
この記事では、世界の珍しい料理・ゲテモノ料理を25品、画像付きで紹介します。「アジア」「ヨーロッパ」「アメリカ大陸」「アフリカ・オセアニア」「日本」の地域別にまとめました。
ただし、ここで紹介する料理はその国・地域では普通の食べ物または高級料理として愛されているものばかりです。文化の違いを楽しみながら読んでいただければと思います。
目次
【アジア編】驚きの食文化7選
1. バロット(フィリピン)

14〜21日ほど温めて孵化直前まで発育させたアヒルの卵を、殻ごと20〜30分茹でた料理。食べる際はまず殻の上を割ってスープをすすり、その後中身を食べます。
塩や酢で味付けすると、卵黄のコクと軽いスープの旨味が広がります。1565年頃に中国から伝わり、安価で栄養豊富なタンパク源として街頭屋台で広まりました。近年はマニラの高級レストランでアペタイザーとしても提供されています。
2. サンナクチ(韓国)

韓国の生きたタコ料理。テナガダコを捕獲後すぐに切り分け、まだ動いている状態でごま油と炒りごまをかけて提供されます。
味自体は淡白ですが、吸盤が口の中に吸い付く独特の食感が醍醐味。三国時代(紀元前57年〜紀元668年)に遡る伝統食で、冒険心や勇気の象徴とも捉えられています。
ただし吸盤が喉に吸い付く窒息事故の報告もあり、よく噛んで食べることが重要です。
3. ピータン(皮蛋・中国)

アヒルや鶏の卵を石灰・塩・灰・籾殻に数ヶ月漬け込むアルカリ熟成食品。白身は半透明の黒ゼリー状に、黄身はクリーミーな緑灰色に変化します。
硫黄を感じる独特の香りと、チーズのような濃厚な発酵風味が特徴。明代(16世紀)の文献にすでに記載があり、「建築用の石灰に落ちた卵が始まり」という言い伝えも残っています。「千年卵」と呼ばれますが、実際は約3ヶ月で完成します。
4. 燕の巣スープ(中国)

アナツバメが唾液で作る巣を、塩水で戻して鶏ガラやシロップで煮出した高級スープ。ゼリー状のプルンとした食感で、味は淡白です。
唐代から記録に残る高級食材で、明代に広く食されるようになりました。美容・滋養強壮効果から皇帝の食卓にも上り、1ポンド(約450g)あたり4,300ドル(約60万円)にもなる驚きの価格です。
5. ドリアン(東南アジア)

「果物の王様」と呼ばれるトゲだらけの巨大果実。中の黄色い果肉はカスタードのような濃厚な甘さとナッツ・バニラ・玉ねぎが混ざった風味です。
問題は匂いで、硫黄・腐った玉ねぎ・下水のような刺激臭がするため、シンガポールやバンコクではホテルや地下鉄への持ち込みが禁止されています。それでも東南アジアでは数百年にわたり愛され続けている人気フルーツです。
6. タイの昆虫食(タイ)

タイ東北部イサーン地方で発達した昆虫食文化。コオロギ、蚕のサナギ、バッタ、タガメ、タケムシなどを油で揚げて醤油や塩で味付けします。
カリカリした食感で、コオロギはナッツ風味、蚕のサナギは濃厚な旨味があります。現在のタイは世界最大級の食用昆虫生産国で、2万以上の養殖業者が登録されています。バンコクのカオサン通りや屋台で気軽に試せます。
7. コピ・ルアク(インドネシア)

世界最高級のコーヒーですが、その作り方が衝撃的。ジャコウネコがコーヒーの実を食べ、消化管内で発酵させて排泄したものを回収し、洗浄・焙煎します。
通常のコーヒーより雑味が少なく滑らか、独特のコクと甘さがあります。野生物は1kgあたり約18万円という驚きの価格。バリ島のコーヒー農園では試飲ツアーが人気です。
ただし養殖されたジャコウネコの劣悪な飼育環境が問題視されており、フェアトレードのものを選ぶのがおすすめです。
【ヨーロッパ編】発酵と知恵の結晶5選

8. シュールストレミング(スウェーデン)

「世界一臭い食べ物」として有名なスウェーデンの発酵ニシン缶詰。バルト海で産卵前に獲れるニシンを軽く塩漬けし、缶の中で最低6ヶ月発酵させます。
缶を開けると中身が噴出するほどの強烈な発酵ガスが出るため、必ず屋外で開けるのが作法。世界屈指の臭さですが、味自体は酸味のある塩味でまろやかです。
16世紀の塩不足時代に生まれ、1544年にグスタフ・ヴァーサ王が北部漁師から税として徴収した記録が残っています。
9. カース・マルツゥ(イタリア・サルデーニャ島)

