みどりの日の由来|昭和天皇の植物愛と祝日法変遷を解説

カレンダーで5月4日が「みどりの日」と書かれているのを見て、「なんでみどりなんだろう?」「もともと4月29日じゃなかった?」と感じたことはありませんか。実はみどりの日の歴史は、昭和天皇の崩御(1989年)と祝日法改正(2005年)という2つの大きな出来事を経て、4月29日から5月4日へと移動した複雑な経緯があります。

そして「みどり」という名前の本当の由来は、昭和天皇が生涯にわたって続けた生物学・植物学への深い愛にあります。本記事では、内閣府・環境省・林野庁・国立科学博物館などの公式情報をもとに、みどりの日の意味と歴史、そして昭和天皇と植物の関わりを徹底解説します。

ゴールデンウィークの祝日って、毎年ぼんやり休んでいる気がしますが、調べてみると一つひとつにちゃんと由来があるんですよね。特にみどりの日は2回も移動した珍しい祝日でした。

みどりの日 早見表

新緑のもみじ みどりの日のイメージ

まずは要点を表で押さえましょう。

項目 内容
日付 5月4日(2007年から)
祝日法第2条の趣旨 「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」
制定年(4月29日として) 1989年(平成元年)
移動年(5月4日へ) 2007年(平成19年)
名称の由来 昭和天皇が植物学に造詣が深く、自然をこよなく愛したことから
関連する月間 みどりの月間(4月15日〜5月14日)
関連祝日 昭和の日(4月29日)、こどもの日(5月5日)、憲法記念日(5月3日)

5月4日のみどりの日は、4月29日の「昭和の日」とセットで覚えると分かりやすくなります。両方とも昭和天皇に由来する祝日で、もともと4月29日にあった「みどりの日」が2007年に5月4日へ移り、4月29日は「昭和の日」になりました。

みどりの日とは

みどりの日は、日本の国民の祝日のひとつです。「国民の祝日に関する法律」(祝日法)第2条には次のように定められています。

祝日法第2条「みどりの日」の定義
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

シンプルですが、「自然」「恩恵」「豊かな心」の3つのキーワードが入っています。森林・里山・田園などの自然環境がもたらす恵み(空気・水・木材・癒やしなど)に感謝し、自然と触れ合うことで心を豊かにしようという日です。

ちょうど5月初めは新緑が一斉に芽吹く時期で、ゴールデンウィーク中の絶好の自然観察シーズンでもあります。森林浴、植物園散策、家族で公園ピクニックなど、自然と触れ合う活動にぴったりの祝日として位置づけられています。

環境省と林野庁は、みどりの日を含む4月15日〜5月14日を「みどりの月間」と定めて、全国植樹祭・みどりの式典・みどりの感謝祭などの行事を展開しています(詳しくは後述)。

みどりの日の由来:1989年の制定経緯

昭和天皇 正装の肖像

みどりの日が誕生したのは1989年(平成元年)です。きっかけは1989年1月7日の昭和天皇崩御でした。

それまで4月29日は「天皇誕生日」でした。昭和天皇の誕生日(1901年4月29日生)に基づく祝日で、1948年の祝日法施行から41年間続いた国民の休日です。しかし崩御によって天皇誕生日は新しい天皇(明仁天皇/現在の上皇陛下)の誕生日である12月23日に移ることになりました。

このとき問題になったのが「ゴールデンウィークの構成」です。4月29日が平日に戻ると、5月3日(憲法記念日)と5月5日(こどもの日)の間が分断され、長期連休が崩れてしまいます。観光業界・国民生活への影響が大きいと判断され、政府は4月29日を新たな祝日として残すことを決めました。

祝日法改正までの素早い動き
1989年1月7日:昭和天皇崩御。
1989年2月17日:祝日法改正案を閣議決定。
1989年2月17日:参議院で可決成立。
1989年2月17日:当日中に公布、即日施行。
昭和天皇崩御からわずか1ヶ月余で「みどりの日」が誕生した、異例のスピード改正でした。

こうして「天皇誕生日」だった4月29日は、新たに「みどりの日」と名付けられました。趣旨は当時から「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」と定められ、今日まで変わっていません。

