世界のじゃんけん20カ国比較|海外の名前・掛け声・変わったルールを徹底解説

「グー・チョキ・パー」で決着をつけるじゃんけんは、日本人にとってあまりにも身近な遊びです。しかし、海外でも同じようなゲームが存在することをご存じでしょうか。

実は、じゃんけんは世界中で親しまれていますが、国によって掛け声やルール、出す「手」の種類まで異なります。フランスでは4種類の手があったり、インドネシアでは「象・アリ・人間」で勝負したり、驚きの違いが満載です。

この記事では、世界20カ国以上のじゃんけんを比較表付きで紹介し、その歴史・起源から必勝法まで徹底解説します。

筆者も海外旅行中に現地の人とじゃんけんをしたことがありますが、掛け声が全然違って通じなかった経験があります。調べてみると、国ごとの違いが本当に面白いんです。

じゃんけんの基本ルールと日本での位置づけ

じゃんけんは、「グー(石)」「チョキ(鋏)」「パー(紙)」の3つの手を使い、三すくみの関係で勝敗を決めるゲームです。

三すくみとは、グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つという循環的な関係のことです。どの手にも必ず勝てる手と負ける手があるため、完全に公平な勝負になります。

日本では、物事を決めるときに「じゃんけんで決めよう」というのがごく自然な習慣です。席順を決めるとき、おやつの最後の1個を争うとき、鬼ごっこの鬼を決めるときなど、日常のあらゆる場面で使われています。

じゃんけんの基本ルール
  • グー(石):拳を握った形 → チョキに勝つ
  • チョキ(鋏):人差し指と中指を伸ばした形 → パーに勝つ
  • パー(紙):手のひらを開いた形 → グーに勝つ
  • 掛け声:「じゃんけんぽん!」(あいこのとき「あいこでしょ!」)

じゃんけんの歴史と起源

古代中国の「拳遊び」がルーツ

じゃんけんのルーツをたどると、中国の「拳遊び(けんあそび)」にたどり着きます。明代(14〜17世紀)の文献『六研齋筆記』には、「猜拳(ツァイチュエン)」と呼ばれる拳遊びの記述が見られます。

ただし、当時の中国の拳遊びは、現在のグー・チョキ・パーとは異なる形式でした。指の本数を当て合う「数拳(かずけん)」が主流で、三すくみの関係を使ったゲームとは別物だったとされています。

日本で現在の三すくみ形式が完成

現在の「石・紙・鋏」による三すくみ形式のじゃんけんは、19世紀末(明治時代)の日本で完成したというのが有力な説です。

江戸時代にはすでに「虫拳(むしけん)」や「狐拳(きつねけん)」といった三すくみの拳遊びが存在していました。虫拳は「蛇・蛙・蛞蝓(なめくじ)」の三すくみ、狐拳は「狐・庄屋・猟師」の三すくみで遊ぶゲームです。

これらの拳遊びが進化・簡略化され、19世紀末に九州地方で「石拳(いしけん)」として現在のルールが確立したと考えられています。実際に「石拳」の記述が書物に登場するのは明治時代以降のことです。

明治以降に世界へ伝播

日本で完成したじゃんけんは、明治以降の移民や国際交流を通じて世界各地へ広まりました。特に20世紀に入ると、アジア諸国をはじめ、欧米にも急速に普及しています。

興味深いのは、ブラジルやボリビアでは「Jokenpô(ジョケンポ)」「Yan Ken Po(ヤンケンポ)」のように、明らかに日本語の「じゃんけんぽん」が変化した掛け声が使われている点です。これは、日本人移民が持ち込んだことの証拠といえるでしょう。

ポルトガル語圏への日本語の影響については、ポルトガル語が由来の日本語30選|パン・カステラ・ボタン…実は南蛮由来だった意外な言葉たちでも詳しく解説しています。じゃんけんの伝播は、逆に日本語がポルトガル語圏に影響を与えた例として注目されます。

世界のじゃんけん比較表(20カ国・地域)

