花いちもんめのルールと歌詞とは?怖い意味の真相・由来・全国のバリエーションまで徹底解説

花いちもんめのルールと歌詞・怖い意味を解説するサムネイル

「か~ってうれしい、はないちもんめ」。手をつないで歌いながら前に進み、相手のチームから一人ずつ仲間をもらっていく花いちもんめ。保育園や小学校で、誰もが一度は遊んだことのあるわらべうた遊びです。

ところがこの花いちもんめ、ネットで検索すると「歌詞に怖い意味が隠されている」「じつは人身売買の歌だ」といった物騒な話がたくさん出てきます。本当にそんな恐ろしい背景があるのでしょうか。

この記事では、花いちもんめの基本ルールと遊び方、歌詞の全文から始めて、名前の由来や「怖い」と言われる理由の真相、子とろ子とろにさかのぼる起源、全国で違う歌詞のバリエーション、そして遊び方のコツやクイズまで、花いちもんめのすべてを一気にまとめました。

子どものころ「あの子がほしい」と名指しされると、なんだかドキドキしましたよね。あの遊びにそんな深い背景があったなんて、大人になった今こそ知っておきたいところです。

花いちもんめとは?基本のルールと遊び方

手をつないで輪になり集団で遊ぶ子どもたち

花いちもんめ(花一匁)は、二つのチームに分かれ、歌を歌いながらじゃんけんで相手チームの仲間を一人ずつ自分のチームに引き抜いていく、日本に古くから伝わるわらべうた遊びです。特別な道具はいらず、広場さえあれば何人でもすぐに始められます。

遊びの流れはとてもシンプルです。まず人数を半分に分け、それぞれが横一列に手をつないで向かい合います。次に、片方のチームが「か~ってうれしい、はないちもんめ」と歌いながら前に進み、歌の終わりで片足を蹴り上げます。すると相手チームは後ろに下がります。今度は相手チームが「ま~けてくやしい、はないちもんめ」と歌いながら前に進み、これを交互に繰り返します。

ひと通り歌い終わったら、チームごとに集まって「次は相手の誰をもらうか」を相談します。両チームが「き~まった」と声をそろえたら、それぞれ「あの子がほしい」とほしい相手の名前を発表します。名前を呼ばれた二人が前に出てじゃんけんをし、負けた人は勝った人のチームに移動します。これを繰り返し、どちらかのチームの人数がゼロになったら終了です。

基本の遊び方の手順
①二つのチームに分かれ、横一列で手をつないで向かい合う
②交互に歌いながら前進・後退をくり返す
③チームで相談し、ほしい相手を一人決める
④「あの子がほしい」とお互いに名前を発表する
⑤呼ばれた二人がじゃんけん。負けた人は相手チームへ移動
⑥どちらかのチームがいなくなったら終わり

花いちもんめの歌詞|基本の歌詞と全文

花いちもんめの歌詞は地域によってかなり違いますが、まずはもっとも親しまれている基本の形を見てみましょう。前半の「勝ってうれしい・負けてくやしい」と、後半の「あの子がほしい」の掛け合いが基本の骨組みです。

か~ってうれしい はないちもんめ
ま~けてくやしい はないちもんめ
あの子がほしい
あの子じゃわからん
この子がほしい
この子じゃわからん
そうだんしましょ
そうしましょ

このあと「き~まった」のかけ声で、両チームがほしい相手の名前を発表し、じゃんけんへと進みます。とてもシンプルなので、小さな子でもすぐに覚えられます。

地域によっては、前半と後半のあいだに、次のような問答の歌詞がはさまる長いバージョンもあります。

となりのおばさん ちょっと来ておくれ
鬼がいるから 行かれない
お釜(かま)かぶって ちょっと来ておくれ
お釜が底(そこ)ぬけ 行かれない
お布団(ふとん)かぶって ちょっと来ておくれ
お布団びりびり 行かれない

「来てほしいけれど、あれこれ理由をつけて行けない」という、コミカルなやり取りが入るのが特徴です。この問答部分の有無や中身が、地域ごとのバリエーションを生む大きなポイントになっています。