4月29日の祝日変遷:天長節→天皇誕生日→みどりの日→昭和の日

4月29日という日付は、昭和天皇の生年月日に基づいて設定された祝日でした。明治以来、天皇誕生日は様々な名称で祝われてきましたが、4月29日は4段階の名称変更を経て今の「昭和の日」に落ち着きました。

期間 名称 位置づけ
1927年〜1947年 天長節(てんちょうせつ) 昭和天皇の誕生日。古代から続く天皇誕生日の伝統的呼称
1948年〜1988年 天皇誕生日 祝日法施行に伴い名称変更。意義は同じく昭和天皇の誕生日
1989年〜2006年 みどりの日 昭和天皇崩御後、祝日として残すために改名
2007年〜現在 昭和の日 祝日法改正により昭和の時代を顧みる日として確立

「天長節」とは、中国唐代の皇帝玄宗の誕生日を「天長節」と称したことに由来する古い言葉で、「天地が永久であるように天皇の治世も続く」という意味が込められています。日本では奈良時代から天皇の誕生日を天長節として祝う伝統があり、明治・大正・昭和と続きました。

戦後の1948年、占領下で「国民主権」「天皇は国民統合の象徴」という新憲法の理念が定着し、宗教色・国家神道色のあった「天長節」は「天皇誕生日」と改められました。意義そのものは変わらず、昭和天皇の誕生日として国民が祝う日でした。

同じ4月29日が60年で4回も名前を変えたのは、日本の祝日史でも異例だと思います。それだけ昭和という時代が転換点だった証拠なのかもしれません。

なぜ「みどり」という名前になったのか

4月29日を祝日として残すと決めた政府は、新しい名称をどうするか議論しました。当時の小渕恵三内閣官房長官(後の総理大臣)の諮問機関で複数の案が検討されたと言われています。

候補名 理由
みどりの日 昭和天皇が植物・自然をこよなく愛したことに基づく
科学の日 昭和天皇の生物学者としての側面を顕彰
春の日 季節感を重視
植物の日 「みどりの日」とほぼ同趣旨だが直接的

議論の結果、「昭和天皇は植物に造詣が深く、自然をこよなく愛した」という評価が大勢を占め、「『緑』にちなむ名がふさわしい」との意見でまとまりました。「科学」だと範囲が広すぎ、「植物」だと逆に狭く感じられたため、より象徴的な「みどり」が選ばれた形です。

「天皇誕生日」案は最初から除外
4月29日を「(昭和)天皇誕生日」のまま残すという案は、新しい天皇誕生日(12月23日)と重複するため当初から検討対象外でした。1人の天皇の誕生日を2つ祝う形にすると国民の混乱を招くからです。一方で当時、戦争・占領・高度成長を経験した「昭和」を直接顕彰する案も慎重論が多く、最初は採用されませんでした(後の2007年改正で実現)。

昭和天皇と生物学:「みどりの日」の真の由来

昭和天皇 1928年(昭和3年)の肖像

「みどりの日」の名称は、昭和天皇の生物学・植物学への並々ならぬ関心と研究実績に由来します。一般には「優しいおじいさんの天皇」というイメージで語られがちですが、実は昭和天皇は本格的な生物学者としての顔を持っていました。

ヒドロ虫類のライフワーク

昭和天皇は大正14年(1925年)頃から、当時の宮内省御用掛だった生物学者・服部広太郎博士の指導を受けて生物学研究を本格的に始められました。研究テーマはヒドロ虫類(ヒドロゾア)でした。ヒドロ虫類とはクラゲやイソギンチャクを小さくしたような海産動物で、岩礁や海藻に付着して生活する小さな生き物です。

昭和4年(1929年)からは宮中に生物学御研究所が設けられ、皇居内・那須御用邸・葉山御用邸を拠点に研究が進められました。昭和天皇は時間を見つけては相模湾で採集を行い、御研究所で標本作成・スケッチ・分類同定を続けられました。

昭和天皇の標本コレクション
昭和天皇が生涯にわたり収集・作成された標本は総数6万点を超えると言われています。崩御後、これらの大部分は国立科学博物館に移管され、「昭和天皇の生物学ご研究」として現在も研究・展示が続けられています。学術的価値の高い貴重な日本産海産動物コレクションです。