世界各国のじゃんけんを一覧表にまとめました。国によって名前も掛け声も手の種類もさまざまです。

国・地域 現地名・掛け声 手の種類 特徴
日本 じゃんけんぽん 3種(石・鋏・紙) 世界標準の原型
韓国 가위바위보(カウィバウィボ) 3種 順番が「鋏・石・布」
中国 猜拳(ツァイチュエン) 3種 「石頭・剪刀・布」
インドネシア Sut(スッ) 3種 象・アリ・人間で勝負
フィリピン Jack and Poy / Bato Bato Pik 3種 掛け声が日本語に酷似
マレーシア One-Two-Jus 3種 鳥・石・水で勝負
タイ เป่ายิ้งฉุบ(パオ・イン・チュップ) 3種 「吹く・撃つ・捕まえる」の動作
アメリカ Rock, Paper, Scissors 3種 世界大会を開催
イギリス Rock, Paper, Scissors 3種 アメリカと同形式
フランス Pierre, Feuille, Ciseaux 4種 「井戸」が加わる
ドイツ Schnick, Schnack, Schnuck 3〜4種 地域により「井戸」あり
スペイン Piedra, papel o tijera 3種 「石・紙・鋏」
イタリア Morra cinese / Sasso, carta, forbice 3種 「中国式モッラ」と呼ぶ
ポルトガル Pedra, papel e tesoura 3種 「石・紙・鋏」
ブラジル Jokenpô 3種 日本語「じゃんけんぽん」が語源
メキシコ Chin chan pú / Pikachú 3種 「ピカチュウ」と呼ぶことも
ボリビア Yan Ken Po 3種 日本語由来の掛け声
ロシア Камень, ножницы, бумага 3種 「石・鋏・紙」
トルコ Taş, Kağıt, Makas 3種 「石・紙・鋏」
南アフリカ Ching Chong Cha 3種 掛け声がアジア風

ほとんどの国では「石・紙・鋏」の3種類ですが、フランスやドイツの一部地域では4種類の手を使うのが最大の特徴です。

アジアのじゃんけん

韓国「가위바위보(カウィバウィボ)」

韓国のじゃんけんは「가위바위보(カウィバウィボ)」と呼ばれ、直訳すると「鋏・石・布」です。日本の「グー・チョキ・パー」と順番が違い、チョキに相当する「鋏」から始まるのが特徴です。

ルール自体は日本と全く同じ三すくみですが、韓国独自のじゃんけん遊びとして「ムクチッパ(묵찌빠)」があります。これは通常のじゃんけんで勝った人が攻撃側になり、次の手で同じ手を出せば勝ちというルールで、テレビのバラエティ番組でもよく使われています。

中国「猜拳(ツァイチュエン)」

中国では「猜拳(ツァイチュエン)」と呼ばれ、手は「石頭(シートウ)・剪刀(ジエンダオ)・布(ブー)」の3種類です。興味深いのは、現在中国で行われているグー・チョキ・パー形式のじゃんけんは、明治以降に日本から逆輸入されたものと考えられている点です。

中国には古くからの拳遊び文化がありますが、三すくみ形式は日本で完成したものが再び中国に伝わったという、文化の往復が起きているのです。

インドネシア「象・アリ・人間」

インドネシアのじゃんけんは、世界で最もユニークなものの一つです。使う手は「ゾウ(gajah)・アリ(semut)・人間(orang)」の3種類で、指の形で表現します。

  • ゾウ(親指):人間より大きくて力があるので、人間に勝つ
  • 人間(人差し指):アリを踏み潰せるので、アリに勝つ
  • アリ(小指):ゾウの耳に入って苦しめるので、ゾウに勝つ

「小さなアリが巨大なゾウに勝つ」という逆転の発想が面白いですよね。掛け声は「Sut!(スッ!)」とシンプルです。

フィリピン「Jack and Poy」

フィリピンでは「Jack and Poy(ジャック・アン・ポイ)」や「Bato Bato Pik(バト・バト・ピック)」と呼ばれています。ルールは日本と同じ3種類ですが、注目すべきは掛け声です。

「Jack and Poy」は日本語の「じゃんけんぽん」が変化したものと考えられており、日本からフィリピンにじゃんけんが伝わった証拠とされています。

マレーシア「鳥・石・水」

マレーシアのじゃんけんでは、一部の地域で「鳥(burung)・石(batu)・水(air)」という独自の三すくみが使われます。鳥は水を飲むので水に勝ち、石は水に沈むので水が石に勝ち、鳥は石に当たると負けるという関係です。

また、マレーシアには「封印された手」という概念があり、特定の手を出すことを事前に宣言して制限するローカルルールも存在します。

インドネシアの「象・アリ・人間」は本当にユニークですよね。日本のグー・チョキ・パーに慣れていると、最初は全く理解できないかもしれません。文化が違うと、勝ち負けの理屈すら変わるのが興味深いです。

ヨーロッパのじゃんけん

フランス「Pierre, Feuille, Ciseaux」+井戸

フランスのじゃんけんは「Pierre(ピエール=石), Feuille(フイユ=葉), Ciseaux(シゾー=鋏)」の3種類が基本です。しかし、フランスで特筆すべきは4番目の手「Puits(ピュイ=井戸)」が存在することです。

「井戸」は指を丸めて筒型にする形で表現します。勝敗関係は以下の通りです。

  • 井戸は石と鋏を「落として」勝つ
  • 葉(紙)は井戸の穴をふさいで勝つ

つまり、井戸は2つの手に勝てるのに対し、負けるのは葉のみ。一見すると井戸が最強に見えますが、相手も同じことを考えるため、駆け引きが生まれます。この4手方式は数学的には完全に公平ではないものの、地域の伝統として親しまれています。

