皆さんは普段、詩は読みますか?
もしかしたら、国語の教科書でしか詩に触れたことのない方もいるかもしれませんね。
これから読みたいけれど、どこから手をつけたらいいのか分からないという方のために、今回はおすすめの詩集をランキング形式でご紹介します!
ぜひ、参考にして下さい!
目次
詩集のおすすめ作品4選!
①:パンプルムース! 文・江國香織 絵・いわさきちひろ
江國香織が選んだ、いわさきちひろの絵29点に、それぞれ詩をつけた一冊です。
詩は全編ひらがなとカタカナのみで構成されていて、まさしく子供から大人まで楽しめる作品です。
やさしい絵と文章は、ガツガツと主張してくるものではなく、ほんのりと体の奥を温めてくれるでしょう。
いわさきちひろは、たくさんの子どもの絵を残していますが、本書でもいろいろな子どもたちに出会えます。
普段は、絵に描かれた子どものことを空想するにとどまりますが、江國香織が紡ぐ言葉たちによって、さらにその物語が広がります。
そして、子どもだけではなく、時にはカニや鳥、花、そして街並みまでもに新しい物語の息吹を感じさせられます。
ちなみに、本のタイトルにもなっている「パンプルムース!」という作品は、ヨーロッパを想わせる通りに、子どもとお母さんの後ろ姿が小さく描かれた絵と、「いつかフランスで『パンプルムース(グレープフルーツ)』を注文するのだ」という女の子の詩の作品です。
ちょっぴり背伸びをしたおしゃまな女の子の感じと、果実の甘酸っぱい香り、不思議な響きの「パンプルムース」という言葉が、より絵の世界を生き生きとしたものにしているようで、何ともわくわくさせられます。
詩を読む前に絵だけを見て「自分ならこんな詩を書くかなあ」と想像してから詩を読むと、江國香織の発想に驚かされて、また違った楽しみ方ができます!
②:吉野弘詩集 素直な疑問符
吉野弘が残した詩の中から、34編がおさめられている詩集です。
10~14編ずつ、「素直な疑問符」「ほぐす」「生命は」の三つの章に分けられています。
最初の「素直な疑問符」の章では、みずすましや岩、冬の陽射しなど、自然をモチーフにした作品で構成されています。
1編目が本のタイトルにもなっている「素直な疑問符」という詩で、小鳥が分からないことに素直に首をかしげる様子が詠われています。
次の「ほぐす」の章は、文字通り、詩を読むのに少し構えてしまう人の頭と心をほぐしてくれるような作品で構成されています。
ユーモアたっぷりで思わず微笑んでしまうような作品や、ハッとするような言葉たちが並んでいて、本書にさらに新鮮な気持ちで向かうことができます。
最後の「生命は」の章では、日々を生きることの大変さや尊さが詠われています。
何と言っても最後の、父親から娘へ宛てた「奈々子に」という詩は、ぜひ読んでほしい詩です。
その内容は、人がほかからの期待に応えようとして自分をだめにしてしまうことを知っている父親が、だから娘には何も期待せず、ただ自分自身を愛する心と健康をあげたい、と願うものです。
美しく優しい言葉たちが、そのままの自分を肯定することの大切さを思い出させてくれるでしょう。
③: 永遠の詩(5) 石垣りん
石垣りんが残した作品の中から、40編の詩がまとめられた詩集です。
第1詩集「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」に収められた作品から、晩年に書かれた作品まで、順を追って選ばれているため、石垣りんの詩の変遷を見ることができます。
また、作品ごとに、井川博年の解説が付いているため、その詩が書かれた背景を汲み取り、より深く詩の世界を味わうことができます。
前半は、14歳から貧しい家計を一人で支えた作者にしか書けないような、家族の切れない縁の重さや疎ましさ、強さを感じられる「家」や「夫婦」に圧倒されます。
そうかと思えば、後半は「おやすみなさい」でやさしく肯定されるような感覚にほっとするでしょう。
母親が3度変わり、次々に家族を亡くしながらも、強く名前の通り「りん」と生きた作者の生き様を感じ、そんな作者が紡いだ言葉たちに強く心を揺さぶられます。
