ハングル一覧!子音・母音の読み方と成り立ち・仕組みを歴史・覚え方つきで解説

韓国ドラマやK-POPでよく見かける、丸や四角や棒を組み合わせた不思議な文字「ハングル」。一見すると記号の羅列のようで、覚えるのが大変そうに見えますよね。

ところがハングルは、世界でもっとも合理的に設計された文字のひとつと言われています。なぜなら、子音は発音するときの口や舌の形をかたどり、母音は「天・地・人」という東洋哲学をもとに作られているからです。仕組みさえつかめば、数日で読めるようになります。

この記事では、ハングルの基本となる子音14字・母音10字の一覧と読み方、文字を組み立てる仕組み(反切表)、そして世宗大王(セジョンだいおう)が作った成り立ちと歴史、覚え方のコツまで、まとめて解説します。

「あの記号、どうやって読むの?」という素朴な疑問が、読み終わるころには「なるほど、よくできてる!」に変わるはずです。

ハングルとは?子音と母音を組み合わせる表音文字

ソウル明洞のハングル看板が並ぶ街並み

ハングル(한글)とは、韓国語(朝鮮語)を書き表すための文字です。アルファベットや日本語のかなと同じく、一つひとつの文字が音を表す「表音文字」に分類されます。

ハングルの最大の特徴は、子音を表す字と母音を表す字を組み合わせて、1つの四角い「音のかたまり(音節)」を作る点です。たとえば「가(カ)」は、子音の「ㄱ(k)」と母音の「ㅏ(a)」を左右に並べた1文字です。ローマ字で「ka」と書くのを、1マスにギュッとまとめたイメージですね。

アルファベットのように音の最小単位(音素)を表しながら、漢字やかなのように1音節を1ブロックにまとめる。ハングルは、この2つの長所を併せ持った珍しい文字なのです。

なお「ハングル」は文字の名前であって、言語の名前ではありません。文字が「ハングル」、言語が「韓国語(朝鮮語)」です。日本語でいう「ひらがな」と「日本語」の関係と同じですね。日本語の文字の成り立ちについては、以下の記事もあわせてどうぞ。

ハングルの基本子音14字の一覧と読み方

ハングルが刻印された韓国語のキーボード

まずは子音から見ていきましょう。ハングルの基本の子音は、次の14字です。日本語のカナは目安で、実際の発音は前後の位置によって少し変わります。

文字 名前 読み 音(ローマ字) 発音の系統
기역 キヨク k / g 牙音(奥舌)
니은 ニウン n 舌音
디귿 ティグッ t / d 舌音
리을 リウル r / l 舌音(流音)
미음 ミウム m 唇音
비읍 ピウプ p / b 唇音
시옷 シオッ s 歯音
이응 イウン 無音 / ŋ(ン) 喉音
지읒 チウッ ch / j 歯音
치읓 チウッ ch(激音) 歯音
키읔 キウク k(激音) 牙音
티읕 ティウッ t(激音) 舌音
피읖 ピウプ p(激音) 唇音
히읗 ヒウッ h 喉音

子音の名前(기역・니은など)には法則があります。基本的に「その子音+ㅣ(イ)」と「ㅡ(ウ)+その子音」を組み合わせた形で、たとえば「ㄴ」なら「니은(ニウン)」となります。最初の音と最後の音の両方で、その子音がどんな働きをするかが分かる仕組みです。

ちなみに「ㅇ(イウン)」は、文字の最初に来るときは音を持たない「飾り」の役割で、母音だけの音(아=ア)を書くために使われます。一方、音のかたまりの最後(パッチム)に来ると「ン(ŋ)」の音になります。1つの字が位置によって役割を変える、ハングルらしい工夫です。

平音・激音・濃音
ハングルの子音には、息の出し方で3つのグループがあります。ふつうに出す「平音(ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅅ・ㅈ)」、強く息を吐く「激音(ㅋ・ㅌ・ㅍ・ㅊ)」、そして喉をつめて出す「濃音」です。濃音は平音の字を2つ重ねて、ㄲ・ㄸ・ㅃ・ㅆ・ㅉの5字で表します。基本14字に濃音5字を足した19字が、子音のフルセットです。

ハングルの基本母音10字の一覧と読み方

韓国・景福宮の光化門と現代の街並み

次は母音です。ハングルの基本の母音は、次の10字です。棒(ㅣ・ㅡ)に短い点(もとは丸い点)を付ける位置で、音が変わっていきます。

文字 読み 音(ローマ字) 種類
a 陽母音
ya 陽母音
eo(口を大きく) 陰母音
yeo 陰母音
o(口をすぼめる) 陽母音
yo 陽母音
u(口をすぼめる) 陰母音
yu 陰母音
eu(口を横に) 中性母音
i 中性母音