改めて歌詞を並べてみると、後半の「あの子がほしい」だけがやけに切実に響きますよね。この一節こそ、のちほど紹介する「怖い説」の出発点になっているんです。

「花いちもんめ」の意味と名前の由来

花一匁の名前の由来となった一輪の赤い花

そもそも「はないちもんめ」とは、どういう意味なのでしょうか。漢字で書くと「花一匁」となり、ここに名前の由来が隠れています。

ポイントになるのが「一匁(いちもんめ)」という言葉です。匁(もんめ)とは、もともと日本の尺貫法(しゃっかんほう)における重さの単位で、一匁はおよそ3.75グラム。五円玉一枚の重さがちょうど一匁にあたります。さらに江戸時代には、銀(ぎん)の貨幣(かへい)の単位としても使われ、「銀(ぎん)何匁」と数えていました。

つまり「花一匁」とは、銀一匁ほどの値段の花、という意味になります。一匁はごくわずかな金額なので、ここでいう花は「とても安い一輪の花」を指します。その安い花を、値切って安く買えてうれしい買い手と、値切られて売るのが残念な売り手。その駆け引きの様子が「勝ってうれしい」「負けてくやしい」という歌詞になった、というのが名前の素直な由来とされています。

一匁(いちもんめ)ってどれくらい?
匁(もんめ)は尺貫法の重さの単位で、一匁=約3.75グラム。ちょうど五円玉一枚分の重さです。今でも真珠(しんじゅ)の取引などで使われることがあります。江戸時代には銀貨の単位でもあり、「一匁」はごくわずかな金額のたとえとして使われました。

一方で、この「花」を、花そのものではなく「若い女性」を指す隠語(いんご)だと考える人もいます。じつは、この見方が次に紹介する「怖い説」へとつながっていきます。

花いちもんめが「怖い」と言われる理由とは【諸説】

夕暮れの野原で遊ぶ子どものシルエット

花いちもんめを検索すると、必ずといっていいほど出てくるのが「じつは怖い意味がある」という話です。なぜそんなふうに言われるのか、代表的な説を見ていきましょう。ただし、結論を先に言うと、これらはあくまで諸説であり、学術的に証明されたものではありません。

人身売買・口減らし説

もっとも有名なのが、花いちもんめは貧しい家の子どもの人身売買を歌ったものだ、という説です。昔、食べていけない貧しい家庭が、口減らしのために子どもを人買いに売ったという歴史と重ね合わせる見方です。

この説では、「花」は売られていく子ども、「一匁」はその安い値段を表すとされます。チームで相手の子を品定めして「あの子がほしい」と引き抜き合う様子が、まるで人の売り買いのようだ、というわけです。たしかにそう聞くと、無邪気な遊びが急に物悲しく見えてきます。

遊女の身売り説

「花」を若い女性の隠語ととらえ、遊郭(ゆうかく)へ売られていった女性たちを歌ったものだ、とする説もあります。前の説と近い考え方で、「花のように美しい娘が、わずかな金額で売られていく」という悲しい背景を読み取る見方です。

「あの子がほしい」「この子じゃわからん」という掛け合いを、買い手が女性を選別している場面だと解釈するのが、この説の特徴です。

神隠し・鬼にさらわれた説

長いバージョンの歌詞に出てくる「鬼がいるから行かれない」の一節に注目した説もあります。ここでの「鬼」を、子どもをさらう異人(いじん)や神隠しの象徴だと考え、さらわれた子どもへの恐れが歌に込められているとする見方です。

かつて子どもが行方不明になることは珍しくなく、その不安が「鬼」として歌詞に残った、というロマンのある解釈です。

どこまで本当?怖い説の位置づけ

ここまで紹介した説は、どれも興味深いものです。しかし大切なのは、これらが確定した事実ではなく、後世の人による解釈や連想にすぎない、という点です。

そもそも花いちもんめという遊び自体は、後で述べるように昭和のはじめごろに全国へ広まった、比較的新しい遊びと考えられています。江戸時代の人身売買そのものを描いた歌が起源だとは考えにくいのです。「花一匁=安い花の値切り」という素直な解釈が基本で、怖い説は歌詞の言葉から想像をふくらませた俗説(ぞくせつ)と見るのが穏当でしょう。

怖い説の扱いに注意
人身売買説や遊女説は、ネットや都市伝説の本ではよく「真実」として紹介されます。しかし、はっきりした史料(しりょう)の裏づけはなく、研究の世界でも定説にはなっていません。子どもに話すときは「そういう説もあるけれど、確かめられた話ではないよ」と添えてあげると安心です。

