
普段の生活で使う「メートル」や「キログラム」はおなじみですが、世界には動物の体を使った測定基準や、科学者が遊び心で作ったジョーク単位まで、驚くほどユニークな単位が眠っています。
この記事では、世界のユニークな測定単位・日本語の面白い数え方・科学者が作ったジョーク単位・身体を基準にした歴史の単位を合計30個、由来や雑学とあわせて一挙に紹介します。飲み会のネタや雑学クイズの仕込みにもぴったりなので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
世界のユニークな測定単位10選

まずは、世界各地で実際に使われていた(または現在も使われている)驚きの単位を紹介します。動物の鳴き声やハエの体の一部まで、人間の発想力には脱帽です。
1. バーン(barn)── 原子核物理学の「巨大な」面積
バーン(barn)は原子核物理学で使われる断面積の単位で、1バーン=10⁻²⁸ m²。人間の感覚ではとんでもなく小さいのですが、原子核の世界では「納屋(barn)ほど大きい」という皮肉を込めて名付けられました。原子核同士が衝突する確率を表すときに使われ、物理学者のユーモアが光る単位です。
2. スマート(smoot)── 学生の身長で橋を測定
1958年、MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生オリバー・スマートが新入生のいたずらとして自分の体を物差し代わりにし、ハーバード・ブリッジの長さを測定しました。結果は「364.4スマート ± 1人の耳」。現在も橋にはスマート目盛りがペイントされており、Googleマップでも確認できます。
3. ムゲセゲレ(Muggeseggele)── ドイツで最も小さい長さ
ドイツ南部シュヴァーベン地方の方言で「ハエの生殖器の大きさ」を意味します。実際に測定した研究者によると約0.02mm。「ほんのちょっと」を意味する日常表現として現地では普通に使われており、2010年にはドイツで最も美しい方言に選ばれたこともあります。

4. カッツェンシュプルング(Katzensprung)── 猫のひとっ飛び
ドイツ語で「猫のジャンプ」を意味する距離の表現です。日本語の「目と鼻の先」や「すぐそこ」にあたります。ドイツ語では他にも「Steinwurf(石を投げる距離)」など、動物や日常動作を使った距離表現が豊富です。
5. モルゲン(Morgen)── 牛が午前中に耕す面積
ドイツ語で「朝」を意味するモルゲンは、牛1頭が午前中(朝のうち)に耕せる面積を表す農業用の単位でした。地域によって広さが異なり、約2,500〜3,600㎡とバラつきがあります。牛の体力次第で面積が変わるというのが、なんとも牧歌的です。
6. クローシャ(krosha)── 牛の鳴き声が届く距離
古代インドの距離単位で、「牛の鳴き声が聞こえる最大距離」を基準にしています。約3.2kmとされますが、牛の声量や風向きで変わりそうなのが面白いところ。インドでは他にも「ヨジャナ(牛車で1日に進む距離)」など、動物ベースの単位が多く使われていました。
7. ドンキーパワー(donkey power)── ロバの出す力
「馬力(horsepower)」はおなじみですが、実は「ロバ力」も存在します。1ドンキーパワーは馬力の約3分の1(約250ワット)。ジェームズ・ワットが蒸気機関の性能を馬の仕事量で表したのに対し、ロバは「そこそこの働き者」として別の基準になりました。
8. ブーク(buuk)── トナカイの角が見える距離
シベリアの先住民が使っていた距離の単位で、「トナカイの角の枝分かれが肉眼で見分けられる距離」が基準です。ツンドラの広大な平原で暮らす人々にとって、トナカイは生活のすべて。距離感覚もトナカイ基準だったというわけです。
9. リークシャー(Liksha)── シラミの卵1個分の重さ
古代インドの重さの単位で、シラミの卵1個分 ≈ 約0.7mg。現代の精密天秤でもギリギリ測れるレベルです。インドでは「トラサレーヌ(格子から差す日光に浮かぶ塵の量)」というさらに小さな単位もあり、古代人の観察力に驚かされます。
10. ワラ(wala)── ブーメランが飛ぶ距離
オーストラリア先住民の間で使われていた距離の単位で、ブーメランが飛んでいく距離を基準にしています。投げる人の腕力によって変わりますが、だいたい50〜70m程度。生活に密着した道具がそのまま「ものさし」になっている好例です。
日本語の面白い数え方(助数詞)10選

