セパタクローとは?ルール・ポジション・反則から技や歴史・日本代表まで徹底解説

セパタクローのアジア大会での試合

ネットを挟んで足を高々と振り上げ、頭上から強烈なボールを相手コートへ叩き込む。サッカーのオーバーヘッドキックを思わせるその華麗な蹴りから、セパタクローは「足のバレーボール」「空中の格闘技」とも呼ばれます。

2026年の愛知・名古屋アジア競技大会でも正式種目として行われる、東南アジア生まれの伝統スポーツです。日本ではまだなじみが薄いかもしれませんが、知れば知るほど面白い奥深さがあります。

この記事では、セパタクローとは何かという基本から、ルール・ポジション・反則、花形の技、ボールの秘密、9世紀までさかのぼる歴史、そして世界一に輝いた日本代表「猿飛JAPAN」まで、まるごと徹底解説します。

ルールを知ってから試合映像を見ると、あの曲芸のような蹴りのすごさが何倍も伝わってきますよ。

セパタクローとは?「足のバレーボール」と呼ばれる競技

セパタクローでジャンプして蹴るアタックの場面

セパタクローは、ネットを挟んだ2チームが、足・腿(もも)・頭を使ってボールを相手コートに返し合うネット型の球技です。バレーボールにとてもよく似ていますが、決定的な違いは「手と腕が使えない」という点にあります。

基本となる種目「レグ」は1チーム3人。サーブのときのトスを除いて、肩から先の腕や手にボールが触れると反則になります。だからこそ、足を頭より高く上げてスパイクを打つアクロバティックなプレーが生まれるのです。

バレーボールとの3つの違い

同じネット型でも、セパタクローにはバレーボールと違うルールがいくつもあります。代表的な3つを押さえておきましょう。

  • 手と腕が使えない:使えるのは足・腿・頭・胸などで、サーブのトス以外で手や腕に当たると反則です。
  • 同じ人が3回続けて触ってよい:バレーボールは同じ選手が連続で触れませんが、セパタクローは1人で3回まで連続タッチできます。1人でトス・コントロール・スパイクまで完結することもあります。
  • ローテーションがない:守備位置がぐるぐる回らないため、各ポジションは高い専門性を持った役割分担になります。

「手が使えないバレーボール」とイメージすると、一気に分かりやすくなりますね。

セパタクローの名前の由来・語源(セパ+タクロー)

セパタクローという独特の響きは、2つの国の言葉を組み合わせた合成語です。「セパ(sepak)」はマレー語で「蹴る」、「タクロー(takraw)」はタイ語で「籐(とう)で編んだボール」を意味します。

つまり「籐のボールを蹴る競技」がそのまま名前になっているわけです。マレーシアとタイ、2つの国の言葉が組み合わさっていること自体が、この競技が東南アジア各地で共有されてきた文化であることを物語っています。

1965年に統一ルールが定められた際、特定の国の呼び名に偏らないよう、あえて2か国の言葉を合わせた名称が選ばれたといわれています。

セパタクローのルールを徹底解説(コート・得点・タッチ)

ここからは、実際の試合がどう進むのかをルールに沿って見ていきましょう。コートの広さから得点の数え方まで、順番に解説します。

コートとネットの大きさ

コートはバドミントンのダブルスとほぼ同じで、縦13.4メートル×横6.1メートル。ネットの高さもバドミントンとほぼ同じで、男子は約1.52メートル、女子はそれより約10センチ低い約1.42メートルに設定されています。

バドミントンコートがそのまま使えるサイズなので、体育館での普及がしやすい競技でもあります。

得点とセットの数え方

現在の国際ルールでは、1セット21点のラリーポイント制(サーブ権に関係なく1ラリーごとに点が入る方式)で、2セットを先取したチームが勝ちです。20対20などになった場合は、規定の点差がつくまで続くデュースがあります。

なお、かつては1セット15点制でした。種目や大会によっては今も15点制が使われることがあり、たとえば2025年の世界選手権・男子クワッド決勝も「15点先取」のセットで行われています。

ボールタッチの回数ルール

1チームは3回以内のタッチでボールを相手コートに返さなければなりません。バレーボールと同じ「3回まで」ですが、前述のとおり同じ選手が3回連続で触ってもよいのが大きな特徴です。4回以上触れると反則になります。

セパタクローのポジションと役割(テコン・フィーダー・アタッカー)

レグ(3人制)では、コート後方のセンターに1人、前方の左右に2人が立ちます。それぞれに専門的な役割があります。

  • サーバー(テコン):後方のセンターサークルからサーブを蹴る選手。国際的には「テコン」と呼ばれます。正確で威力のあるサーブが武器です。
  • フィーダー(トサー):前方に立ち、サーブのときにサーバーへ正確なトスを上げる選手。ラリー中は攻撃を組み立てる司令塔の役割も担います。
  • アタッカー(キラー):前方でスパイクを打ち、相手の攻撃をブロックする攻守の要。あの華麗なオーバーヘッドキックを決めるのが主にこのポジションです。

