今回は純文学のおすすめ小説をランキング形式にて紹介していきます。
また、記事冒頭で「純文学とは?」と疑問を抱いている方に対して丁寧な説明をするため、合わせて参考にしてください。
以下、目次となります。
目次
純文学とは?大衆文学との違いについても解説!
日本の近代文学および文壇における独特の用語。
読者の娯楽的興味に媚 (こ) びるのではなく、作者の純粋な芸術意識によって書かれた文学という意味。
大衆文学、通俗文学の対義語。
「純文学」の言葉の定義としては、上記引用の通りとなります。
しかし、明確な定義が確立しているわけではなく、純文学作家が大衆文学を書くこともあり、また、純文学と大衆文学の中間小説も存在するため、その区別は非常に曖昧です。
現在、出版されている純文学系の雑誌は以下5つになります。
雑誌名 | 創刊 | 出版社 | 公式サイト |
---|---|---|---|
群像 | 1946年 | 講談社 | 群像|講談社 公式サイト |
新潮 | 1904年 | 新潮社 | 新潮 | 新潮社 公式サイト |
すばる | 1970年 | 集英社 | すばる|集英社 公式サイト |
文學界 | 1933年 | 文藝春秋社 | 株式会社 文藝春秋 |
文藝 | 1933年 | 河出書房新社 | 文藝|河出書房新社 公式サイト |
しかし、上記雑誌についても、大衆文学が掲載されることもあり、やはり明確な線引きがされているわけではありません。
純文学のおすすめ小説|23位~21位
23位:キッチン(吉本ばなな)
- 発行日:1988年1月・1991年10月
- 発行元:福武書店・福武文庫
- 受賞歴:第6回海燕新人文学賞、第16回泉鏡花文学賞受賞
- 備考 :映画化済
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──。
祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめる。
また、人が死ぬこと、生きること、そして世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中で、あなたに語りかける。
国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー。
吉本ばななの代表作の一つです。以下3編が収録されています。
- キッチン
- 満月 キッチン2
- ムーンライト・シャドウ
著者独自の繊細な描写で、美しく温かな世界観が構築されてます。
また、物語についても、大切な人を無くした人間の交流が丁寧に描かれており、その点でも、強く感情移入しつつ読むことが出来ました。
22位:火花(又吉直樹)
- 発行日:2015年3月
- 発行元:文藝春秋
- 受賞歴:第153回芥川龍之介賞受賞
- 備考 :映画化、舞台化、ドラマ化
お笑い芸人である又吉直樹が執筆した、デビュー作です。芥川賞を受賞し、メディアでも大きく取り上げられました。
売れない芸人である主人公徳永と、その先輩である神谷を主軸として、物語は進行します。
文体が途中で変化する点が気になりますが、筆者の感受性がにじみ出た、繊細な心理描写は素晴らしく、読み応えがありました。
他、又吉直樹のおすすめ本については、以下の記事にまとめているため、そちらも合わせて参考にしてください。
21位:蟹工船・党生活者(小林多喜二)
- 発行日:1929年
- 発行元:戦旗
- 備考 :映画化、漫画化、舞台化済
「蟹工船」
海軍の保護のもとオホーツク海で操業する蟹工船は、乗員たちに過酷な労働を強いて暴利を貪っていた。
「国策」の名によってすべての人権を剥奪された未組織労働者のストライキを扱い、帝国主義日本の一断面を抉る。
「党生活者」
近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描く。
夭折の天才、小林多喜二が描く、プロレタリア文学を語るうえで、欠かすことが出来ない傑作です。
厳しい環境下に置かれた労働者達を、迫力の筆致で真正面から描写します。
かなり昔の作品ですが、現代の雇用問題に通じる点も多く、その点でも興味深く読み進めることが出来ました。
また、どちらの編も現在青空文庫にて無料で読めるため、興味がある方は、以下を参照してください!