『相模湾産後鰓類図譜』など7冊の論文集

昭和天皇 1956年(昭和31年)の肖像

昭和天皇は「裕仁」のお名前で生物学論文・図譜を多数発表されました。代表的な著作は次の通りです。

刊行年 書名 内容
昭和24年(1949) 『相模湾産後鰓類図譜』 相模湾で採集した後鰓類(海産巻貝の一群)の精密図譜
昭和30年(1955) 『相模湾産後鰓類図譜補遺』 上記の追補版
昭和46年(1971) 『相模湾産海鞘類図譜』 ホヤ類の図譜
昭和52年(1977) 『相模湾産ヒドロ虫類』 ライフワークのヒドロ虫類研究の集大成

論文集の図譜は緻密な手描きスケッチで構成され、現在でも分類学者の参考資料として使われています。共同研究者の馬場菊太郎・原田英司・服部広太郎らとの協同作業で、長年の地道な観察の成果が集大成されました。

これらの研究成果から、複数の新種ヒドロ虫類・海産動物が記載されており、学名に「天皇陛下」を意味する命名がされた種もあります。

「雑草という草はない」エピソード

昭和天皇の植物への深い関心を示す有名な逸話に「雑草という草はない」があります。皇居の手入れに来ていた庭師が「雑草を取り除きました」と報告したところ、昭和天皇は「雑草という草はない。どんな草にも名前があり、それぞれに役割がある」と諭されたと伝えられています。

このエピソードは作家・山本周五郎の随筆『日日平安』や、植物学者・牧野富太郎の言葉と混同されることもありますが、昭和天皇の自然観を象徴するエピソードとして広く知られています。すべての生き物に意味を見出す科学者としての視点と、博愛的な人間観が融合した言葉と言えるでしょう。

研究者として6万点もの標本を集めた天皇という存在は、世界の歴史を見渡してもとても珍しいです。「みどりの日」が昭和天皇の植物愛から生まれたと知ると、ただの祝日が少し違って見えてきますね。

2005年祝日法改正:5月4日への移動

「みどりの日」として4月29日に18年間定着した祝日は、2005年(平成17年)の祝日法改正により、再び大きく変わることになりました。改正の施行は2007年(平成19年)。この改正で4月29日と5月4日の役割が入れ替わったのです。

日付 改正前(〜2006年) 改正後(2007年〜)
4月29日 みどりの日 昭和の日
5月3日 憲法記念日 憲法記念日(変更なし)
5月4日 国民の休日 みどりの日
5月5日 こどもの日 こどもの日(変更なし)

改正の背景には「昭和の時代を直接顧みる祝日が必要だ」という超党派の声がありました。1989年の「みどりの日」制定時には昭和天皇崩御の直後で、政治的に「昭和」を直接掲げる祝日は議論を避けた経緯があります。しかし時間が経ち、戦争・復興・高度成長を経て世界第二の経済大国に成長した「昭和」を顧みることへの抵抗感が薄れたタイミングで、ようやく実現しました。

「昭和の日」の趣旨は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と定められています。みどりの日とは趣旨が異なり、より歴史的な視点が前面に出ています。

5月4日の歴史:「国民の休日」からみどりの日へ

5月4日が現在の「みどりの日」になる前の話も興味深いです。1986年〜2006年の20年間、5月4日は「国民の休日」と呼ばれる、ちょっと変わった休みの日でした。

「国民の休日」の誕生(1985年祝日法改正)

1985年(昭和60年)12月27日の祝日法改正で「国民の休日」という制度が新設されました。これは「祝日と祝日に挟まれた平日」を休日とする制度で、5月3日(憲法記念日)と5月5日(こどもの日)に挟まれた5月4日が、その典型的な対象でした。

「国民の休日」誕生の背景
1980年代当時、「日本人は働きすぎだ」という海外からの批判(過労死・カローシ問題)が高まっており、休暇拡大の世論が高まっていました。1985年の祝日法改正は、その流れに応える形で実現したものです。フランスやドイツのように長期バカンスを取る欧州諸国と比べて、日本の休暇日数は突出して少なかった時代背景があります。

初の「国民の休日」は1988年5月4日

制度ができたものの、初めて実際に5月4日が「国民の休日」となったのは1988年(昭和63年)です。1986年の5月4日は日曜日で、1987年は5月3日が日曜日のため5月4日が振替休日となり、いずれも「国民の休日」として機能しなかったためです。