イタリア・サルデーニャ島のウジ虫入りチーズ。ペコリーノチーズを屋外に置き、チーズバエが卵を産みつけるのを待ち、孵化した幼虫がチーズの脂肪を分解することで約3ヶ月でクリーミーに熟成します。
濃厚でピリッとした刺激のある熟成風味で、現地ではウジごと食べるのが伝統。EU食品安全規則により販売は禁止されていますが、サルデーニャの牧羊文化の象徴として地元愛好家からは「神聖な料理」と崇められています。
10. ハカール(アイスランド)

アイスランドの伝統発酵食品で、ニシオンデンザメの肉を砂利の穴に6〜12週間埋めて発酵、その後数ヶ月吊るして乾燥させた料理。
ニシオンデンザメの肉には尿素やトリメチルアミンオキシドなどの毒素が含まれるため、発酵で分解する必要があります。強烈なアンモニア臭とナッツのような風味が特徴で、多くの海外レビュアーが「人生最悪の匂い」と評しています。
ヴァイキング時代から続く保存食で、冬の祭「ソラブロート」で振る舞われる国民食です。
11. ハギス(スコットランド)

スコットランドの国民食。羊の心臓・肝臓・肺をミンチにして、玉ねぎ・オートミール・羊脂・塩胡椒と混ぜ、羊の胃袋に詰めて茹でた料理です。
香ばしいオートミールの風味と濃厚な内臓の旨味、胡椒の効いたスパイシーな味が特徴。1430年の英国文献に初出ですが、詩人ロバート・バーンズの「ハギスに捧ぐ」という詩により国民的地位を獲得しました。1月25日のバーンズサパー(ロバート・バーンズの誕生日)では定番料理です。
12. ルーテフィスク(北欧)

ノルウェー・スウェーデン・フィンランドのクリスマス伝統料理。乾燥タラを水に5〜6日浸して戻し、その後強アルカリの苛性ソーダ溶液に2日間浸漬し、最後に4〜6日水でアルカリを抜きます。
ゼリー状のぷるんとした食感で、味自体は淡白。溶かしバターや茹でたジャガイモと合わせて食べます。ヴァイキング時代由来とされ、北欧各国のクリスマスシーズンに多くのレストランで提供されます。
【アメリカ大陸編】伝統と発想の3選
13. クイ(ペルー)
ペルー・エクアドル・ボリビアのアンデス山地の伝統料理で、モルモットを丸焼きまたは揚げた料理です。ニンニク・クミン・アチョテでマリネしてから調理します。
味は鶏肉とウサギ肉の中間のような風味で、皮はパリッと中は柔らかく仕上がります。5,000年以上の歴史を持ち、インカ帝国時代から宗教儀式や占いにも使われた神聖な動物で、繁栄と幸運の象徴として祝祭で供されます。
14. エスカモーレ(メキシコ)

「メキシコのキャビア」「砂漠のキャビア」と呼ばれる高級食材で、特定の種のアリの幼虫とサナギを3〜4月に巣から収穫し、バターと玉ねぎ、青唐辛子と一緒に炒めてトルティーヤに包みます。
バターのようにクリーミーでナッツ風味、カッテージチーズに似た食感が特徴。アステカ帝国時代から食されてきた伝統食材で、1kgあたり35〜100ドルの高級品です。
15. ロッキーマウンテン・オイスター(アメリカ西部)

「ロッキーマウンテンの牡蠣」という名前ですが、実は牛の睾丸の揚げ物です。外皮を剥き、薄く伸ばし、小麦粉をまぶして揚げ、ケチャップやカクテルソースを添えます。
カラマリや柔らかい鶏肉に似た食感、淡白で軽やかな風味が特徴。カウボーイ文化に根ざした料理で、牧場で去勢された子牛の睾丸を余すところなく食べる実用料理として発達しました。アイダホ州イーグルでは毎年「世界最大のロッキーマウンテンオイスターフィード」フェスティバルが開催されています。
【アフリカ・オセアニア編】先住民の知恵2選
16. ウィッチェティグラブ(オーストラリア)

オーストラリア中央部砂漠地帯の先住民アボリジニの伝統食で、ウィッチェティブッシュの根に潜む幼虫を掘り出し、生のまま、または熱い灰の上で軽く焼いて食べます。
生だとアーモンドのような風味、焼くと皮はローストチキンのようにカリッとし、中身は目玉焼きのような黄色くとろりとした食感になります。6万年にわたりアボリジニの「ブッシュ・タッカー」の中心だった重要なタンパク源で、タンパク質38%、脂肪40%と高栄養。「成人1日の栄養を10匹で賄える」と言われています。
17. モパネワーム(南部アフリカ)

南アフリカ・ジンバブエ・ボツワナなどで食される毛虫料理。モパネの木の葉を食べる皇帝蛾の大型の毛虫を収穫し、内臓を絞り出して天日干しまたは燻製にします。
牛肉の約3倍のタンパク質、約4倍の鉄分を含む高栄養食で、地域経済を支える重要商品。南アフリカだけで年間160万kg取引され、ボツワナでは年間約8億円規模の産業になっています。
【日本編】意外と知らない郷土料理7選

