、重松清(しげまつきよし)という名前のほかに、田村章や岡田幸四郎など、様々なペンネームを持つ点も特徴です。

さらに、エッセイや、ドキュメント系のジャンルの本も刊行されており、その活動は多岐に渡ります。

作品の多くは、テレビドラマ化や映画化されています。 

重松清のおすすめ本ランキング|1位~10位

1位:とんび

  • 発行日:2008年10月30日
  • 発行元:角川書店
  • 備考 :NHK及びTBSでドラマ化

昭和37年夏、瀬戸内海の小さな町の運送会社に勤めるヤスに息子アキラ誕生。

家族に恵まれ幸せの絶頂にいたが、それも長くは続かず・・。高度経済成長に活気づく時代と町を舞台に描く、父と子の感涙の物語。

(引用:とんび 重松 清:文庫 | KADOKAWA

「泣ける小説を教えてくれ」と友人に言われたときに、まず候補に挙げる作品の一つです。

職人気質で、不器用な主人公ヤスと、その息子であるアキラの成長を描いた傑作です。

作中の登場人物は、みな温かく魅力的であり、彼らの助けを受けつつ、シングルファーザーのヤスは、必死に子育てを行います。

父親の苦悩と、喜びを余すことなく受け取った息子アキラは、素直で真っ直ぐな子に育ちますが、中学生になるころには、反抗期を迎えます。

しかし、そこで生じる父子関係の歪みや対立についても、濁すことなく、ありのままの姿が、真摯に描かれていました。

全体を通して、粗野で頑固な言動が目立つ主人公ですが、その根底には深い愛が溢れており、それを物語の端々で感じることが出来、読んでいて心が温まるシーンが多かったです。

特に、物語終盤、アキラが上京する場面は、胸にじんとくるものがあり、涙腺が緩んでしまいました。

ホリエモンが収監中に読んだ小説の中で、唯一涙を流したというほど、泣ける本です。

2位:ステップ

  • 発行日:2009年3月
  • 発行元:中央公論新社

結婚三年目にして、若くして妻を亡くした主人公健一と、娘の美紀との物語です。

娘の成長に合わせる形で、9作の短編で紡がれた連作となっており、温かい世界観の元、父子の成長と再出発の日々が丁寧に描かれます。

また、彼らを取り囲む周囲の登場人物の描写もきめ細やかで、特に、義理の両親については、しっかりと書かれています。

本作は山田孝之を主演として、映画化も予定されているため、気になる方は、以下の公式サイトを確認してみましょう!

娘を持つ親の方は、大きく感情移入をしてしまい、涙してしまうこと間違いなしの傑作です。 

3位:卒業

  • 発行日:2004年2月
  • 発行元:新潮社

「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」

ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。

(引用:重松清 『卒業』 | 新潮社

以下の、四篇の短編からなる作品を連ねた小説です。

  • 「まゆみのマーチ」
  • 「あおげば尊し」
  • 「卒業」
  • 「追伸」

「生と死」や「許すこと・許されること」を大テーマとして、様々な観点から、それを重松清独自の筆致で描きます。

各短編で扱う「死」は異なり、どの編も訴えかけるものがありましたが、特に、「追伸」や「まゆみのマーチ」は、心に深く残り、読書中、涙ぐんでしまう場面が幾つかありました。

読了後、長い間余韻が残り、何度でも読み直したくなる名作です。

4位:ビタミンF

  • 発行日:2000年8月
  • 発行元:新潮社
  • 備考 :第124回(平成12年度下半期) 直木賞受賞

38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。

妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。

36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた。一時の輝きを失い、人生の「中途半端」な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。

「また、がんばってみるか――」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。

(引用:重松清 『ビタミンF』 | 新潮社) 