日本語には約500種類もの助数詞(ものの数え方)があるとされ、その中には由来を聞くと思わず「へえ!」と言いたくなるものが多数あります。
1. うさぎ → 1羽(わ)
うさぎは哺乳類なのに、鳥のように「羽」で数えます。有力な説は、仏教の肉食禁止の抜け道として「長い耳が翼に見える → 鳥の仲間だ」と強引に解釈したというもの。お坊さんもうさぎ肉を食べたかった、という人間らしいエピソードです。
2. 豆腐 → 1丁(ちょう)
「丁」は元々偶数を意味する漢字で、豆腐が2個セットで売られていたことに由来します。現代では1ブロックで「1丁」と呼ぶのが一般的ですが、地域によっては半分を「半丁」と呼ぶ場合もあります。
3. 箪笥(たんす) → 1棹(さお)
江戸時代、箪笥を運ぶときに横棒(棹)を通して担いだことから「棹」で数えます。引っ越し業者が「たんす1棹」と言うのはこの名残。重い家具を人力で運んでいた時代の知恵がそのまま数え方に残っています。

4. イカ → 1杯(はい)
イカやカニなど甲殻類・軟体動物は「杯」で数えます。これはイカの胴体やカニの甲羅が器(杯=さかずき)のような形をしていることに由来します。ただし、生きている状態では「匹」、食材になると「杯」に変わるという使い分けもあります。
5. 蝶 → 1頭(とう)
蝶を「頭」で数えるのは英語の「head」を直訳したためとされています。西洋の博物学では昆虫標本の数を家畜と同じ「head」で数えており、明治時代に日本の学者がそのまま取り入れました。学術論文では今でも蝶を「頭」と数えます。
6. 神様 → 1柱(はしら)
日本古来の信仰では「木には神が宿る」と考えられており、神様を木の柱になぞらえて「柱」で数えるようになりました。伊勢神宮の「心御柱(しんのみはしら)」など、柱そのものが神聖視されてきた歴史がこの数え方に反映されています。
7. 鷹 → 1架(か)
鷹は「架」で数えます。鷹狩りで使う止まり木を「架」と呼んだことに由来し、止まり木にいる鷹を1架、2架と数えました。武家社会で鷹狩りが盛んだった時代の名残です。
8. 鎧(よろい) → 1領(りょう)
鎧は「領」で数えます。「領」は本来「治める範囲」を意味しますが、鎧が体全体を覆い統べるものであることから転じました。「一領具足(いちりょうぐそく)」という言葉は、普段は農民で戦時に鎧を着る兵士を指す歴史用語でもあります。
9. 墓 → 1基(き)
墓や古墳、ピラミッドなど大きくて動かないものは「基」で数えます。「基礎」の「基」から来ており、地面に据えつけられた構造物に使われます。エレベーターや信号機も「基」で数えるのは、設置型の機械だからです。
10. 箸 → 1膳(ぜん)
箸は2本で1セットなのに「1膳」と数えます。「膳」は食事を載せるお盆のことで、1回の食事(1膳)に箸1セットが付くから「1膳」。食事と箸がセットで考えられていたわけです。
科学者が作ったジョーク単位5選

科学の世界には、学術論文でも使われる「半分本気・半分冗談」の単位があります。真面目な研究者たちのユーモアセンスに脱帽です。
1. ヘレン(helen)── 美貌の単位
ギリシャ神話のトロイのヘレンは「その美しさで1,000隻の船を動かした」とされています。そこから1ヘレン=1,000隻の船を出航させる美貌と定義。1ミリヘレンなら「船1隻を動かすほどの美しさ」になります。ケンブリッジ大学の数学者が提案した、文学と数学が融合したジョーク単位です。
2. バナナ等価線量(BED)── バナナ1本分の放射線
バナナにはカリウム40という放射性物質が微量に含まれています。バナナ1本を食べたときの被曝量を1 BED(Banana Equivalent Dose)≈ 0.1マイクロシーベルトと定義したのがこの単位。放射線量を一般の人にわかりやすく伝えるために考案されました。ちなみに、胸部X線撮影は約500〜600 BED(バナナ500〜600本分)に相当します。