18. しろうおの踊り食い(福岡県)
福岡の春の風物詩。半透明のハゼ科の魚「シロウオ」を生きたまま、酢醤油と割った生卵のタレに入れて口に流し込む料理です。
魚自体は淡白でほんのり甘く、口の中で跳ねる食感が醍醐味。室見川の河口では毎年「やな漁」が行われ、福岡市の季節を象徴する伝統料理として親しまれています。シーズンは2月中旬〜4月初旬です。
19. いなごの佃煮(長野県・東北地方)

秋の稲刈り時期に捕獲したイナゴを醤油・砂糖・みりん・酒で甘辛く煮詰めた佃煮。長野県や山形県、福島県などで広く食されています。
小エビのような甘辛い香ばしさと、佃煮特有の旨味が特徴。江戸時代から続く山間地域のタンパク源で、海から遠い内陸で魚や肉が手に入りにくかった地域の知恵です。今でも長野県の道の駅で瓶詰めが購入できます。
20. 蜂の子(長野県・岐阜県)

クロスズメバチ(地蜂・ヘボ)の幼虫とサナギを巣から取り出し、醤油・砂糖で佃煮にしたり、炊き込みご飯にしたりします。
ナッツのような香ばしさと濃厚な旨味、プチッとした食感が特徴。山間部の貴重なタンパク源として発達しました。岐阜県串原の「ヘボ祭り」では巣の大きさを競うコンテストも開催されています。
21. ざざ虫(長野県伊那地方)

長野県伊那地方で食されるカワゲラ・トビケラの幼虫の佃煮。天竜川など清流に生息する幼虫を冬に採取し、佃煮に加工します。
香ばしく、川魚のような風味と甘辛い佃煮の味わい。「ざざ」は川の流れの擬音語から付いた名前です。戦後の食糧難時代に広く食されましたが、現在は長野・岐阜・群馬の山間部に限定された珍味になっています。
22. フグの白子(山口県下関ほか)

トラフグの雄の精巣(白子)を、焼き・湯引き・ポン酢和えなどで提供する高級料理。フォアグラに例えられるクリーミーで濃厚な旨味とミルキーな甘さが特徴です。
1〜3月の産卵期が旬。フグ毒のある内臓の近くにあるため、免許のある料理人のみ取り扱い可能な希少食材で、東京・大阪・下関の高級フグ料亭で提供されます。
23. くさや(東京・伊豆諸島)

ムロアジ・トビウオなどを「くさや液」と呼ばれる発酵させた塩水に8〜20時間漬け込み、天日で干した強烈な発酵食品。
くさや液は代々家宝として数百年にわたり使い続けられるものです。強烈な発酵臭がありますが、味自体はまろやかでコクと旨味が強く、ビタミンや有機酸も豊富です。江戸時代、伊豆諸島の塩が税として取られて貴重だったため、同じ塩水を繰り返し使う知恵から生まれました。
24. ホヤ(宮城県・三陸沿岸)

宮城県が全国生産量の約80%を占める海産物。マボヤの外皮を剥いて刺身、酢の物、天ぷら、塩辛にします。5つの味(甘・酸・塩・苦・旨)が全て含まれると言われる独特の風味と、磯の香り、独特の苦味があります。
「藤の花が咲く頃に食べる」「きゅうりと合わせる」など地域の諺が残る初夏の味覚で、石巻地方の郷土料理「ほやぞうに」は2023年に文化庁の「100年フード」に選定されました。
世界の珍料理から学べる3つのこと
1. ほぼすべて「保存と栄養」の知恵から生まれた
シュールストレミング・ハカール・ルーテフィスク・くさや…どれも冷蔵庫がない時代に食材を保存するための知恵から生まれた料理です。発酵食品が世界中にあるのは、人類共通の保存技術の結晶です。
2. 「見た目が変」≠「不味い」
ドリアンは匂いが強烈ですが「果物の王様」と呼ばれる絶品。シュールストレミングも臭いだけで味自体はまろやか。見た目や匂いで判断せず、勇気を持って一口試してみる価値がある料理ばかりです。
3. 文化的尊重が大切
筆者から見ると「ゲテモノ」でも、現地の人にとっては祝祭の料理・高級食材・誇りの食文化です。バロットはフィリピン人にとっての国民食、エスカモーレはメキシコの高級料理。文化の違いを楽しむ気持ちで読んでいただければ幸いです。
まとめ:勇気が必要な料理ベスト5
1位:カース・マルツゥ(イタリア)
ウジ虫が動いているチーズ。EU販売禁止の伝説の料理。
2位:シュールストレミング(スウェーデン)
世界一臭いと言われる発酵ニシン缶。屋内で開けるのは危険。
3位:バロット(フィリピン)
孵化直前のアヒルの卵。ビジュアル衝撃度は世界トップクラス。
4位:サンナクチ(韓国)
動いているタコ。窒息事故注意。
5位:ハカール(アイスランド)
強烈なアンモニア臭の発酵サメ肉。

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