家族小説の傑作です。私が今まで読んだ家族を描いた小説の中でも、トップ5に入るほど素晴らしい作品になります。

アラフォーを向かえた男性の視点から、彼の家族が抱える様々な問題を主軸に据えて、物語は進みます。

各話とも、思春期の子どもと、その親との間に生じるもどかしさやすれ違いを、撫でるような筆致で丁寧に綴っており、安心して読み進めることができました。

  • ゲンコツ
  • はずれくじ
  • パンドラ
  • セッちゃん
  • かさぶたまぶた
  • なぎさホテルにて
  • 母帰る

上記7篇からなり、どのエピソードも、素晴らしかったですが、個人的には「セッちゃん」が一番印象に残っています。

直木賞を受賞し、テレビドラマ化もされたため、視聴したことがある人も多いのではないでしょうか。

5位:きみの友だち

  • 発行日:2005年10月
  • 発行元:新潮社
  • 備考 :WOWOW FILMSにより映画化

足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。

学校の人気者ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない。

優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。

(引用:重松清 『きみの友だち』 | 新潮社

10本の短編からなる作品です。

それぞれの話がリンクしており、連作形式になっている点が、特徴となります。

思春期ならではの心の移り変わりについて、著者ならではの緻密な心理描写でしっかりと描かれており、読み進めるうちに、自然と物語に引き込まれました。

また、その時期の少年少女特有の、ざらざらとした感性や、残酷さも余すことなく書かれており、その点も素晴らしかったです。

「友達とは」という普遍で繊細なテーマについて、腰を据えて書かれているため、人によっては、人間関係を振り返るきっかけとなるかもしれません。

本作は廣木隆一監督の元、映画化もされています。

6位:その日のまえに

  • 発行日:2005年8月10日
  • 発行元:文藝春秋
  • 備考 :ラジオドラマ化、映画化、TVドラマ化、朗読劇化済み。

様々な「身近な死」をテーマとした短編集であり、以下7編が収録されています。

  • ひこうき雲
  • 朝日のあたる家
  • 潮騒
  • ヒア・カムズ・ザ・サン
  • その日のまえに
  • その日
  • その日のあとで

前半の4つのエピソードは独立していますが、それらが「その日の前に」以降の3章へと繋がる構成になります。

人であれば、必ず迎えることになる「その日」について、逝ってしまう人や、残される人が、どのように向き合うのかを、淡々と、しかし温かみのある筆致で丁寧に描きます。

著者の他作品同様、重いテーマを扱っていますが、それでも読み終わった後は、前を向いて歩こうと思える素晴らしい作品です。

死を通して、生きることの大切さや、平凡な日常の大切さを再確認できる名作です。

7位:青い鳥

  • 発行日:2007年7月20日
  • 発行元:新潮社
  • 備考 :2008年映画済

中学校の国語の非常勤講師で、吃音の村内先生と、様々な問題を抱える生徒との関りを描いた一作です。

思春期の子どもが持つ、微妙な感情の動きを、しっかりと描き出しており、各キャラクターの心情を鮮明に思い浮かべながら、読み進めることができました。

  • ハンカチ
  • ひむりーる独唱
  • おまもり
  • 青い鳥
  • 静かな楽隊
  • 拝啓ねずみ大王さま
  • 進路は北へ
  • カッコウの卵

以上、8篇からなる短編集です。

どの篇も高い完成度を誇りますが、個人的には、離婚や虐待により家庭を知らずに育った「てっちゃん」が主人公の、「カッコウの卵」が強く印象に残っています。

「いじめ」について、深く考えさせられる名作です。

8位:きよしこ

  • 発行日:2002年11月
  • 発行元:新潮社

吃音の少年の物語です。

言いたいことを、上手く発することが出来ないもどかしさや、少年期の特有の感情の移り変わりなどが、しっかりと描写されています。

また、本作はもともと作者の実体験に基づいた内容になっているため、他作品よりも、さらに描写が細かい点が特徴です。

本作を読了した後に、上記で紹介した青い鳥を読むと、より深い感動を得ることが出来るでしょう!

人の気持ちに寄り添うことの大切さを、思い出させてくれる一冊です!