2007年の格上げで「みどりの日」へ

2007年の祝日法改正により、5月4日は「国民の休日」から正式な「祝日(みどりの日)」へと格上げされました。この移動には次のメリットがありました。

変更ポイント メリット
5月4日が日曜日でも振替休日に 「国民の休日」は日曜日重複時に振替なしだったが、祝日になることで翌月曜が振替休日に
祝日扱いで意味付けが明確に 単なる「挟まれた日」から「自然に感謝する日」へ昇格
みどりの日の趣旨を継承 昭和天皇の自然愛に由来する祝日が消滅せず、5月の新緑時期に移動して相応しい時期に

みどりの月間(4月15日〜5月14日)

みどりの日のバスの旗 5月4日の祝日

みどりの日を中心に、政府は毎年4月15日から5月14日までの1ヶ月間を「みどりの月間」と定めて、全国で緑化に関するキャンペーンを展開しています。主導するのは環境省と林野庁、そして地方自治体や民間の緑化推進団体です。

みどりの月間中の主な行事

行事名 主催 内容
みどりの式典 内閣府 「みどりの学術賞」の授与など。みどりに関する学術功労者を顕彰
みどりの感謝祭 国土緑化推進機構 緑の恩恵に感謝する記念式典・自然体験イベント
全国植樹祭 国土緑化推進機構・都道府県 天皇皇后両陛下ご臨席のもと、各都道府県持ち回りで開催
みどりの日 自然環境功労者環境大臣表彰 環境省 1999年(平成11年)から実施。自然環境保全に貢献した個人・団体を表彰
緑の少年団全国交歓集会 国土緑化推進機構 子どもたちが森林・自然について学ぶ集会
緑の募金 国土緑化推進機構 3月〜5月に集中的に実施。森林整備・緑化活動の資金を募る

「みどりの学術賞」は2007年(平成19年)に創設された、植物・森林・緑地に関する学術的功績を顕彰する賞で、毎年2名程度に天皇皇后両陛下ご臨席のもと授与されます。日本の「緑学術界のノーベル賞」とも言える権威ある賞です。

全国の植物園・国立公園・森林公園では、みどりの月間中に入園無料デーを設けるところもあります。家族で自然を満喫するチャンスとして活用しましょう。

全国植樹祭の歴史

みどりの日と密接に関連する大規模な国家行事が「全国植樹祭」です。全国植樹祭は、戦後の荒廃した山林を再生するために始められた緑化運動の頂点に位置する行事です。

第1回は1950年・山梨県甲府市

第1回大会は1950年(昭和25年)4月4日、山梨県甲府市で「植樹行事並びに国土緑化大会」として開催されました。当時の天皇皇后両陛下(昭和天皇と香淳皇后)ご臨席のもと、戦後復興の象徴として大々的に行われました。

戦後の山林荒廃と緑化運動
第二次世界大戦中、軍需資材として大量の木材が伐採され、戦後は復興のための木材需要も加わって日本の山林は深刻な荒廃状態でした。1950年代から国を挙げての植林運動が始まり、現在の人工林(スギ・ヒノキを中心とする)の多くはこの時期に植えられたものです。荒廃地造林をテーマにした第1回植樹祭は、その記念すべきスタートでした。

名称変更と恒例化

当初は「植樹行事並びに国土緑化大会」という長い名称でしたが、1970年(昭和45年)の第21回大会(福島県)から現在の「全国植樹祭」に統一されました。以来、毎年5月頃に各都道府県持ち回りで開催され、天皇皇后両陛下のご臨席(現在は今上天皇皇后両陛下)が恒例となっています。

2026年は5月23日〜24日に愛媛県(東温市・松山市)で第76回全国植樹祭が開催される予定です。テーマは「木と人 つながる未来 えひめから」。みどりの月間と接続するように開催時期が設定されています。

歴代開催地(一部抜粋)

開催地
第1回 1950(昭和25) 山梨県甲府市
第21回 1970(昭和45) 福島県(名称統一の年)
第50回 1999(平成11) 福井県
第60回 2009(平成21) 福井県
第74回 2024(令和6) 岡山県
第75回 2025(令和7) 埼玉県
第76回 2026(令和8) 愛媛県