怖い話はインパクトがあるぶん広まりやすいですが、鵜呑(うの)みは禁物ですね。「諸説あって確証はない」と知っておくだけで、ぐっと冷静に楽しめます。

花いちもんめの起源と歴史|子とろ子とろとのつながり

昔の子どもの遊びを描いた浮世絵

意外に思われるかもしれませんが、花いちもんめがいつ、どこで生まれたのかは、はっきりとは分かっていません。それでも、研究によっておおまかな流れは見えてきています。

有力とされているのが、「子とろ子とろ(ことろことろ)」という、より古い遊びから枝分かれしたという説です。子とろ子とろは、先頭の親役の後ろに子が一列につながり、いちばん後ろの子を鬼が捕まえようとするのを親が守る、という伝承遊びです。「人を取り合う」という構図が、花いちもんめとよく似ています。

記録の上では、江戸時代から大正時代にかけて、今の花いちもんめとまったく同じ遊びは確認されていません。はっきり姿を現すのは昭和のはじめごろで、昭和10年に発行された資料に京都市で歌われていた歌が残っています。元になる歌は大正の終わりごろにあったと推定されており、そこから全国へ広まっていったと考えられています。

つまり花いちもんめは、見た目こそ素朴ですが、成立したのは意外と新しい遊びなのです。この事実は、「江戸の人身売買が起源」という怖い説に対する、有力な反証にもなっています。

起源とされる子とろ子とろは、鬼ごっこのルーツの一つでもあります。子とろ子とろや鬼遊びの歴史について、くわしくは以下の記事を参照してください。

全国で違う!地域ごとの歌詞バリエーション

花いちもんめは口づてで全国に広まったわらべうたなので、歌詞やメロディが地域によって大きく異なります。宮城、福島、長野、新潟、関西、愛媛、福岡、長崎など、各地でさまざまな形が記録されており、福島県のように一つの県に複数のバリエーションがある場合もあります。

代表的なバリエーションの「型」を、いくつか整理してみました。

バリエーションの型 特徴・歌詞の一例
基本の取り合い型 「あの子がほしい/あの子じゃわからん…」とすぐに相手を選ぶ。全国に共通する核の部分
「となりのおばさん」型 前半と後半のあいだに「鬼がいるから行かれない」などの問答がはさまる。関東などで見られる
「タンス長持ち」型 「タンス長持ち どの子がほしい」と、嫁入り道具を歌い込む形
福島の「ふるさと」型 「ふるさと求めて はないちもんめ」と歌い出すバージョン
メロディの地域差 近畿では「もんめ」を同じ高さの音で続けて歌い、関東・東北・九州では異なる節回しになる

同じ遊びなのに、地元の歌詞しか知らない人どうしだと「その歌い方は違う!」と盛り上がることもしばしば。帰省したときに、おじいちゃんやおばあちゃんに地元の花いちもんめを聞いてみるのも面白いですよ。

盛り上げる遊び方のコツと注意点

単純なルールだからこそ、ちょっとした工夫で花いちもんめはぐっと盛り上がります。逆に、配慮を忘れると一部の子が悲しい思いをしてしまう遊びでもあります。コツと注意点をまとめておきましょう。

盛り上げるコツ

歌の終わりで足を蹴り上げる動作や前進・後退の動きは、チームで息を合わせると一体感が出ます。声を大きくそろえるだけで、ぐっと楽しくなります。じゃんけんの前に「絶対に勝つぞ!」とチームで気合を入れるのも、盛り上がりの定番です。

人数は、各チーム5〜6人以上いるとにぎやかで楽しめます。少人数のときは、一人取られると一気に差がつくので、勝負がスピーディーになります。

遊ぶときの注意点

花いちもんめは「あの子がほしい」と名前を呼ぶ遊びなので、いつも同じ子ばかり呼ばれたり、逆にまったく呼ばれなかったりすると、子どもが傷ついてしまうことがあります。遊ぶ前に「友だちが悲しくなる選び方はしない」とひと声かけておくと安心です。

また、手をつないで前後に動くため、勢いあまって転んだり、ぶつかったりしないよう、広くて平らな場所で遊びましょう。

「誰をもらうか」の相談タイムは、じつは子どもの社会性が育つ大事な時間。勝ち負けだけでなく、みんなが笑顔でいられるよう大人がそっと見守ってあげたいですね。

似た遊び・世界のわらべうた遊び

「二つのチームが人を取り合う」という花いちもんめの構図は、じつは日本だけのものではありません。世界にも、よく似た遊びがあります。

もっともそっくりなのが、北米で親しまれている「レッドローバー(Red Rover)」です。二つのチームが手をつないで一列に向かい合い、相手チームの一人を名指しで呼びます。呼ばれた子は相手の列めがけて走り込み、手のつなぎを突破できなければ、その列の仲間になる、という遊びです。「名指しで人を呼ぶ」「負けたら相手チームに加わる」という流れは、花いちもんめとうり二つです。