9位:定年ゴジラ

  • 発行日:1998年3月
  • 発行元:講談社
  • 受賞歴:直木賞ノミネート

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。

「ジャージーは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん。

新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を捜す4人組の日々の哀歓を温かく描く連作。

(引用:『定年ゴジラ』(重松 清):講談社文庫

多くの企業が勃興した時代の流れに身を任せ、大手銀行で猛烈に働いた山崎さんの、定年後の話を描いた作品です。

主人公同様に定年退職し、同じニュータウンに住む人たちも登場し、笑いあり、涙ありの、ほのぼのとした人間ドラマを繰り広げます。

物語全体としては、コミカルな作りになっており、読みやすいですが、ストーリーそのものに大きな起伏があるわけではありません。

しかし、その分各登場人物の深堀がしっかりとされており、中流サラリーマンが抱える悲哀や、その年代が持つ重みを真摯に描いています。

また、本作については、著者である重松清が、35歳頃に執筆した作品です。

その年齢で、ここまで見事に彼らの心の機微や感情を描写できるのは、やはり、並外れた筆力や観察眼を持っていることの現れでしょう。

私自身、定年になった際に、もう一度読み返したいと考えている作品です。

10位:ビフォア・ラン

  • 発行日:1991年8月
  • 発行元:株式会社ベストセラーズ
  • 備考 :著者長編デビュー作

重松清の長編デビュー作となる、記念すべき小説です。

1991年に株式会社ベストセラーズより出版されたましたが、1998年に幻冬舎文庫で再販されるまで、長く絶版状態になっていた、幻の作品でもあります。

主人公の優は、授業で習った「トラウマ」という言葉に強く惹かれて、まだ死んでいない同級生まゆみの墓を作ります。

「かっこ悪い青春」というキャッチフレーズがぴったりの作品であり、作中には、その時期の男女が抱える、切なさや未熟さが溢れていました。

デビュー作のため、やや荒削りな面があり、テンポの悪さも目立つため、序盤は辛抱強く読む必要があります。

しかし、中盤以降は、重松清を彷彿とさせる描写も出てくるため、ファンの方は、大いに楽しむことができるでしょう。

みずみずしさに溢れ、読み進めるうちに、その青臭ささえ愛おしくなる稀有な作品です。

重松清のおすすめ本ランキング|11位~19位

11位:エイジ

  • 発行日:1999年1月
  • 発行元:朝日新聞社
  • 受賞歴:第12回(1999年) 山本周五郎賞受賞
  • 備考 :NHK総合テレビでテレビドラマ化

ぼくの名前はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。

その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった――。

(引用:重松清 『エイジ』 | 新潮社

中学2年生の主人公エイジ(高橋栄司)を主人公として、彼の同級生が起こした、通り魔事件を背景に物語は進行します。

また、周りの登場人物についても、丁寧に描写されており、中学生ならではの心の揺れや、思考の移り変わりについて、鮮明に描き出していました。

凝った伏線や大きな仕掛けはない物語ですが、その分、若さゆえの脆さや危うさを真正面から記しています。

等身大の中学生の内情を、リアルに感じることができる作品です。

12位:流星ワゴン

  • 発行日:2002年2月8日
  • 発行元:講談社
  • 受賞歴:本の雑誌年間ベスト1
  • 備考 :TBSにてドラマ化

家族について、じっくりと考えさせられる、傑作です。

リストラや離婚、子供の登校拒否などで投げやりになっていた、主人公永田一雄(カズ)が、ある出来事をきっかけとして、人生のターニングポイントへと戻る話となります。

派手な物語ではなく、辛い過去を変えることはできませんが、他者の視点を知ることの重要性や、未来を歩む大切さを説いています。

TBSでドラマ化もされているため、興味がある方は、そちらもチェックすると原作との違いを楽しめます!

軽快な筆致は相変わらずで、テンポよくすらすらと読める点もおすすめです!