諸外国の自然関連祝日との比較

皇居東御苑の庭園 緑の風景

「自然を愛する日」「環境保護の日」は世界各国にもあります。日本のみどりの日と比較してみましょう。

国・地域 名称 日付 特徴
日本 みどりの日 5月4日 祝日。自然に親しみ、その恩恵に感謝
世界 アースデイ(地球の日) 4月22日 1970年米国発祥。世界の環境イベント。日本では祝日ではない
韓国 植木日(シンモギル) 4月5日 かつては祝日(2006年に祝日廃止、現在は記念日)
台湾 植樹節 3月12日 孫文の命日にあたる記念日。植樹キャンペーン
中国 植樹節 3月12日 1979年制定。記念日(祝日ではない)
ドイツ 森林の日(Tag des Waldes) 3月21日 国連が定めた国際森林デー。ドイツの祝日ではない
米国 アーバーデイ(Arbor Day) 4月最終金曜 1872年ネブラスカ州発祥の植樹日。州により日付が異なる

こうして見ると、「自然・植樹」を国民の祝日(公休日)として正式に位置づけている国は意外と少ないことが分かります。日本のみどりの日は、世界的に見てもユニークな存在と言えるでしょう。

アースデイは祝日ではない
4月22日のアースデイは1970年に米国で始まった世界的な環境イベントで、世界中で環境関連のイベントが開催されますが、ほとんどの国で「祝日」ではありません。日本でも代々木公園などで「アースデイ東京」などのイベントが開かれますが、平日扱いです。

みどりの日と昭和の日の違い完全比較

4月29日の「昭和の日」と5月4日の「みどりの日」は、いずれも昭和天皇に由来する祝日ですが、趣旨と歴史は異なります。混同しがちな2つの祝日を整理しましょう。

項目 昭和の日 みどりの日
日付 4月29日 5月4日
制定年(現在の名称) 2007年(平成19年) 2007年(平成19年)
祝日法第2条の趣旨 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ
由来する人物 昭和天皇(昭和という時代) 昭和天皇(植物・自然への愛)
過去の名称 天長節→天皇誕生日→みどりの日→昭和の日 (旧)国民の休日→みどりの日
性格 歴史的・回顧的 自然志向・未来志向
関連行事 昭和天皇に関する展示・追悼 みどりの月間・植樹祭・自然観察

覚え方としては、「4月29日(昭和の日)=昭和を顧みる日」「5月4日(みどりの日)=自然に感謝する日」と整理すると分かりやすいでしょう。両方とも昭和天皇に縁がありますが、視線の向きが「過去(昭和の時代)」と「自然(永遠のテーマ)」で異なる点が大切です。

みどりの日の過ごし方

趣旨が「自然に親しむ」である以上、みどりの日は屋外で自然を楽しむのが一番ふさわしい過ごし方です。具体的な活動例を挙げてみます。

1. 公園・植物園・国立公園に出かける

新緑が美しい季節なので、公園や植物園、国立公園での散策・ピクニックは定番。みどりの月間中は入園無料デーを設けている植物園もあるので、各施設の公式サイトをチェックしてみましょう。

2. 家庭菜園・ガーデニングに取り組む

5月初めはガーデニングシーズンの始まり。家庭菜園の苗植え、プランターでの花の植え替え、観葉植物の植え替えなど、植物と向き合う作業に最適な日です。子どもと一緒に種まきをすれば、夏に向けて楽しみが増えます。

3. 森林浴・トレッキング

都市部から少し足を延ばして、森林公園や低山ハイキングへ。新緑の中で深呼吸する「森林浴」には、フィトンチッド(樹木が放出する芳香成分)によるリラックス効果が科学的に確認されています。

4. 緑の募金に協力

国土緑化推進機構の「緑の募金」は4月15日〜5月14日のみどりの月間に集中的に実施されます。コンビニ・駅前・郵便局・銀行などで募金箱を見かけたら、少額でも協力するのもみどりの日らしい行動です。集まった寄付金は森林整備・国土緑化・緑の少年団活動などに使われます。

5. 動物園・水族館で生物を観察する

昭和天皇が生物学者だったことを思い出して、動物園・水族館を訪れるのも一案です。みどりの日にちなんだイベントを実施する施設もあります。

私が試したことがあるのは「家の近くの草花の名前をスマホアプリで調べる」遊びです。Google レンズや「PictureThis」のようなアプリを使うと、道端の雑草も「ヒメオドリコソウ」「カラスノエンドウ」のように名前を持っていることが分かって、昭和天皇の「雑草という草はない」を実感できます。

みどりの日 Q&A 8問

Q1. みどりの日と昭和の日は両方ともゴールデンウィークに含まれますか?

