はい、ウマキです。
【2017/06/30 追記】
今回は自己分析の方法について、詳細に記載したいと思います。私自身リクルーターとして、毎年母校に赴き、学生に自己分析の方法について質問されます。
新卒で就活している学生の方は、色々な方から自己分析の重要性を語られていると思いますが、自分はしっかりと自己分析が出来ていると自信を持って言えるでしょうか。また、私が担当した学生の中で、きちんと自己分析が出来ている方は皆無でした。
私は就職活動時、大企業5社以上に内定を頂くなど、志望した企業については、ほぼ全てから、内定を頂く事が出来ていました。
就職活動自体は成功した私ですが、もし就職活動をやり直せるのであれば、私は第一に自己分析をやり直したいと、今でも強く思っています。
今回のエントリーについては、自己分析方法に悩んでいる方、また、何故自己分析が必要なのか理解出来ていない新卒生に、少しでも後悔しない就職活動をして貰いたいと願いを込めて書きます。
目次
自己分析とは
自身の過去の体験を振り返り、自身の特徴や、長所、短所を把握し、どんな業務に携わりたいかを明確化しする作業と言われています。基本的には以下4点について分析する事が一般的です。
- 自身の将来の目標、キャリアプランを深く分析する。
- 価値観を客観視し、業務のミスマッチを防ぐ。
- 長所、短所を明確化する。
- 自己PR、志望動機を明確にし、企業へのアピール材料とする。
上記について、私は半分正解であり、半分不正解であると考えています。
本当の自己分析とは、まず『自分自身のため』と、『就職活動ため』の分析の2種類に分けられるべきです。
前者と後者では全く自己分析の方法が異なり、出てくる結果も変わってきます。上記を混同している方が多い為、自己分析が全く無意味なものになっている方が、私が担当して生徒では大半でした。
なぜ2つに分ける必要があるのか
さて、ではなぜ自己分析を2つに分ける必要があるのでしょうか。それは、内定後のミスマッチを防ぐためであり、人生で一度の貴重な新卒カードを無駄にしない為です。
就職活動とは、あなた自身を商品として、企業に売り出すゲームです。それは、営業が企業というお客様に商品を売り込む事と類似しています。
例えば、ここに掃除機という商品があったとしましょう。
完璧な商品など存在しません。上記の様に、細かく見ると様々な欠陥を抱えています。しかし、その全ての欠陥をお客様に伝える事で、果たして商品は売れるでしょうか。答えは否です。それら全てを伝える事は真摯な態度ではなく、単純に営業努力が足りないだけです。
商品を売る為には、営業のトーク力が試されます。ここで重要な点として、営業であるあなたは営業トークとは別に、商品の本質、つまり自分自身をくまなく理解している必要があるという事です。
流麗な営業トークでお客様を納得させても、結局お客様がその商品を使い始めれば、いずれは欠陥が浮き彫りになってしまいます。
商品、つまりあなた自身の、良い部分も悪い部分も、全てを含めて理解する、『自分自身のための自己分析』と、それを売り出す営業トークを助ける『就職活動のための自己分析』が必要なのです。
大抵の学生は後者の『就職活動のための自己分析』しか行っておらず、そもそも自分という商品の本質を理解していません。
企業は、あなたの本質までは見抜けない為、あなたの営業トークにつられて内定を出すかも知れません。しかし、蓋をあけてみたら、あなたの望む事は随分違う所にあり、ミスマッチが発生します。これでは、企業とあなた、両者とも不幸になるだけです。
以下それぞれの分析方法について、詳細に説明します。
自分自身のための自己分析
人が抱える、様々な欲望を前にして、あなた自身が真正面に立ち、真摯に向き合う事を指します。
人は根本的に怠惰であり、傲慢です。
可能であれば、朝好きな時まで寝ていたいし、胃が痛くなるような緻密な業務も避けたいです。馬が合わない人とは顔を合わせたくないし、出来れば給料は高い方がいいですよね。有休も取り易い環境が良いかもしれません。
このように、あなたが内に持つ欲望は山ほどあるはずです。それは人であれば当然です。この自己分析は、そのようなあなたが内に秘めている様々な欲について、一つ一つ向き合う作業となります。
あなたの心の奥に眠るペルソナに語りかけ、何を望んでいるのか、どこまでなら我慢できるのかを、愚直に問いかける作業です。
この自己分析をきちんと行う事により、業務のミスマッチをほとんど防ぐ事が出来ます。
就職活動のための自己分析