13位:小学五年生

  • 発行日:2007年3月
  • 発行元:文藝春秋

17篇のショートストーリーを詰め込んだ短編集です。

どの篇も非常に短くコンパクトですが、作者の手腕がきらりと光り、余韻たっぷりな物語に仕上がっています。

現役の小学五年生が読んでも、面白いですが、かつて小学五年生であった大人が読んでも、十分に読み応えのある良書です。

子供と一緒に読んで、どの話が好きだったのか語り合っても良いかもしれません。

14位:小さき者へ

  • 発行日:2002年10月
  • 発行元:毎日新聞社

気づいてくれ。お父さんにも14歳の頃はあったんだ。

お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳の十四歳、中学二年生の時だった。

いつも爪を噛み、顔はにきびだらけで、わかったふりをするおとなが許せなかった。

どうしてそれを忘れていたのだろう。

お父さんがやるべきこと、やってはならないことの答えは、こんなに身近にあったのに・・・。

心を閉ざした息子に語りかける表題作ほか、「家族」と「父親」を問う全六篇。

(引用:重松清 『小さき者へ』 | 新潮社

上記でおすすめした作品のように、本作も「親と子」が主題になっている作品ですが、どれも素晴らしい短編です。

凝った設定の話はないですが、その分作品に入りやすく、特に我が子を持つ親であれば、深く感情移入してしまうことでしょう。

短編の1つである「団旗はためく下に」は、テレビドラマ化もされています。

15位:一人っ子同盟

  • 発行日:2014年9月20日
  • 発行元:新潮社

兄を亡くしたノブと、母の再婚で弟ができたハム子。懐かしく切ない「あの頃」の物語。

ノブとハム子は、同じ団地に住む小学六年生。ともに“一人っ子”だが、実はノブには幼いころ交通事故で亡くなった兄がいて、ハム子にも母の再婚で四歳の弟ができた。

困った時は助け合う、と密かな同盟を結んだ二人は、年下の転校生、オサムに出会う。

お調子者で嘘つきのオサムにもまた、複雑な事情があって――。

(引用:重松清 『一人っ子同盟』 | 新潮社

子供が抱える葛藤を上手く描き切った作品です。

ノブとハム子(公子)、そしてオサムの3人を主軸として、複雑な家庭環境を丁寧に語っていきます。

登場人物は小学生ですが、どちらかというと、大人が読んだ方が共感できる話であり、特に昭和の団塊世代の方に、ぜひ読んでもらいたい作品です。

大きな驚きを与えるオチではありませんが、きっと「読んでよかった」と思える作品になるはずです。

16位:疾走

  • 発行日:2003年8月1日
  • 発行元:角川書店
  • 備考 :映画化(監督:SABU)

今回紹介する重松清の作品の中でも、一際異彩を放つ作品です。

個人的にもっと上の順位でも良かったのですが、グロテスクな描写や、悲痛な物語を受け付けない方も多いため、本ランクとしました。

地方都市の平凡な家庭で育ったシュウジを主人公に据えた、長編となります。

彼を取り巻く環境は、兄の引きこもりを契機として、少しずつ瓦解していき、後戻りができない絶望的な状況へと陥ります。

作中には、終始もの哀しい雰囲気が漂い、シュウジの慟哭が聞こえてきそうなほど、悲愴なシーンも多くありました。

そのため、読み進めるのが辛くなり、読了後は少しの間放心状態になるほど、重く辛いストーリーでした。

しかし、このように暗鬱な状況を真正面から描いた本作だからこそ、読者の心に楔のように突き刺さり、決して忘れられない作品となります。

重松清著作の中でも読み手を選ぶ小説です。救いがない話が苦手な方は、控えた方が良いでしょう。

17位:ニワトリは一度だけ飛べる

  • 発行日:2019年3月
  • 発行元:株式会社朝日新聞出版

左遷部署「イノベーション・ルーム」に異動となった酒井のもとに、「ニワトリは一度だけ飛べる」という題名の謎のメールが届く。

送り主は、いったいどんなメッセージを伝えようとしているのか・・。

(引用:朝日新聞出版 最新刊行物:文庫:ニワトリは一度だけ飛べる

某冷凍食品会社で、実際に起きた事件について、内部告発をもとにして執筆された本です。

元々、2003年頃に週間朝日で連載されていた作品ですが、諸般の事情で単行本化できず、2019年になってようやく発行されました。

そのため、題材がやや古い印象は否めず、また物語もやや盛り上がりに欠けます。

しかし、同様の年代の方であれば、共感できる部分も多く、楽しく読み進めることが出来るでしょう!