最も有名な「表札」も収められており、自分も自分一人で立ち、「それでよい」と言い切る強さを持とうという気持ちになります。
読後、地に足をつけてしっかりと歩もうと思わされる一冊です。
④:死んでしまう系のぼくらに 最果タヒ(リトルモア)
第44回現代詩手帖賞、第13回中原中也賞を受賞した著者の第3詩集で、本書も第33回現代詩花椿賞を受賞しています。
ツイッターなどのSNSや、ウェブ上でも作品を発表してきた著者の作品は、横書きのものがあったり、散文の形をしたものがあったりと、国語の教科書でしか詩を読まなかった人にとっては、「こういうものも詩なのか」と驚かされるかもしれません。
その中身は、「死んでしまう系のぼくらに」とタイトルにあるように、あらゆる形で死が関わる作品で構成されています。
その死は、ふわりと臭い立つものだったり、目の前に迫っていたり、また、蝉の死骸として実際に現れたりと様々です。
一見、日常の生活の中でふわりと浮かんだ言葉をそのまま綴ったかのような印象を受ける言葉たちに、捉えどころのないような曖昧さを感じます。
けれども、体の奥にしまわれた強い自我が死をしっかりと見つめていることに気付き、日常の中で忘れがちな死が言葉として現れ、まとわりついてくる感覚になっていきます。
読み返すたびに、自分の中にある様々な死への感覚に気付かされます。
自分の中に死の経験が重ねられる度に、印象の変わる作品だと言え、何度も読み返したくなる一冊です。
往年の名作詩集!おすすめ3選!
本項では、国語の教科書に掲載されているような、有名な作家の詩集の中で、おすすめのものを記載していきます!
どれも名詩ばかりなので、ぜひ触れてみましょう!
①:金子みすゞ名詩集
「わたしと小鳥とすずと」で有名な、金子みすゞの詩集です。
彼女の詩集を未読の方でも、上記の詩だけであれば、国語の教科書などで読んだことがあるのではないでしょうか。
もし、あの詩が気に入っている方であれば、ぜひ手に取ってもらいたい、素晴らしい詩集です。
本書では、名詩を93編収録しており、ボリュームも十分なため、あなたの心に響く詩がかならず見つかるはずです!
②:宮沢賢治詩集
「銀河鉄道の夜」など多くの名作を残した宮沢賢治の詩集となります。
国民的に有名な著者なので、彼の作品については、そのどれかには触れたことがある方も多いはずです。
古い言葉遣いも多く、口語的な詩に慣れた人にとっては、読みづらく感じるかも知れませんが、それも合わせて、一つの芸術として楽しんで見て下さい。
何度か読み返すことで、きっとあなたも、彼が描く情緒あふれる世界を感じ取れるはずです。
③:中原中也詩集
汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる ・・
(引用:中原中也詩集)
上記の、「汚れっちまった悲しみに」の詩は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
夭折の天才である、中原中也の代表作です。
難しい表現を多用しているわけでは無く、ただ自然に言葉を紡ぎだしている為、その分心に響きやすく、情景が胸に沁みます。
たとえ彼の表現の全てを理解できなくても、不思議と引き込まれ、どこか寂しくまた、繊細で美しいものに触れている感覚を得ることができるでしょう。
まとめ
ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
詩は小説やエッセイなどよりも、感覚的な表現が多かったり、説明が少なかったりする場合が多いため、分かりにくいと思ってしまう方もいるかもしれません。
けれどもその分、想像することを楽しむことができたり、読むごとに違った受け取り方をできたりと、いろいろな楽しみ方ができます。
頭だけではなくて体全体で楽しむ感じがするのもいいですね!
ぜひ、ランキングの本はもちろん、他のいろいろな詩集を読んでみてくださいね!
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