就職活動とは、ゲームであり、儀式です。その為、そのゲームにマッチした自己分析を別に用意する必要があります。
例えば、私が以下の様に自己PRをしたとしましょう。
さて、企業はこのような自己PRや志望動機の学生を採用したいと思いますでしょうか。答えはNOですね。
就職活動では、あなた自身が商品になり、企業の人事に自分をPRをしなければなりません。 その為、体の良い言葉で自身を装飾する必要があります。これは嘘などではなく、営業が自身の商品をお客様に売る時に似ています。
商品の欠点を全て言う営業はいません。お客様には良い点やメリットを取り繕って伝えます。就職活動では、あなたは商品であり、同時にそれを紹介する営業なのです。
具体的な自己分析方法
ネット上には幾らでも、過去分析や自己分析方法が記載されていますが、自身の為の自己分析方法を記載しているサイトは一つも見つかりませんでした。
その為、就職活動中の学生は、自身の本当の欲望を考えずに、ただ闇雲に就職活動をしている方が本当に多いです。
以下、2種類に分けて、具体的な自己分析方法について記載します。
自身の為の自己分析方法
本自己分析は誰かに発表するものでは無いです。自分自身にひたすら問いかけるものとなります。その為、基本的には何か形式に沿う様な分析では無いのですが、今回は分かり易く一例を取り上げます。
用意するもの
用意するものは、以下2つで問題無いです。
- 就活用の大学ノート
- 忌憚の無い意見が言える友人
特に2番目の忌憚の無い意見が言える友人は非常に重要な為、可能な限り一緒に行いましょう。もし、近くにそのような友人がいない場合は、あなたの親とやってみても良いかもしれません。
重要な点は、あなた自身に対して、はっきりと意見を言う事が出来、長い間あなたという人物を見た経験があるという点です。
自己分析前の心構え
まず、念頭に置いて貰いたい事項は、早期退職の理由は以下の様になっている点です。
- 1位 人間関係
- 2位 労働環境
- 3位 待遇
- 4位 仕事内容
- 5位 社風
- 6位 やりがい
やりがいが無く辞めるパターンなど稀で、基本的には『人間関係』、『労働環境』、『待遇』の3点が早期退職の殆どを占めています。
あなたが実際に働き始めて、まず不満を思う点は、ほぼ間違いなく、上記3つのどれかです。しかし、職場の人間関係や、詳しい労働環境について考えている就活生は非常にまれで、大抵は自身の自己PRを輝かせる為だけに、『やりがい』ばかり重要視しています。
従って、今回の『自分自身の自己分析』を行う際は、そのような感情は無視して、愚直に自身の欲望と向き合うことのみを目標にして下さい。
具体的な方法
本自己分析の目的は、自分の『好き』、『嫌い』を明確化する事にあります。以下の図のように、大学ノートに書き、それぞれの項目を埋めていきましょう。
上記の項目は、必要に応じて増やしても良いですが、あまり多過ぎると、論点がずれてしまう為、注意して下さい。
重要な点は、書き出した項目を何度も深堀する事です。『なぜ』を何度も重ねて、その理由を多角的に考えてみましょう。また、再三書きましたが、本自己分析は誰かに見せるものでは無いです。その為、飾った言葉など使わず、自分の本心を赤裸々に書いていきましょう。
しっかりと深堀する事は、あなたが思う以上に時間がかかります。逆に一日程度で終わってしまうのであれば、それは深堀が全く足りないと言って良いでしょう。
何度も自分に問いましょう。この作業をすることで、内定後のミスマッチが随分少なくなりますし、後悔もまた少ないです。
点数付け
さて、上記の自己分析より、あなたの『好き』、『嫌い』が明確化されました。その全てを満たしてくれる業務があれば良いのですが、それは中々難しいです。
その為、出てきた事柄に対して、点数付けを行います。 例えば絶対に譲れない事項については100点、我慢できる事項については50点など、明確に点数化していきます。
点数の付け方は人それぞれになると思いますが、この作業も非常に重要な為、適当な評価をせず、それぞれの事項に真摯に向き合ってみましょう。
自己分析を行う上での注意点
上記作業にて、あなたの心に抱える欲や、内定先の企業に望む願望が明確化されました。可能であれば、その自己分析結果について、あなたを良く知る人から、指摘を貰いましょう。
他者からの客観的な意見を貰うことで、より正確に、自分自身の核を捉える事が出来ます。忌憚の無い意見を言える友達からの率直な感想は、深く自己分析をする事と同様、非常に大切な事です。
就職活動の為の自己分析
こちらについては、下記のエントリーで詳細な記載をしています。