左遷された男が、葛藤し、そして勇気ある決断をする物語です!

18位:木曜日の子ども

  • 発行日:2019年1月
  • 発行元:KADOKAWA

7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。

結婚を機にその地に越してきた私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との距離をつかみかねていた。

前の学校でひどいいじめに遭っていた晴彦は、毒殺事件の犯人・上田祐太郎と面影が似ているらしい。

この夏、上田は社会に復帰し、ひそかに噂が流れる――

世界の終わりを見せるために、ウエダサマが降臨した。

(引用:木曜日の子ども 重松 清:文芸書 | KADOKAWA

思春期の子どもに焦点を当てた、ミステリー小説です。

重松清著作の中でも、人を選ぶ作品のため、本順位としました。

序盤の疾走感や、否応なしに読者を引き込む構成は、素晴らしいですが、その分、終盤の展開については、疑問が残る箇所が多かったです。

特に、100ページを残した段階で、物語の顛末が透けて見えてしまった点は残念でした。

また、作中では現代社会の闇や、子どもが抱える暗鬱な感情について、描写していますが、それらがどうしてもチープに見えてしまった点もマイナスです。

逆に、その薄っぺらさこそが、若年者の思惑をリアルに表していると言えなくもないですが、もう少し別の表現が出来たのではないかと考えてしまいました。

やや酷評しましたが、ミステリー作品としては及第点以上の出来なので、ぜひ自身の手で取って確認してみて下さい。

19位:せんせい。

  • 発行日:2011年7月
  • 発行元:新潮社
  • 備考 :収録作品の「泣くな赤鬼」が映画化

授業そっちのけで夢を追いかけた先生。一人の生徒を好きになれなかった先生。厳しくすることでしか教え子に向き合えなかった先生。

そして、そんな彼らに反発した生徒たち。

けれど、オトナになればきっとわかる、あのとき、先生が教えてくれたこと。

ほろ苦さとともに深く胸に染みいる、教師と生徒をめぐる六つの物語。

(引用:重松清 『せんせい。』 | 新潮社

題名通り、先生をテーマとした短編集となり、全6話の物語が納められています。

どの作品も重松清の愛で溢れており、どこか温かさを感じることが出来ました。

様々な教師がでてくるので、あなたの恩師に近しい人物もいるかもしれません。

重松清が好きな方におすすめの他作家の作品!

重松清が好きな方に向けて、他作家のおすすめ本を少し紹介します。

ジャンルはやや異なりますが、重松清好きであれば、おそらくは気に入る作品なので、ぜひ参考にしてください!

流しのしたの骨 (江國香織)

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな「小さな弟」律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。

ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。

(引用:江國香織 『流しのしたの骨』 | 新潮社

少し風変わりな家族をテーマとした作品です。

大きな起伏がある話ではありませんが、読んでいて心地よく、とても温かな気持ちになることが出来ます。

何度も読み返せる、まるでスルメのような小説です。ぜひご堪能あれ。

家日和(奥田 英朗)

奥田英朗が描く、家族を題材とした傑作短編集です。以下の6つの物語から成り立ちます。

  • サニーディ
  • ここが青山
  • 家においでよ
  • グレープフルーツモンスター
  • 夫とカーテン
  • 麦と玄米御飯

基本的に、どこの家庭でも起こりえる些細な出来事をテーマとしているため、読み進めやすい点がポイントです。

どのストーリーも読後感が良く、肩の力を抜いて楽しむことが出来ます。

まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

重松清のおすすめ作品について、ランキング形式にて紹介していきました。

どれも名作ばかりですが、本エントリーをきっかけに何か一冊でも、興味を持てる本が見つかったのであれば、これ以上嬉しいことはありません!

彼が執筆した本は、他にも多くあり、おすすめはたくさんあります!

そのため、他の気に入った作品を見つけたら、本エントリーに追記します。

また、本記事については、コメントも受付中なので、重松清の作品で感想を書きたい方は、ぜひお気軽に以下から投稿ください!

他、本・小説関連のエントリーはこちら!