サーブは、前方のクオーターサークルにいるフィーダーがセンターサークルのサーバーにボールをトスし、サーバーがそれを蹴って相手コートへ入れる、という連係から始まります。

ポイント
ローテーションがないぶん、選手は一つのポジションを極める「スペシャリスト」になります。サーバーはサーブを、アタッカーはスパイクを、と役割がはっきり分かれているのが見どころのひとつです。

主な反則(フォルト)と覚えておきたい禁止事項

セパタクローには、手を使うこと以外にもいくつかの反則(フォルト)があります。主なものを知っておくと、試合観戦が一気に分かりやすくなります。

  • 手や腕でボールに触れる:サーブのトス以外で手・腕に当たると反則です。
  • 4回以上ボールに触れる:1チームのタッチは3回までと決まっています。
  • オーバーネット:ネットを越えて相手コート側のボールに触れる行為です。
  • センターラインを越える:ネットの下から相手コートへ入り、相手選手の体に触れるなど妨害となる行為です。
  • サーブのミス:サーバーがサークルから足を踏み出してしまう、トスがうまく合わずに蹴れないといった場合も失点につながります。

華麗な技・蹴り方(ローリングスパイク・シザースキック)

セパタクロー最大の魅力は、なんといっても人間離れしたアクロバティックな蹴り技です。代表的な技を紹介します。

ローリングスパイク(ローリングアタック)

セパタクローの花形であり必殺技。サッカーのオーバーヘッドキックのように、体を後方へ倒しながら頭上のボールを足の甲で叩き込みます。トップ選手が放つスパイクの球速は時速140キロを超えることもあり、まさに「空中の格闘技」と呼ばれるゆえんです。

シザースキック(シザースアタック)

ハサミ(シザース)のように両足を空中で上下に交差させ、その反動を利用して打ち込む技です。右利きの選手なら、右足で踏み切ると同時に左足を高く引き上げ、空中で足を入れ替えながら右足で強打します。

インサイドキック(基本の蹴り)

足の内側を使った蹴りで、トスやレシーブ、コントロールを重視する場面で多用される基本技術です。派手なスパイクの陰で、この正確なインサイドキックがプレーの土台を支えています。

頭より高い位置にあるボールを足で叩く。文字にすると簡単そうですが、実際の映像を見ると思わず声が出ますよ。

セパタクローのボールの秘密(籐から合成樹脂へ)

籐を編んで作られたセパタクローのボール

セパタクローのボールは、編み目状で12個の穴があいた独特の形をしています。もともとは名前のとおり籐(とう)を編んで手作りされていましたが、現在は合成樹脂(プラスチック)製が主流です。

大きな転機は1990年の北京アジア大会で、このころから耐久性と均一性に優れた合成樹脂製のボールが広く使われるようになりました。籐製は硬くて当たると痛く、品質にもばらつきがありましたが、樹脂製になったことで安全性と公平性が高まったのです。

大きさは直径約14センチ、円周は42〜44センチほど、重さは男子用で170〜180グラム、女子用はそれよりやや小さく軽い150〜160グラム前後が目安です。手のひらにのる小さなボールを、全身を使って操ります。

セパタクローの歴史と起源(9世紀の東南アジアから)

東南アジアの村でセパタクローを楽しむ人々

セパタクローのルーツは、9世紀ごろから東南アジア各地で行われてきた「ボールを地面に落とさないよう、みんなで蹴り合う遊び」にあるといわれています。長い歴史を持つ、伝統的な球技なのです。

その原型は地域ごとに少しずつ違う名前で親しまれてきました。マレーシアの「セパラガ」、タイの「タクロー(ジャンクイタクロー)」、インドネシアの「ラゴ」などです。ミャンマーの「チンロン」は、輪になってボールを蹴り続け、勝敗をつけずに技の美しさを競う優美な形で知られています。

これらが近代スポーツとして統一されたのが1965年でした。東南アジア競技大会(現在のSEA Games)の正式種目に採用されたのを機にアジアセパタクロー連盟が設立され、ネットを挟んで蹴り合う現在のスタイルにルールが統一されました。

その後、1988年に国際セパタクロー連盟(ISTAF)が設立され、1990年の北京アジア大会で正式種目に採用されて、アジアを代表する競技へと成長していきました。

競技種目(レグ・ダブル・クワッド・チームレグ)

セパタクローには人数の違う複数の種目があり、それぞれ戦い方の魅力が異なります。主な種目を整理しておきましょう。

  • レグ:1チーム3人で行う基本種目。最も伝統的で、セパタクローの基礎となる形です。
  • ダブル:2人制。カバーする範囲が広く、個人の技量と体力がより問われます。
  • クワッド:4人制。戦術的な配置とチーム連係が鍵を握る種目で、日本代表が世界の頂点に立ったのもこの種目です。
  • チームレグ:複数のレグの勝敗を合わせて競う団体戦の形式です。

このほか、輪になって空中のフープにボールを蹴り入れる「フープ種目」や、勝敗をつけずに技を披露する「サークル種目」、砂浜で行う「ビーチタクロー」など、バリエーションも豊かです。