『自分自身のための自己分析』が完了して、自身の特性を理解し、本当に志望する会社が決まったのであれば、後はその会社が望む様な人物像を想像し、面接中にそれを演じるだけです。
この自己分析は、就職活動中のトークや、志望動機、自己PRなどを突破する為だけに使います。それ以外の価値はありません。
その為、本自己分析はあなたの為では無く、企業の為に行います。従って、企業分析と並行して実施する事が前提となります。
OB・OG訪問
OB、OGは、その企業について深く知っているあなたの味方です。企業の情報について、あなたでは知りえない情報を沢山知っています。企業理解を深めるため、企業に合った、適切な自己PRや志望動機を書く為に、必ず活用しましょう。
OB、OGのコンタクト方法としては、大学の就職課に相談しても良いですし、以下のサイトを活用しても良いでしょう。
Facebookから簡単に登録が可能で、自身の出身校のOB、OGと簡単にやり取りする事が可能です。OB、OGは有志で登録している方なので、採用とは関係なしに、企業についての深い話を出来る点が大きなメリットになります。
※私もOBとして登録済です。
サイト活用
就活トーク作成のための自己分析方法であれば、手っ取り早くサイトやネットを活用しましょう。
診断に約1時間かかりますが、非常にしっかりした性格診断テストです。『はい』、『いいえ』、『どちらでもない』の3択形式の問題から、SPIの様な計算問題、複数選択問題など、大量の問題が用意されており、多角的に診断する事が出来ます。
無料自己分析の中でも、かなり詳細な方法で提示され、無駄な会員登録等の手間もありません。
『課題発見力』、『想像力』、『基本的思考力』など多数の要素が点数化され、性格の強み、弱みもわかります。
全て数値で算出されるため、コメントがやや少ない点が難点ですが、無料で使えるのであれば、十分なクオリティでしょう。
就職活動時、自己PRや志望動機は当然ですが、脚色を行います。より見栄えよく、企業の採用したい人物像に合う様に設定を変える為、正直な話、この自己分析をあまり深く実施しても無意味です。
それ以上に、企業分析を漏れなく行い、ゴール地点を明確にしてから動き出しましょう。 上記サイトで簡単に自己分析を行った後、その結果を踏まえ、どれほど企業に寄り添い、商品として自身を売り出すかを考えましょう。
就職活動の為の自己分析の注意点
注意点として、本自己分析は就職活動の為だと割り切る点が挙げられます。その為、まず初めに自身が志望する企業の詳細を調べ、企業が欲する人物像を明確にしてから動き出す必要があります。
闇雲に自己分析し、自身をそのまま訴えかけても、それは企業の心には届かず、内定を貰う事は出来ません。詳細については、上記でも記載した様に、下記エントリーに記載しているので、興味のある方は、参照してみて下さい。
何も特筆すべき経験が無い人が行う自己分析
さて、ここまで読んだ方の中で、一部の人は何も特筆すべき経験が無い為、自己分析が出来ずに悩んでいる方がいるかもしれません。
そのような方も特に問題は無いです。まずは、上記で説明した、『自分自身のための自己分析』を行いましょう。これは、あなたの経験などは関係無く、単純にあなたの心の奥深くに問いかける作業です。出来ない方はいないはずです。
それが完了した後、次は、深く企業研究を行いましょう。業界について調べ、OB、OGと深くお話する内に、その企業が求めている人物像が何となくわかってくると思います。
そして、自己分析については、その描き出した人物像に近しい形になる様に行います。『就職活動のための自己分析』はあなたの為の自己分析ではないです。あなたをより優れた学生だと見せる為の一種の儀式です。
特筆すべき経験が無くとも、嘘が無い範囲で取り繕えば、問題ないです。それは就職活動において、不逞な行為では全くないのです。
なぜなら、30分程度の面接では、面接官はあなたの何も分かりません。そもそもそんな短時間で、あなたの10年先のポテンシャルまで見抜ける人など、存在するはずがありません。
だからこそ、取り繕う必要があるのです。価値を高く見せる事は、商品を売る上では至極真っ当で、当たり前の行為です。
そのような努力をせずに、ただ、ありのままの自分を見て欲しいという就職活動は、ただの怠慢でしかないです。それは真摯と言うに値しません。
会社を選ぶに当たって
志望する企業や業界を選択するに当たり、必ず注意したい点として、自分自身の自己分析にマッチした会社を選ぶ事です。それを無視して、やりがいや、環境、待遇などを重要視して企業を選択すると、高い確率で後悔する事になります。