ドイツ「Schnick, Schnack, Schnuck」

ドイツでは「Schere, Stein, Papier(シェーレ・シュタイン・パピーア=鋏・石・紙)」が正式名ですが、掛け声は「Schnick, Schnack, Schnuck(シュニック・シュナック・シュヌック)」というリズミカルなものが使われます。

地域によってはフランス同様に「Brunnen(ブルンネン=井戸)」を加えた4手方式で遊ぶこともあります。

イタリア「Morra cinese」

イタリアでは「Morra cinese(モッラ・チネーゼ=中国式モッラ)」と呼ばれています。イタリアには古くから「Morra(モッラ)」という数当て遊びがあり、それと区別するために「中国式」という修飾語がついています。

手は「Sasso(石), Carta(紙), Forbice(鋏)」で、ルールは日本と同じです。中国起源と呼ばれていますが、実際には日本から伝わったものが中国を経由したと考えられています。

スペイン「Piedra, papel o tijera」

スペインでは「Piedra, papel o tijera(ピエドラ・パペル・オ・ティヘラ=石、紙、それとも鋏)」と呼ばれます。掛け声が「石、紙、それとも鋏?」と疑問形になっているのが特徴で、まるで「どれを出す?」と問いかけているような形式です。

南北アメリカのじゃんけん

アメリカ「Rock, Paper, Scissors」

アメリカでは「Rock, Paper, Scissors(ロック・ペーパー・シザーズ)」と呼ばれ、略して「RPS」と表記されます。ルールは日本と同じ3種類ですが、アメリカではじゃんけんの世界大会が開催されるほどの人気を誇ります。

さらに、アメリカでは拡張版として5種類の手を使う「Rock-Paper-Scissors-Lizard-Spock(石・紙・鋏・トカゲ・スポック)」が生まれました。これはテレビドラマ『ビッグバン★セオリー』で紹介されて一気に広まったもので、通常の3手より「あいこ」が起きにくいのが特徴です。

ブラジル「Jokenpô」

ブラジルでは「Jokenpô(ジョケンポ)」と呼ばれ、これは明らかに日本語の「じゃんけんぽん」が変化したものです。20世紀初頭に多くの日本人がブラジルに移民した歴史があり、その際にじゃんけんも持ち込まれたと考えられています。

正式なポルトガル語では「Pedra, papel e tesoura(石・紙・鋏)」ですが、日常会話ではJokenpôが広く使われています。

メキシコ「Chin chan pú」

メキシコでは「Chin chan pú(チン・チャン・プー)」や、なんと「Pikachú(ピカチュー)」と呼ばれることもあります。ポケモンのピカチュウが語源ではなく、偶然の一致とされていますが、メキシコの子供たちの間では「ピカチュー」の呼び方も親しまれています。

コロンビアでは「¡Chim, pus pás!(チム・プス・パス)」、ボリビアでは「Yan Ken Po(ヤンケンポ)」と、中南米でも地域ごとに掛け声が異なります。ボリビアの「Yan Ken Po」もまた、日本語由来と考えられています。

世界で最も複雑なじゃんけんたち

通常のじゃんけんは3手ですが、世界にはさらに多くの手を使うバリエーションが存在します。

名称 手の数 概要
通常のじゃんけん 3種 石・鋏・紙
フランス式(井戸入り) 4種 石・鋏・紙・井戸
RPS-5(Lizard Spock) 5種 石・紙・鋏・トカゲ・スポック
RPS-7 7種 石・紙・鋏+4つの追加手
RPS-25 25種 各手が12手に勝ち12手に負ける
RPS-101 101種 各手が50手に勝ち50手に負ける

RPS-101は101種類もの手があり、各手がちょうど50種類の手に勝ち、50種類の手に負けるように設計されています。実際にプレイするにはすべての勝敗関係を覚える必要があるため、現実的には遊ぶのが非常に困難ですが、数学的な完全性を追求した究極のじゃんけんといえます。

MEMO
手の数を増やすほど「あいこ」の確率は下がりますが、3手のじゃんけんでもあいこになる確率は約33.3%です。5手のRPS-5では約20%に下がり、より早く決着がつきやすくなります。

じゃんけんの必勝法はある?統計データが明かす傾向

理論上、じゃんけんは完全にランダムなら勝率は常に33.3%です。しかし、人間はロボットではないため、統計的な偏りが存在します。

桜美林大学の芳沢光雄教授が725人の学生による延べ11,567回のじゃんけんを分析した結果、以下の傾向が判明しました。

  • グーが出る確率:35.0%(最も多い)
  • パーが出る確率:33.3%
  • チョキが出る確率:31.7%(最も少ない)