母音は、点が右や上にある「陽母音(ㅏ・ㅗなど明るい響き)」と、左や下にある「陰母音(ㅓ・ㅜなど暗い響き)」に分かれます。日本語話者がつまずきやすいのは、「オ」が2種類(ㅓとㅗ)、「ウ」が2種類(ㅜとㅡ)ある点です。口を大きく開ける「ㅓ」と、唇をすぼめる「ㅗ」を区別するのがコツです。

基本の10字に、2つの母音を合体させた複合母音11字(ㅐ・ㅔ・ㅘ・ㅚなど)を足すと、母音は全部で21字になります。子音19字と母音21字、合わせて40字が現代ハングルの字母の総数です。とはいえ、まずは基本の子音14・母音10をおさえれば、ほとんどの字は読めるようになります。

「これだけ覚えれば読める」とゴールが見えているのが、ハングルのありがたいところです。漢字のように何千字も覚える必要はありません。

ハングルの仕組み!子音・母音の組み合わせと反切表

子音と母音がそろったら、いよいよ組み立てです。ハングルの1文字(音のかたまり)は、次のルールで作られます。

  • 子音(初声)+母音(中声)=基本の形。例:ㄱ+ㅏ=가(カ)
  • 子音+母音+子音(終声・パッチム)=下に子音を足した形。例:ㄱ+ㅏ+ㅁ=감(カム)

母音の置く位置にもルールがあります。「ㅏ・ㅓ・ㅣ」のような縦長の母音は子音のに、「ㅗ・ㅜ・ㅡ」のような横長の母音は子音のに置きます。こうして、どんな組み合わせでもきれいな四角におさまるよう設計されているのです。

この子音と母音をかけ合わせた早見表を「反切表(はんせつひょう)」と呼びます。韓国の子どもが文字を覚えるときの基本表で、日本語の五十音表にあたります。基本子音14字と基本母音10字の反切表が、こちらです。

 









表を横に読むと、同じ子音で母音だけが変わっていくのが分かります。「가갸거겨고교구규그기(カ・キャ・コ・キョ…)」という具合です。この規則性こそ、ハングルが「読みやすい」と言われる理由です。

音のかたまりの最後に付く子音を「パッチム(받침=下敷きの意味)」と呼びます。たとえば「한국(ハングク=韓国)」の「한」は、ㅎ+ㅏ+ㄴの3つでできています。パッチムがあると、次の文字とつながって発音が変化する「連音化」も起こりますが、まずは形の組み立てを理解すれば十分です。

ハングルの成り立ち!子音は発声器官、母音は天地人をかたどる

ハングルの設計を記した文書『訓民正音解例本』

ここがハングルの最大の魅力です。ハングルの字の形は、デタラメに決められたわけではありません。子音は発音するときの口・舌・喉の形を、母音は天・地・人をかたどって、理詰めで設計されているのです。

子音字は発音する口や舌の形をかたどっている

子音はまず、発音する場所ごとに5つの「基本字」が作られました。その形は、その音を出すときの口の中の様子をうつしたものです。

基本字 系統 かたどった形 画を足した派生字
牙音(奥舌) 舌の付け根が喉をふさぐ形 ㅋ・ㄲ
舌音 舌先が上の歯ぐきにつく形 ㄷ → ㅌ・ㄸ
唇音 口(くちびる)の形 ㅂ → ㅍ・ㅃ
歯音 歯の形 ㅈ → ㅊ・ㅆ・ㅉ
喉音 喉(のど)の丸い形 ㆆ → ㅎ

たとえば「ㄱ(k)」は、発音するときに舌の付け根が持ち上がって喉をふさぐ、その横から見た形です。「ㅁ(m)」は、唇を閉じる口そのものの四角い形。「ㅅ(s)」は、すきまから息がもれる歯の形です。実際に発音しながら口を触ってみると、「たしかにこの形だ」と納得できます。

そして、この5つの基本字に画を1本ずつ足していくと、同じ仲間の音が作れます。息を強めた音(激音)にするときは画を足す、というルールです。「ㄴ→ㄷ→ㅌ」「ㅁ→ㅂ→ㅍ」のように、形が音の関係を表しているのです。バラバラに見えた子音が、実は親戚同士だったというわけですね。