アジア大会と世界の強豪国(タイ・マレーシア)

セパタクローはアジア競技大会の常連種目で、男子は1990年の北京大会から、女子は1998年のバンコク大会から毎回実施されています。アジアのスポーツ大会では欠かせない人気競技のひとつです。

世界の勢力図は東南アジアが中心です。発祥国のひとつであるタイは「セパタクロー王国」と呼ばれるほどの絶対的強豪で、マレーシア、ミャンマー、インドネシア、そして近年力をつけた韓国などが続きます。

同じくアジア発祥で、アジア競技大会で熱戦が繰り広げられる競技に「カバディ」があります。あわせて読むと、アジアのスポーツ文化がさらに面白く見えてきます。

セパタクローの日本代表「猿飛JAPAN」の躍進

日本でセパタクローが本格的に始まったのは1989年のこと。同年に日本セパタクロー協会(JSTAF)が設立され、1997年以降はJOC(日本オリンピック委員会)の準加盟団体となっています。

男子日本代表は「猿飛JAPAN」の愛称で親しまれ、近年めざましい成長を遂げています。2023年の杭州アジア大会では男子クワッドで銅メダルを獲得しました。

そして2025年7月、タイ・ハジャイで開かれた第38回世界選手権の男子クワッド決勝で、日本はベトナムを15対7、15対10のストレートで破り、協会発足から36年目にして悲願の初優勝(世界一)を達成しました。長年アジアの強豪が独占してきた頂点に、ついに日本がたどり着いた歴史的な快挙です。

2026年の愛知・名古屋アジア競技大会では、名古屋市瑞穂公園体育館を舞台に、自国開催でのメダル獲得を目指します。

世界選手権優勝は、地道に競技を支えてきた選手・関係者にとって本当に大きな一歩。アジア大会での活躍も楽しみですね。

セパタクローに関するクイズ5問

ここまで読んだ知識の確認に、セパタクローのクイズに挑戦してみましょう。答えはそれぞれの下にあります。

第1問:セパタクローは「○○のバレーボール」と呼ばれます。○○に入る体の部位は?

答え:足(足のバレーボール)。手と腕が使えないのが最大の特徴です。

第2問:「セパ」「タクロー」はそれぞれ何語で、どんな意味でしょう?

答え:「セパ」はマレー語で「蹴る」、「タクロー」はタイ語で「籐で編んだボール」。2か国の言葉の合成語です。

第3問:基本種目「レグ」は1チーム何人で戦うでしょう?

答え:3人。後方のサーバー(テコン)と前方の2人で構成されます。

第4問:頭上から打ち込む花形の必殺技を何というでしょう?

答え:ローリングスパイク(ローリングアタック)。球速は時速140キロを超えることもあります。

第5問:2025年の世界選手権で、男子日本代表「猿飛JAPAN」が優勝したのは何という種目でしょう?

答え:クワッド(4人制)。協会発足36年目で初の世界一に輝きました。

セパタクローのよくある質問(FAQ)

Q1. セパタクローは日本のどこで体験できますか?

各地の日本セパタクロー協会の加盟クラブや、大学のサークル、体験会などで触れられます。バドミントンコートが使えるため、体育館での普及が進んでいます。

Q2. バレーボール経験者は有利ですか?

ネット型の感覚やポジション理解は役立ちますが、手ではなく足でボールを正確に扱う技術はまったくの別物です。サッカーやリフティングの経験も活きてきます。

Q3. ボールは痛くないのですか?

現在主流の合成樹脂製ボールは、かつての籐製よりやわらかく安全性が高くなっています。とはいえ強いスパイクは迫力満点で、トップ選手の球速は時速140キロを超えることもあります。

Q4. オリンピック種目ではないのですか?

2026年時点でオリンピックの正式種目ではありませんが、アジア競技大会では男子1990年・女子1998年から毎回実施されている主要種目です。

Q5. なぜタイが強いのですか?

タイは発祥国のひとつで、国民的な人気スポーツとして競技人口が多く、育成環境が整っているためです。「セパタクロー王国」と呼ばれるほどの実力を誇ります。

まとめ:奥が深いアジアの伝統スポーツ

セパタクローは、手を使わず足・腿・頭でボールを操る「足のバレーボール」です。3人制のレグを基本に、ローリングスパイクなどのアクロバティックな技で観客を魅了します。

名前は「蹴る(セパ)」と「籐のボール(タクロー)」の合成語で、9世紀から続く東南アジアの伝統が、1965年に近代スポーツとして統一されました。

日本代表「猿飛JAPAN」は2025年の世界選手権で初優勝を飾り、2026年の愛知・名古屋アジア大会でも大きな期待がかかっています。

ルールと技を知ったうえで試合映像を見れば、あの空中の攻防がきっと何倍も面白く感じられるはずです。ぜひ注目してみてください。

次にアジア大会のニュースで「セパタクロー」の文字を見かけたら、ぜひ猿飛JAPANを応援してあげてくださいね。

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競技の詳しい情報は、以下の公式サイトでも確認できます。