はい。ゴールデンウィークは一般に4月29日(昭和の日)から5月5日(こどもの日)までを指し、その間の祝日にはみどりの日(5月4日)も含まれます。

Q2. みどりの日が日曜日になったら振替休日はありますか?

あります。みどりの日は祝日法上の「国民の祝日」なので、日曜日と重なった場合は翌月曜が振替休日になります。2007年以前の「国民の休日」時代はこのルールが適用されませんでしたが、祝日に格上げされたことで明確化されました。

Q3. みどりの日に学校・会社は休みですか?

原則として休みです。国民の祝日なので官公庁・学校・銀行・多くの企業は休業します。ただしサービス業(小売・飲食・観光)は営業することが多く、医療機関も多くは休診です。

Q4. みどりの日と「みどりの月間」の違いは?

「みどりの日」は5月4日の1日だけの祝日で、「みどりの月間」は4月15日〜5月14日の1ヶ月間の啓発期間です。月間中はみどりの日を中心に各種イベントが開催されます。

Q5. なぜ4月29日が「みどりの日」から「昭和の日」に変わったのですか?

2005年の祝日法改正で「昭和の時代を直接顧みる祝日が必要だ」という意見が国会で多数を占めたためです。昭和天皇崩御直後の1989年には政治的配慮で「みどりの日」と命名されましたが、時間が経過し抵抗感が薄れたため、より直接的な「昭和の日」に変更されました。

Q6. 5月4日は元から祝日ではなかったのですか?

祝日ではなく「国民の休日」でした。1985年祝日法改正で「祝日と祝日に挟まれた平日を休日とする」制度が新設され、5月3日と5月5日に挟まれた5月4日が初めて休みになったのは1988年です。2007年に「みどりの日」に格上げされ、正式な祝日になりました。

Q7. 昭和天皇は本当に生物学者だったのですか?

はい。本格的な研究者でした。大正14年頃から服部広太郎博士の指導でヒドロ虫類研究を始められ、論文集『相模湾産後鰓類図譜』『相模湾産ヒドロ虫類』など複数の学術書を「裕仁」名義で発表されました。標本コレクションは6万点を超え、国立科学博物館に保管されています。

Q8. みどりの日に何か特別なことをしないといけませんか?

義務はありません。趣旨は「自然に親しむこと」なので、家でのんびり過ごしてもOKです。ただ、せっかくの新緑シーズンなので、近所の公園を散歩する、ベランダの植物に水をやる、植物図鑑を眺めるなど、自然を意識する小さな行動を取るとみどりの日の趣旨に沿った1日になります。

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5月の祝日や行事に関する解説記事をまとめてご紹介します。みどりの日と一緒に読むと、ゴールデンウィーク前後の文化背景が立体的に見えてきます。

まとめ

みどりの日は、昭和天皇崩御を機に1989年に4月29日の祝日として誕生し、2007年に5月4日へ移動した珍しい祝日です。「みどり」という名称は、昭和天皇が大正末期から60年以上にわたり続けた生物学・植物学への深い愛と、6万点を超える標本コレクションに代表される本格的な研究実績に由来します。

4月29日の祝日は天長節→天皇誕生日→みどりの日→昭和の日と4回も名前を変え、その変遷は日本の戦前・戦後・平成・令和の時代の流れそのものを映しています。一方の5月4日は、1985年制定の「国民の休日」を経て、2007年に祝日に格上げされた比較的新しい祝日です。

4月15日〜5月14日のみどりの月間中は、全国植樹祭・みどりの式典・緑の募金などの行事が展開されます。せっかくの新緑シーズンなので、公園・植物園・森林公園などに足を運び、自然に親しむ1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

私自身、毎年「ゴールデンウィークの中の祝日のひとつ」くらいの認識でみどりの日を過ごしていましたが、由来を調べてみると昭和天皇の生物学への深い情熱があったと知り、見方が変わりました。今年はベランダの観葉植物を植え替えながら、ヒドロ虫類の研究に没頭された昭和天皇のことをちょっと思い出してみようと思います。

参考文献