純文学のおすすめ小説|20位~11位
20位:風立ちぬ(堀辰雄)
- 発行日:1938年4月
- 発行元:野田書房
- 備考 :映画化・テレビ化
共に病に冒されている「私」と婚約者・節子。
彼女に付き添ってやってきた、美しい自然に囲まれた高原のサナトリウムで、ふたりの「少し風変わりな愛の生活」が始まる。
死の影におびえながらも、残された時間を支えあいながら生きる幸福。そして、ふたりだけが知っている生の愉しさ。
「風立ちぬ、いざ生きめやも」の言葉が非常に有名な堀辰雄の代表的な作品で以下5章から成り立ちます。
- 序曲
- 春
- 風立ちぬ
- 冬
- 死のかげの谷
美しくも哀しい情景描写が素晴らしく、読んでいて、優しく胸を締め付けられるような感覚に陥りました。
本作も以下、青空文庫にて無料で読めるため、興味がある方はぜひチェックしましょう。
また、ジブリで同名映画の「風立ちぬ」が公開されていますが、こちらは、本作から着想を得た作品となり、ストーリーは別物となります。
19位:砂の女(安部公房)
- 発行日:1962年6月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第14回読売文学賞受賞、1967年度最優秀外国文学賞(フランス)受賞
- 備考 :映画化済
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。
考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。
ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。
安部公房の代表作となる長編小説で、近代日本文学の草分け的な作品となります。
また、日本に留まらず多くの言語に翻訳されており、世界的にも高い評価を得ている点が特徴です。
彼の著作らしく、不条理な世界観を扱いますが、それらを圧倒的な筆力で、現実感を持って紡ぎだしています。
さらに、現代社会にも通じる様々な暗喩が散りばめられているため、それらを考察しながら読むと、より面白みが増すでしょう。
18位:限りなく透明に近いブルー(村上龍)
- 発行日:1976年
- 発行元:講談社
- 受賞歴:第75回芥川賞、第19回群像新人文学賞受賞
- 備考 :映画化済
米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながら嬌声が満ちている。
そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく。
著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔。
村上龍のデビュー作であり、世に多くの衝撃を与えた傑作です。
主人公リュウを中心として、ハウスと呼ばれる福生市の横田基地周辺にあった住宅を舞台として、物語は進行します。
客観的でフラットな文章でありながら、激しい暴力や性について、まざまざと描写している点が大きな特徴と言えます。
また、人間の最も醜い部分を描いているにも関わらず、不思議とそれを感じさせない点は、一種の芸術であり、村上龍ならではと言えるでしょう。
17位:白痴(坂口安吾)
- 発行日:1947年5月
- 発行元:中央公論社
- 備考 :映画化済
「堕落論」と並んで、坂口安吾の代表作として知られる短編小説です。
主人公伊沢と、白痴の女との奇妙な生活を、戦時中の鬱々とした雰囲気の中、淡々と描きます。
物語全体を通して、薄暗く気だるい空気感が漂いますが、それが不快ではない点が、坂口安吾ならではの表現と言えるでしょう。
以下、青空文庫でも公開されているため、興味がある方は一読してみましょう。
16位:雪の練習生(多和田葉子)
- 発行日:2011年1月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第64回野間文芸賞受賞
膝を痛め、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書き始めた「わたし」。
どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが・・。
生の哀しみときらめき、ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描く、野間文芸賞受賞作。
芥川賞作家である多和田葉子が描く、ホッキョクグマを主人公とした、不思議な物語です。
親子三代にも及ぶ壮大なストーリですが、時に切なく、そしてユーモアも交えて語られます。
何より著者特有の、温かみのある文章で、生命への慈しみを持って書かれているため、読んでいて、とても心地よかったです。
筆者は、他にも「容疑者の夜行列車」や、「雲をつかむ話」など多くの名作を生み出しているため、本作が気に入った方は、ぜひそちらもチェックしましょう!
15位:山月記(中島敦)
- 発行日:1942年2月
- 発行元:文學界にて発表
- 備考 :舞台化済
国語の授業でも取り上げられることが多いため、一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
中島敦のデビュー作となる短編小説で、夢に敗れて虎になってしまった男の、数奇な運命を描いた物語です。
現在でも色あせない、鋭い文章表現で、作中に流れる静謐な雰囲気を正確に表現しています。
こちらも青空文庫に収録されているため、ぜひ内容をチェックしてみましょう!
14位:虚構船団(筒井康隆)
- 発行日:1984年
- 発行元:新潮社
- 備考 :書き下ろし長編
既存の枠組みに囚われず、メタフィクションやナンセンスなど、数多くの実験的作品を生み出している、筒井康隆が送る「純文学書き下ろし」作品です。
宇宙船の搭乗員は全て文房具という、摩訶不思議な設定の元、イタチ族との血にまみれた戦争を描きます。
やや複雑なプロットで読みにくい部分もありますが、史実を皮肉った描写も多く、筒井康隆のセンスが存分に発揮されているため、その点は必見です。
以下、筒井康隆の他小説についてもまとめているため、そちらも合わせて参考にしてください。
13位:博士の愛した数式
- 発行日:2003年8月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第55回読売文学賞、第1回本屋大賞受賞
- 備考 :映画化、ラジオドラマ化、コミック化済
[ぼくの記憶は80分しかもたない]
博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた。
記憶力を失った博士にとって、私は常に「新しい」家政婦。博士は「初対面」の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。
やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
記憶障害のある数学者の博士と、家政婦の親子の日常を温かみを持って描いた傑作です。
物語の設定自体はとても切ないものですが、それ以上に作中は愛に溢れており、読んでいて心が満たされる感覚を受けました。
また、数式が多く出てきますが、丁寧なレクチャーもあるため、数学に疎い方でも、興味深く読み進めることが出来る点も魅力です。
12位:死の棘(島尾敏雄)
- 発行日:1977年9月
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:日本文学大賞、読売文学賞、第11回芸術選奨受賞
- 備考 :映画化
思いやりの深かった妻が、夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。
ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?
ぎりきりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。
著者の実体験を基に描かれた私小説です。夫であるトシオと、妻ミホとの凄惨なやり取りを淡々と描きます。
起承転結はなく、ただひたすら家庭内の生々しい描写が続くため、胸が苦しくなるシーンが多かったですが、それこそが本作の最大の魅力と言えるでしょう。
11位:吾輩は猫である(夏目漱石)
- 発行日:1906年
- 発行元:服部書店・大倉書店ほか
- 備考 :映画化・テレビアニメ化・漫画化など
中学教師苦沙弥先生の書斎に集まる明治の俗物紳士達の語る珍談・奇譚、小事件の数かずを、先生の家に迷いこんで飼われている猫の眼から風刺的に描いた、漱石最初の長編小説。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という書き出しが、余りにも有名な夏目漱石の処女作です。
国語の教科書などにも取り上げられているため、そこで目にした方も多いのではないでしょうか。
猫の目線からみた人間の日常を、時にユーモアを交えてシニカルに描きます。
物語のラストは、猫好きにとっては辛い結末ですが、その点も含めて心に残る作品でした。
また、本作の青空文庫版はこちらになります。
純文学のおすすめ小説|10位~1位
10位:ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー(山田詠美)
- 発行日:1987年
- 発行元:角川書店
- 受賞歴:第97回直木賞受賞
初恋も、喧嘩別れも、死に別れも、そして旅立ちの日も、暖かく心に蘇らせるソウル・ミュージックが響く連作恋愛小説。
大センセーションを巻き起こした直木賞受賞作にして、著者の代表作。
芥川賞選考委員の常連である、山田詠美の代表作です。
各短編の題名がソウルミュージックのナンバーになっており、アメリカを舞台に様々な登場人物の恋愛模様を色鮮やかに描きます。
まるで映画をそのまま文字に起こしたかのように臨場感のある文体のため、きっと読み進めれば、彼女の世界観にハマってしまうでしょう!
9位:夜と霧の隅で(北杜夫)
- 発行日:1960年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:芥川賞受賞
第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗して、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試みる精神科医たちの苦悩苦闘を描く。
極限状況における人間の不安、矛盾を追究した芥川賞受賞作。
表題作の他にも、北杜夫初期の傑作を以下5編集めた短編集です。
- 岩尾根にて
- 羽蟻のいる丘
- 霊媒のいる町
- 谷間にて
- 夜と霧の隅で(表題作)
著者自身が精神科医であるため、その知見を存分に活かし、精緻な文章の元、暗く重い世界観を描き切っています。
結末は悲劇ですが、人間とは何かを深く考えさせられる稀有な作品のため、耐性がある方はぜひ手に取ってみましょう。
また、北杜夫自身、非常に幅広く活動しており、本作のような純文学小説の他にも、ファンタジー小説や児童文学まで、様々なジャンルを手掛けています。
8位:海と毒薬(遠藤周作)
- 発行日:1957年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第5回新潮社文学賞、第12回毎日出版文化賞受賞
- 備考 :映画化済
九州の大学付属病院における、米軍捕虜の生体解剖事件を小説化。
解剖に参加した者は単なる異常者だったのか?どんな倫理的真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか?
神なき日本人の「罪の意識」の不在の無気味さを描き、今なお背筋を凍らせる問題作。
「白い人」で第33回芥川賞を受賞した遠藤周作が描く、第二次大戦中、実際に起こった事件を基にした、純文学小説です。
上記の引用のように、人体実験が主題の物語のため、非常に重く、鬱々とした展開が続きますが、だからこそ、生命に対する尊厳や、意味について深く考えるきっかけになる良書でした。
7位:金閣寺(三島由紀夫)
- 発行日:1956年
- 発行元:新潮社
- 受賞歴:第8回読売文学賞
- 備考 :映画化、舞台化済
一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。
この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み。ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇。
31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。
三島由紀夫の代表作であり、世間的にも高い評価を獲得した名作です。
1950年に実際に起きた金閣寺放火事件をベースとして、緻密な心理描写と、金閣寺の美しい情景描写を交え、物語は進行します。
難解な表現も多く、高い読解力が問われるため、ぜひ時間を取って腰を据えて読んでみましょう!