母音字は天・地・人の三才から作られている

母音は、東洋の宇宙観である「三才(天・地・人)」をもとにした、3つの要素から組み立てられています。

基本要素 三才 意味 イメージ
天(太陽)を表す丸い点 空にうかぶ太陽
平らな大地を表す横線 地面
立つ人を表す縦線

もとは「天」を表す丸い点(・)でしたが、書きやすいように短い棒へと変わりました。この3要素を組み合わせて、点が地の上にあれば「ㅗ(オ)」、下にあれば「ㅜ(ウ)」、人の右にあれば「ㅏ(ア)」、左にあれば「ㅓ(オ)」というように、すべての母音が生まれます。点の位置で明るい音(陽)と暗い音(陰)を表す、美しい仕組みです。

「漢字をまねた」という誤解
ハングルは長い間、「昔の漢字の書体(古篆)をまねて作った」「窓の格子の形から思いついた」などと誤解されてきました。ところが1940年、文字の設計図ともいえる解説書『訓民正音解例本(くんみんせいおんかいれいぼん)』が発見され、子音が発声器官を、母音が天地人をかたどったものだと、はっきり記されていたのです。世界でも珍しい「作った理由が文書で残っている文字」です。

表音文字の成り立ちという点では、ギリシャ文字も興味深い歴史を持っています。文字の由来に興味がわいたら、以下の記事もどうぞ。

ハングルを作った世宗大王と訓民正音の歴史

光化門広場に立つ世宗大王の像

ハングルを作ったのは、朝鮮王朝(李氏朝鮮)第4代の王・世宗大王(セジョンだいおう、1397〜1450)です。世宗は学者たちの研究機関「集賢殿(しゅうけんでん)」を中心に文字の研究を進め、1443年に文字を完成させ、1446年に『訓民正音』という書物の形で公布しました。

「訓民正音(くんみんせいおん/フンミンジョンウム)」とは、「民に教える正しい音」という意味です。その序文には、おおよそ次のような世宗の思いがつづられています。「我が国の言葉は中国とは異なり、漢字とはうまくかみ合わない。そのため庶民は言いたいことがあっても、書き表せない者が多い。これを哀れに思い、新しく28字を作った。誰もが簡単に学び、日々便利に使えるようにと願って」。

当時の朝鮮では、文字といえば漢字でした。しかし漢字を学べるのは一部の支配層(両班)だけで、庶民の多くは読み書きができませんでした。世宗は「誰もが使える文字」を目指し、賢い者なら朝のうちに、そうでなくとも数日で覚えられる文字を作ったのです。実際にハングルは、その理念どおりの学びやすさを実現しました。

権力者が「庶民が読み書きできるように」と文字をゼロから作る。世界の文字の歴史を見ても、これはとても珍しいことなんです。

ところが当初、漢字を重んじる学者たちはハングルを「諺文(オンモン=俗っぽい文字)」と呼んでさげすみ、長らく公式の場では使われませんでした。地位が大きく変わるのは近代に入ってからです。1894年の改革で公用文に採用されて「国文」と呼ばれ、さらに国語学者の周時経(しゅうじけい)が20世紀初頭に「ハングル」という名を広めました。「ハン(한)」は「大いなる・ひとつの」、「グル(글)」は「文字」を意味し、「偉大な文字」という誇りが込められています。

そして文字の設計を記した『訓民正音解例本』は、韓国の国宝第70号に指定され、1997年にはユネスコの「世界の記憶(世界記録遺産)」に登録されました。公布を記念する10月9日は、韓国で「ハングルの日(한글날)」という祝日になっています。

ハングルの覚え方とコツ

仕組みが分かったところで、日本語話者がハングルを覚えるときのコツをまとめます。やみくもに暗記するより、成り立ちを利用したほうがずっと早く頭に入ります。

  • 母音を先に覚える:縦棒・横棒に点を付ける位置(右・左・上・下)で「ア・オ・オ・ウ」と変わる規則をつかむと、母音10字はすぐ覚えられます。
  • 子音は「口の形」で覚える:ㅁ=口、ㅅ=歯、ㅇ=喉の丸、と成り立ちに結びつけると忘れにくくなります。
  • 反切表を声に出して読む:「가갸거겨…」とリズムで読むと、子音と母音の組み合わせが体にしみこみます。
  • 似た字をペアで見分ける:ㅏとㅓ(点の向き)、ㅗとㅜ(点の上下)、ㄱとㅋ(画の数)、ㅂとㅍ(向き)など、紛らわしい字は対比で覚えます。
  • パッチムは後回しでOK:まずは「子音+母音」で読める字を増やし、慣れてから終声に進みましょう。