イギリスの「ロンドン橋落ちた(London Bridge Is Falling Down)」も、二人が手でアーチを作り、歌の終わりで下を通る子を捕まえるという、人を取り合う要素のある遊びです。歌に合わせて人をやり取りするわらべうた遊びは、国を越えて広く愛されてきたことが分かります。

日本の伝承遊びにも、花いちもんめと同じく古くから親しまれてきた仲間がたくさんあります。あわせて以下の記事もどうぞ。

花いちもんめクイズ5問にチャレンジ

ここまで読めば、あなたも花いちもんめ博士です。知識をためすクイズに挑戦してみましょう。答えはそれぞれの下にあります。

第1問

「花いちもんめ」の「一匁(いちもんめ)」は、もともと何を表す単位でしょう?

答え:重さの単位。尺貫法の重さの単位で、一匁は約3.75グラム(五円玉一枚分)です。江戸時代には銀貨の単位としても使われました。

第2問

花いちもんめの起源になったとされる、列の後ろの子を親が守る古い伝承遊びは何でしょう?

答え:子とろ子とろ(ことろことろ)。鬼ごっこのルーツの一つでもあります。

第3問

花いちもんめで、ほしい相手を発表したあと、最後に勝敗を決めるのは何でしょう?

答え:じゃんけん。負けた人が、勝った人のチームに移動します。

第4問

花いちもんめの「怖い説」で、「花」が指していると言われるものは何でしょう?

答え:若い女性(人身売買・遊女説)。ただし、これはあくまで俗説で、学術的な裏づけはありません。

第5問

二つの列に分かれて人を奪い合う、花いちもんめにそっくりな北米の遊びは何でしょう?

答え:レッドローバー(Red Rover)。呼ばれた子が相手の列に突進し、突破できなければ仲間になります。

よくある質問(Q&A)

Q. 花いちもんめは何人から遊べますか?

左右に2人ずつ、合計4人いれば遊べます。ただし、人数が少ないとすぐ決着がついてしまうので、各チーム5〜6人以上いると、相談や駆け引きが生まれてぐっと盛り上がります。

Q. 花いちもんめには本当に怖い意味があるのですか?

人身売買説や遊女説など怖い説はいくつもありますが、いずれも確かな史料の裏づけはなく、定説にはなっていません。「銀一匁ほどの安い花を値切る様子」という素直な解釈が基本で、怖い説は後世の想像による俗説と考えるのが穏当です。

Q. なぜ地域によって歌詞が違うのですか?

花いちもんめは、文字ではなく口づてで広まったわらべうただからです。元の歌が各地に伝わるなかで、その土地ならではの言葉や節回しに少しずつ変化していきました。そのため、同じ遊びでも歌詞やメロディが地域ごとに異なります。

Q. 何歳ごろから楽しめますか?

歌とじゃんけんが理解できる4〜5歳ごろから楽しめます。小さな子と遊ぶときは、歌をゆっくりにしたり、名指しで悲しい思いをする子が出ないよう大人が声をかけたりすると安心です。

まとめ|花いちもんめは歌と駆け引きが魅力の伝承遊び

花いちもんめは、二つのチームが歌いながら仲間を取り合う、日本に古くから伝わるわらべうた遊びです。「花一匁」とは銀一匁ほどの安い花を値切るやり取りを指し、それが名前の素直な由来とされています。

「人身売買の歌」「遊女の身売り」といった怖い説は有名ですが、どれも確かな裏づけのない俗説です。遊び自体が昭和のはじめに広まった比較的新しいものだという事実とも、うまくかみ合いません。

起源は鬼ごっことも縁の深い「子とろ子とろ」にさかのぼり、歌詞やメロディは全国でさまざまに枝分かれしています。北米のレッドローバーのように、世界にも似た遊びがあるのも興味深いところです。

怖い説に振り回されず、歌と駆け引きそのものを楽しむ。それが花いちもんめのいちばんの魅力です。次に小さな子と遊ぶ機会があれば、ぜひ一緒に「か~ってうれしい」と口ずさんでみてください。

何気なく歌っていた遊びにも、こうしてひもといてみると深い歴史と物語があるものですね。今度は地元のおじいちゃん・おばあちゃんに、昔の花いちもんめを聞いてみたくなりました。