3. シェイク(shake)── 核物理学の「あっという間」
1シェイク=10ナノ秒(100億分の1秒)。マンハッタン計画(原子爆弾の開発)の際に核分裂の連鎖反応を議論するために使われました。名前の由来は英語の慣用句「in two shakes of a lamb’s tail(子羊のしっぽが2回揺れる間に=あっという間に)」。極秘プロジェクトの中でもユーモアを忘れなかった科学者たち、さすがです。
4. マイクロモート(micromort)── 死亡確率の単位
1マイクロモート=100万分の1の死亡確率。スタンフォード大学の統計学者ロナルド・ハワードが提唱しました。例えば、スカイダイビング1回は約7マイクロモート、スキューバダイビング1回は約5マイクロモート。日常のリスクを数値化することで、冷静な判断ができるようになるという実用的な側面もあります。
5. ジフィー(jiffy)── 科学的に定義された「一瞬」
日常会話で「一瞬で」を意味する「ジフィー」ですが、物理学では光が1cmを進む時間 ≈ 約33.4ピコ秒と厳密に定義されています。化学では分子振動の時間、コンピュータサイエンスではクロックサイクルなど、分野ごとに定義が異なるのも面白い特徴です。
身体を基準にした歴史の単位5選
メートル法が世界統一される前、人々は自分の体を「ものさし」にしていました。現代でも名前が残っている有名な単位を見てみましょう。
1. キュビト(cubit)── 肘から指先まで
肘から中指の先まで ≈ 約45cm。古代エジプトでピラミッドの建設にも使われた最古級の長さの単位です。旧約聖書の「ノアの方舟」のサイズも「300キュビト×50キュビト×30キュビト」と記されています。現代の感覚では約135m×22.5m×13.5mになります。
2. ファゾム(fathom)── 両腕を広げた幅
両腕を左右に広げた幅 ≈ 約1.83m(6フィート)。船乗りが海の深さを測るときに使った単位で、ロープを手繰りながら「1ファゾム、2ファゾム……」と数えました。英語の「fathom(理解する)」も、深さを測る=物事の深さを理解する、という意味で派生した言葉です。
3. インチ(inch)── 親指の幅
親指の第1関節の幅 ≈ 約2.54cm。ラテン語の「uncia(12分の1)」が語源で、1フィートの12分の1として定義されました。今でもテレビやスマホの画面サイズに使われる身近な単位です。
4. ヤード(yard)── 鼻から指先まで
イングランドのヘンリー1世が「自分の鼻先から伸ばした腕の指先までの距離」を1ヤード(約91.4cm)と定めたとされています。国王の体で長さが決まるとは、まさに王様の特権。ただし、この逸話には異説もあります。
5. フィート(feet)── 足の大きさ
足の裏の長さ ≈ 約30.48cm。文字通り「足(foot)」が語源で、古代ローマ時代から使われています。アメリカではメートル法ではなく今でもフィートが主流で、身長を「5フィート10インチ」のように表現します。
知っておくとちょっと自慢できる単位の豆知識
最後に、日本人なら押さえておきたい「単位にまつわるトリビア」をいくつか紹介します。
東京ドーム何個分 ── 日本だけの面積表現
テレビでおなじみの「東京ドーム○個分」ですが、1東京ドーム ≈ 46,755㎡。実はこの表現は日本独特のもので、海外では通じません。アメリカでは「フットボールフィールド○個分」、イギリスでは「ウェールズ○個分」など、国ごとに比較対象が異なります。
匁(もんめ) ── 世界に残る日本の重さの単位
1匁 ≈ 3.75g。江戸時代に使われていた日本の重さの単位ですが、実は真珠の重さの国際単位として今も世界中で使われています。日本が世界最大の真珠輸出国だった時代に、取引の基準として匁が定着したためです。
石(こく) ── 大名の豊かさを表す単位
1石 ≈ 約150kgの米 ≈ 大人1人が1年間に食べる量。戦国大名の領地の豊かさは「○万石」で表され、「加賀百万石」の前田家は100万人を養える財力があったことを意味します。現代の感覚では、米の価格に換算すると1石 ≈ 約5〜6万円程度です。
Q. 世界で唯一、日本語由来の国際単位は何?
A. 匁(もんめ)です。真珠の取引で世界共通の重量単位として現在も使用されています。漢字がそのままローマ字表記(momme)で国際的に通用する珍しい例です。

まとめ
今回は、世界のユニークな測定単位・日本語の面白い数え方・科学者のジョーク単位・身体を基準にした歴史の単位まで、合計30の面白い単位を紹介しました。
「ハエの生殖器の長さ」を正式な単位にするドイツ人のセンスも、「うさぎは鳥だ」と言い張って食べていた日本のお坊さんも、人間はいつの時代も自分に都合よく単位を作ってきたことがわかります。
この記事を読んで「へえ!」と思った単位があったら、ぜひ友達や家族にもシェアしてみてください。飲み会やちょっとした雑談のネタとしても活躍すること間違いなしです。
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