なぜなら、あなたの根底にある欲望は、『自分自身の自己分析』で導き出されたものが真実だからです。自身の欲望に背いた仕事を何十年も続ける事は、あなたが考える以上に過酷で凄惨なものです。
私はそれに耐えきれず、新卒で入った会社を辞めてしまった人を沢山見てきました。以下に例を挙げます。
自己分析をしなかった早期退職者
Aさん (女性) 総合職として大企業に採用
Aさんは女性で、私と同期でした。地方出身で東京の生活に憧れ、バリバリ働くOLを目指し、総合職として誰もが知る大企業に入社しました。
しかし、入社後の配属面談で、地方の部署で働く事が決定します。何とか1年は耐えていましたが、東京への憧れが捨てられず、結局会社を退職し、転職するに至りました。
勿論、総合職である事、勤務先は選択出来ずに会社に委ねられる事を承知して、Aさんは入社しました。ジョブローテーションがある為、例え、何年か地方で勤務しても、後に都内に戻ってこられるという淡い期待があったのかも知れません。
しかし、彼女の場合は『都内で働くこと』が、彼女も気付かないほど、大きなウエイトを占めていたのです。
その為、地方の環境に耐えきれず、他の志望者を押しのけ、数百倍の倍率の企業に入ったにも関わらず、すぐに退職してしまいました。
もし、彼女がしっかりと『自分自身のための自己分析』を行っていたのであれば、自身の都内で働きたいという強い欲望に気付く事が出来、転勤の無い他企業の選考を受ける事が可能でした。
大企業と言うネームバリューに釣られ、このような失敗をした方を、私は既に何人も見ています。
Bさん (男性) ゲーム関連大手に就職
私の大学の同期だった友人です。ゲーム関連の誰もが知る会社に入社しましたが、1年ほど前退職しました。心を病んでしまい、現在は療養しています。
彼は根っからのオタクで、ゲームが好きであり、その為、自身の好きな事で収入を得るために、就職活動については、主にゲーム関係のみを見ていました。
もともと精神の強い方では無く、大学時代にも休みがちだったので、激務であるゲーム産業に進む事を心配していたのですが、本人の意思は固く、受けた企業から、幾つも内定を取得する事が出来ていました。
しかし、案の定残業続きの毎日が、彼の身体を蝕み、結局は倒れて退職する結果になってしまいました。
やりがいだけでは仕事は続きません。彼の場合、重要視すべき点は職場の労働環境でした。しかし、それをないがしろにした結果、彼にとっては辛い道が待っていました。
もし、彼がしっかりと自身を把握出来ていたのであれば、志望した会社がいかに自身の状態とかけ離れていたかを実感出来たはずです。
自身の健康状態や、精神面の把握も重要な自己分析要素の一つであり、その点をおろそかにして、 上手く働けるはずはないのです。
振り返り
上記2人以外にも、まだまだ多く例はあります。そのどれもが、就職活動のための自己分析は出来ていても、自分自身のための自己分析が出来ておらず、企業とミスマッチが発生してしまったのが原因です。
新卒はあなたが考えている以上に、非常に貴重なカードです。人生でこれほど多くの企業が広く門戸を開けて、待っていてくれる機会など、新卒以外に存在しません。
だからこそ、上記2人はもっと自身の内面に問いかけて、真摯に欲望と向き合い、対話して、明確化する必要がありました。
まとめ
ここまで読んで頂きありがとうございました。
回りくどい説明になってしまったかもしれませんが、自身の内面と向き合う自己分析の重要性を、少しでも多くの方に理解してもらえたら幸いです。
ネット上に落ちている自己分析方法など、正直私は何でも良いと思っています。それ以上に重要なのは、自身により深く『なぜ』を問いかける、自分自身の為の自己分析であり、企業研究です。
せっかく入社した企業とのミスマッチは、あなたが思う以上にダメージがありますし、後悔も大きいです。私はそれで涙した人たちを何人も知っている為、今回のエントリーを書くに至りました。
内定はゴールではなく、スタートです。その後あなたのサラリーマン人生は何十年も続きます。その人生において、自身の根底にある欲望を無視し続けながら生活を続ける事は、並大抵のことではありません。
だからこそ、自分に正直になり、その欲望をひたすら書きなぐり、点数を付けてみましょう。きっと、全てを書きつくした後は、後悔ない就職活動が出来るはずです。
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ウマキ