6位:羅生門(芥川龍之介)
- 発行日:1915年
- 発行元:「帝国文学」1915年11月号
- 備考 :映画化、ドラマ化済
仕事を失った下人と、羅生門近くで盗みをしている老婆の二人を扱った短編です。高校の国語の教科書で読んだ方も多いのではないでしょうか。
単純な話のように見えますが、人の業の連鎖を鋭い文章で抉った快作であり、各登場人物の心理を深堀すると、より面白みが増します。
青空文庫で無料公開されているため、興味がある方は、以下のリンクよりアクセスしてください。
5位:万延元年のフットボール(大江健三郎)
- 発行日:1967年1月
- 発行元:講談社
- 受賞歴:第3回谷崎潤一郎賞受賞
友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。
万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。
幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。
ノーベル文学賞作家である大江健三郎が描く長編大作です。
本作が、ノーベル文学賞の受賞理由の一つに挙げられるなど、対外的にも非常に評価の高い作品であり、その点でも有名な作品です。
四国の山村を舞台として、まるで一揆のような村人達の暴動が発生し、その過程で隠された様々な真実が明らかになるという構成です。
やや読みにくい難解な文体で、理解にはある程度の読解力を問われますが、緻密に練られたプロットは読みごたえ十分のため、純文学好きの方は、ぜひチャレンジしてみましょう!
4位:伊豆の踊子(川端康成)
- 発行日: 1927年3月
- 発行元:金星堂
- 備考 : 映画化、ドラマ化など実績多数
旧制高校生である主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。途中、旅芸人の一団と出会い、そのなかの踊子に、心をひかれてゆく。
清純無垢な踊子への想いをつのらせ、孤児意識の強い主人公の心がほぐれるさまは、清冽さが漂う美しい青春の一瞬。
川端康成の初期の代表作であり、彼の実体験をベースとして作られた作品です。
こちらも非常に有名な作品のため、内容について知っている方も多いのではないでしょうか。
青春時代ならではの淡い恋の物語を、瑞々しさの溢れる文体で丁寧に描きます。
シンプルなプロットで、短編のためすぐに読了できますが、読むたびに発見があり、読者の琴線に優しく触れる名著です。
3位:銀河鉄道の夜(宮沢賢治)
- 発行日:1934年
- 発行元:文圃堂版全集
- 備考 :舞台化、映画化、アニメ化など実績多数
こちらも国語教科書でお馴染みの、宮沢賢治の代表作となる純文学小説です。
少年ジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道の旅をするストーリーであり、著者特有の幻想的な情景描写が多く出現します。
作者の死により未完結で終了しているため、その点が非常に残念ですが、それでも私達に、孤独や別れ、そしてその中にある幸せについて教えてくれる名作です。
また青空文庫版は、以下となります。
2位:人間失格(太宰治)
- 発行日:1948年
- 発行元:筑摩書房
- 備考 :漫画化、映画化、舞台化など実績多数
男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。
ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。
引用: 太宰治 『人間失格』 | 新潮社
「恥の多い生涯を送って来ました。」というフレーズが、非常に有名な太宰治の代表作です。
主人公葉蔵の破滅的な人生について、3つの手記を用いた独白形式で、様々な登場人物やエピソードを交えて語られます。
人の心の奥底にある、最も薄暗い部分をまざまざと書き出しているため、読む際には多くの気力を要しますが、偽善や欺瞞に溢れた人間の性を、ここまで突き詰めた作品は他にありません。
以下、青空文庫にて全文読めるため、未読の方は、ぜひ目を通してみましょう!
1位:ノルウェイの森(村上春樹)
- 発行日:1987年
- 発行元:講談社
- 備考 :映画化(トラン・アン・ユン監督)
限りのない喪失と再生を描く話題の長篇小説。
60年代終りから70年始めにかけての激しくて、物静かで、哀しい、永遠の恋愛小説。
青春のきらめき、生と死のあやうい交錯、透明な余韻に揺れるロングセラー。
村上春樹の名を不動のものとした、純文学恋愛小説の傑作です。
主人公ワタナベを主軸として、彼の幼馴染の直子や、同じ大学の緑など、様々な登場人物を、著者特有の美しい表現で鮮明に描きます。
青春時代特有の繊細さや、純粋さ、そして哀しみや、生き辛さなど、全てが詰め込まれた物語であり、何度読み返しても多くの感動が得られるでしょう。
また、村上春樹は他にも多くの傑作を生みだしており、以下の記事にそれらをまとめているため、合わせて参考にして頂ければ幸いです。
まとめ
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
純文学ジャンルのおすすめ小説について、ネット上のどこよりも詳しく記載していきました。
この記事を通して、1作品でも気になる純文学小説が見つかったのであれば、これ以上嬉しいことはありません!
また、今回紹介した作品の多くは、青空文庫にて無料で公開しているため、まずはそちらを読んでみることをおすすめします!
他、本・小説の関連エントリーはこちらです!