つまり、統計的には最初にパーを出すと有利ということになります。グーが最も多く出される理由としては、「人間は緊張すると拳を握りやすい」「チョキは指を2本立てる必要があり、物理的に出しにくい」といった説があります。

また、中国の科学者チームの研究では、勝った人は次のじゃんけんで同じ手を出しやすい(勝ちパターンの繰り返し)という心理的傾向も確認されています。この知識を活用すれば、相手が前回勝った手に対して勝てる手を出すことで、わずかに勝率を上げられるかもしれません。

注意
これらはあくまで統計的な傾向であり、個々のじゃんけんの結果を予測するものではありません。大事な場面では「運」の要素が大きいことに変わりはありません。

じゃんけんの世界大会

じゃんけんには公式の世界大会が存在します。2002年、カナダ・トロントでダグラスとグラハムのウォーカー兄弟が「世界じゃんけん協会(World RPS Society)」を設立し、第1回世界大会を開催しました。

当初はバーを借りた小規模なイベントでしたが、予想を超える数百人が参加し、その後2009年まで毎年開催されるほどの人気を博しました。

アメリカでは2006年にラスベガスで「USARPS Championship」が開催され、優勝賞金は5万ドル(約750万円)にもなりました。257人の選手がトーナメント形式で競い合う本格的な大会です。

ギネス世界記録に認定された最大のじゃんけん大会は、2019年に中国・天津で開催されたもので、10,033人が参加しました。

現在でもWorld Rock Paper Scissors Association(WRPSA)が公式トーナメントを運営しており、世界ランキングシステムも存在します。たかがじゃんけん、されどじゃんけん。世界規模の真剣勝負が繰り広げられているのです。

日本のじゃんけんバリエーション

世界だけでなく、日本国内にもじゃんけんのバリエーションが豊富に存在します。

  • あっち向いてホイ:じゃんけんの勝者が指を指し、負けた方がその方向を向いたら負け
  • グリコ:じゃんけんの結果に応じて「グ・リ・コ」「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」の文字数ぶん階段を進む遊び
  • 軍艦じゃんけん:「軍艦・朝鮮・ハワイ」で三すくみを作る(地域により呼び方が異なる)
  • 後出しじゃんけん:相手の手を見てから出す練習遊び。反射神経のトレーニングとして使われることも

地域によって呼び方やルールが微妙に異なるのも、日本のじゃんけん文化の面白さです。

よくある質問(FAQ)

Q. じゃんけんは日本発祥ですか?

現在の「石・紙・鋏」の三すくみ形式は、19世紀末の日本で完成したというのが最も有力な説です。ただし、三すくみの拳遊び自体は中国に古い起源があり、日本で改良・完成されたものが世界に広まりました。

Q. じゃんけんで最も出されやすい手は?

統計研究によると、グーが約35%と最も出されやすいです。次いでパー(33.3%)、チョキ(31.7%)の順です。初手でパーを出すとわずかに有利ですが、相手がこの統計を知っていれば話は変わります。

Q. 海外でじゃんけんは通じますか?

多くの国でじゃんけんに相当するゲームが存在するため、手の動作を見せれば通じることが多いです。ただし、インドネシアの「象・アリ・人間」のように手の形が異なる国もあるため、事前に現地のルールを確認しておくと安心です。

世界の文化の違いは、じゃんけんだけでなくさまざまな場面で見られます。例えば、月の模様はうさぎだけじゃない!世界20カ国で月に何が見えるかでも、同じものを見ても国によって解釈が全く異なる例を紹介しています。

じゃんけんという単純なゲームの中に、歴史・文化・数学・心理学がすべて詰まっているのは驚きです。次にじゃんけんをする機会があれば、ぜひ「統計的にはパーが有利」という話を試してみてください。ただし、勝てる保証はしませんが…!

まとめ

じゃんけんは日本で生まれた三すくみゲームですが、今や世界中で愛されています。この記事のポイントをまとめます。

  • 現在の「石・紙・鋏」形式は19世紀末の日本で完成した
  • 世界20カ国以上で異なる名前・掛け声・ルールが存在する
  • インドネシアの「象・アリ・人間」やフランスの「井戸」など、独自の三すくみを持つ国がある
  • ブラジルの「Jokenpô」やボリビアの「Yan Ken Po」は日本語「じゃんけんぽん」が語源
  • 統計的にはグーが最も出されやすく(35%)、初手でパーを出すとわずかに有利
  • 世界大会では賞金5万ドルの大会や、1万人参加の大会も開催されている

国は違えど、「手を出して勝負する」というシンプルな遊びが世界中で愛されているのは、人間の普遍的な「公平に決めたい」という気持ちの表れかもしれません。

参考文献