看板やK-POPの歌詞など、身近なところでハングルを見つけて読んでみるのも効果的です。「読める文字が増える」という実感が、いちばんのモチベーションになります。

発音はあくまで目安
この記事のカナ表記は、あくまで読み方の目安です。ハングルには日本語にない音(2種類のオ・ウ、激音・濃音の区別など)があり、カナだけでは正確に表せません。本格的に発音を身につけたいときは、音声付きの教材で耳から確認するのがおすすめです。

ハングルの雑学・豆知識

最後に、思わず誰かに話したくなるハングルの豆知識を紹介します。

  • 作者と誕生日が分かる珍しい文字:世界の主要な文字の多くは、誰が・いつ作ったか分かりません。ハングルは「世宗大王が1443年に作った」と特定できる、きわめて珍しい文字です。
  • もとは28字、いまは24字:訓民正音は28字でしたが、時代とともに4字(ㆍ・ㆆ・ㅿ・ㆁ)が使われなくなり、現在の基本24字に整理されました。
  • 「ハングルの日」がある:韓国では10月9日が祝日「ハングルの日」。文字そのものを祝う祝日は、世界でもめずらしい存在です。
  • パソコン入力もシンプル:キーボードは左手で子音、右手で母音を打つ配置(2ボル式)。子音と母音を順に押すだけで字が組み上がります。
  • 点字のハングルもある:視覚障害者のための「訓盲正音(フンメンジョンウム)」という点字体系があり、ハングルの仕組みを点で表しています。
  • 北朝鮮では「チョソングル」:同じ文字でも、北朝鮮では「朝鮮の文字」を意味する「チョソングル(조선글)」と呼ばれ、字母の並び順などに少し違いがあります。

「文字を祝う祝日がある」と聞くと、その国がどれだけ自分たちの文字を誇りに思っているかが伝わってきますね。

ハングルクイズ5問!読み方に挑戦

ここまでの知識を使って、かんたんなクイズに挑戦してみましょう。答えは下のボックスにあります。

第1問:子音「ㄱ」と母音「ㅏ」を組み合わせた「가」は、何と読むでしょう?

第2問:子音「ㅁ」は、何の形をかたどって作られたでしょう?

第3問:ハングル(訓民正音)を作った、朝鮮王朝の王は誰でしょう?

第4問:あいさつの「안녕(アンニョン)」は、もともと漢字でどう書く言葉でしょう?

第5問:現代ハングルの基本の子音は、全部で何字でしょう?

【答え】

第1問:カ(ka/ga)。子音ㄱ+母音ㅏの基本の組み合わせです。

第2問:口(くちびる)。唇を閉じる形をかたどっています。

第3問:世宗大王(セジョンだいおう)。朝鮮王朝第4代の王です。

第4問:安寧。「安らかで健やか」を意味する漢字語で、韓国語の代表的なあいさつです。

第5問:14字。これに濃音5字を足すと、子音は全部で19字になります。

ハングルに関するよくある質問(FAQ)

Q. ハングルと韓国語は何が違うのですか?

ハングルは「文字」の名前、韓国語(朝鮮語)は「言語」の名前です。日本語をひらがな・漢字で書くように、韓国語をハングルで書く、という関係になります。

Q. ハングルは全部で何文字ありますか?

基本は子音14字+母音10字の24字です。これに濃音5字と複合母音11字を加えると、字母は全部で40字になります。これらを組み合わせて、約1万1千通りの音節が表せます。

Q. 韓国語でも漢字を使いますか?

現代の韓国ではほとんどハングルだけで書かれ、漢字を使う場面はかなり減りました。ただし人名や、同音異義語を区別したいときなどに、漢字(漢字語)が使われることがあります。

Q. ハングルは独学で覚えられますか?

はい。仕組みが規則的なので、基本の子音と母音を覚えれば、早い人なら数日で簡単な単語が読めるようになります。まずは反切表を声に出して読むのがおすすめです。

Q. 北朝鮮の文字も同じハングルですか?

文字そのものは同じです。ただし北朝鮮では「チョソングル」と呼び、字母の並び順や一部の表記ルールが韓国と異なります。

まとめ:ハングルは仕組みを知れば一気に読める

ハングルは、子音14字と母音10字を組み合わせて作る表音文字です。子音は発音する口や舌の形を、母音は天・地・人をかたどっており、理詰めで設計されているからこそ、短期間で読めるようになります。

そのルーツには、「庶民にも読み書きを」という世宗大王の願いがありました。1443年に生まれ、1446年に『訓民正音』として公布されたこの文字は、いまでは世界記録遺産に登録され、文字を祝う祝日まで持つほど大切にされています。

まずは反切表を声に出して読み、看板や歌詞で「読める字」を見つけてみてください。記号にしか見えなかった文字が、意味を持った言葉として立ち上がってくる瞬間は、きっと感動ものですよ。