
この記事では、世界の変わった職業・歴史上の珍しい職業を「歴史編」「現代・世界編」「日本編」「危険編」の4カテゴリに分けて合計30個紹介します。
「どうしてこんな職業が生まれたのか」という背景まで解説しているので、雑学ネタとしても、キャリア発想の刺激としてもお楽しみください。
目次
【歴史編】もう存在しない変な職業12選
まずは歴史上存在した、今では信じられないような職業から。産業革命期のイギリスを中心に、人類の「工夫」が詰まっています。
1. ノッカーアッパー(目覚まし係)
国/時代: イギリス・アイルランド / 1800年代初頭〜1920年代
長い竹竿で窓を叩いたり、乾燥したエンドウ豆を二階の窓に吹き矢で打ち込んで、労働者を起こす仕事です。主に高齢者が副業として行っていました。
産業革命で工場労働者が大量に生まれた時代、安価な目覚まし時計がまだ普及していなかったため、この職業が必要とされました。19世紀末に目覚まし時計が普及して消滅しました。
2. ラットキャッチャー(ネズミ捕獲人)
国/時代: ヨーロッパ(特にイギリス) / 中世〜1900年代半ば
ペストの流行や衛生状態の悪さから、街や家、穀倉地帯のネズミを捕獲する職業。食糧を守るために不可欠な存在でした。
20世紀半ばに化学薬品と罠を使う害虫駆除業に統合され、独立した職業としては消滅しました。
3. ランプライター(ガス灯点火係)
国/時代: ヨーロッパ・北米 / 1800年代初頭〜1900年代初頭
夕方に街灯を灯し、夜明けに消すという、毎日2回街を歩き回る職業。長い棒でガス灯を点火していました。
電化が進むにつれて消滅しましたが、驚くことにロンドンには今も約1,500本のガス灯が残っており、英国ヘリテージが数名のランプライターを雇用しています。
4. ゴング・ファーマー(肥汲み人)
国/時代: イングランド / チューダー朝(16〜17世紀)
夜の間に人糞を汲み取って運び出す仕事。下水道が整備される前の都市部では不可欠な存在でした。
1晩の仕事で通常の1週間分の賃金が得られる高収入職でしたが、汲み取り穴のガスで窒息死する危険があり、まさに命懸けの仕事でした。
5. レザレクショニスト(死体盗掘人)
国/時代: イギリス・アメリカ / 18〜19世紀
埋葬されたばかりの遺体を掘り起こして、解剖学校に売るという恐ろしい職業。当時、医学校で解剖用の遺体が足りなかったことが背景にあります。
1832年の「解剖法(Anatomy Act)」で合法的な遺体入手方法が整備され、この職業は消滅しました。
6. リーチコレクター(ヒル採集人)
国/時代: ヨーロッパ / 18〜19世紀
沼地に足を入れて自分の脚にヒルを吸着させ、医者に売るという衝撃的な仕事。当時「瀉血(しゃけつ)」という治療法のためにヒルの需要が膨大でした。
19世紀後半に科学的医療が広まると衰退しましたが、現在でも医療用ヒルは一部で使用されており、完全に消えたわけではありません。
7. フレノロジスト(骨相学者)
国/時代: イギリス・アメリカ・ヨーロッパ / 1800年代
頭蓋骨の凹凸を触って、性格や知能を「読む」という職業。当時は真面目な科学とされていて、1820年には「エディンバラ骨相学協会」も設立されました。
20世紀初頭までに「疑似科学」と判明し、職業としては消滅しました。
8. アイスカッター(氷切り出し人)
国/時代: アメリカ・北欧・日本(明治期) / 1700年代後半〜1900年代初頭
冬に凍った湖から巨大な氷のブロックを切り出し、断熱された氷室に運び込む仕事。電気冷蔵庫が普及する前、食品保存や醸造に不可欠でした。
凍った湖に落ちたり、巨大なノコギリで手足を失うリスクがあり、非常に危険な職業でした。
9. トッシャー(下水漁り人)
国/時代: ロンドン / ヴィクトリア朝(1800年代半ば)
ロンドンの下水道を長い棒と網で歩き回り、コインや金属、ロープなどを拾って売る仕事。報酬は1日6シリングと、労働者階級にしては高収入でした。
しかしガス中毒、崩落、突然の水門からの水流、大量のネズミの襲撃など、死のリスクが高い極限職業でもありました。
10. マッドラーク(テムズ川の泥さらい)
国/時代: ロンドン / 18世紀後半〜19世紀
8〜15歳の子どもや貧しい高齢者が、テムズ川の干潟でロープ・石炭・銅の釘・コインを拾って売る仕事。極度の貧困が生んだ職業でした。
児童労働法の整備で本来の形は消滅しましたが、現在はライセンス制の「趣味のマッドラーク」として、許可を得た人がテムズ川で宝探しを楽しむ文化が残っています。
11. クライミングボーイ(煙突掃除の子ども)
国/時代: イギリス・ヨーロッパ / 17〜19世紀
4歳ほどの幼い子どもが、狭いヴィクトリア朝の煙突を登って煤を掃除する仕事。大人では体が入らなかったため子どもが使われました。
煙突に挟まって窒息死したり、火傷、そして「煙突掃除夫の癌(陰嚢癌)」という慢性疾患のリスクがありました。1875年の「煙突掃除法」で違法となりました。
12. グルーム・オブ・ザ・スツール(王室の便器係)
国/時代: イングランド王室 / チューダー朝〜ヴィクトリア朝
国王の用便を補助するという、聞くだけで驚く職業。しかしこれ、実は王室で最も権力のある職のひとつでした。
国王との個人的で親密な時間を持てるため、ヘンリー7世・8世の時代には財政・行政の重要な地位に発展しました。ヴィクトリア朝で廃止されるまで続いた名誉職です。

【現代・世界編】今も実在する変わった職業11選
13. パンダナニー(パンダ飼育係・中国)
国: 中国・四川省
パンダの赤ちゃんの世話をする仕事。餌やり、掃除、そして抱っこも業務に含まれます。年収は約3万2,500ドル(約490万円)に加えて、住居・食事・車が支給されます。
「世界一夢のある仕事」として話題になり、世界中から応募が殺到しました。パンダの知識、中国語、執筆や写真スキルも求められます。
14. ホテル睡眠テスター(イギリス他)
国: イギリス(Premier Innホテルチェーン等)
ホテルのベッドで昼寝をして快適さを評価する仕事。Premier Innの担当者は年間602のホテル、46,000台のベッドをテストしています。肩書きは「Director of Bed Bouncing(ベッド弾み部長)」。
夢のような仕事に聞こえますが、実は20分単位の短い仮眠を何百回も繰り返す体力勝負の仕事でもあります。
15. ウォーターライドテスター
国: 世界中のリゾート・テーマパーク
開業前のウォーターパークを訪れて、ウォータースライダーの速度・水流・安全性・体験の質を評価する仕事。アメリカでの平均年収は約6万ドル(約900万円)。
世界中を飛び回って試乗するため、旅行好きには夢のような仕事ですが、毎日ずぶ濡れになる覚悟は必要です。
16. アイスクリームテイスター(フレーバーロジスト)
国: アメリカ・ヨーロッパ中心
新しいアイスクリームのフレーバーを評価する仕事。味覚・食感・見た目の全てを判定します。
有名なテイスターのジョン・ハリソンは、自身の味蕾(みらい)に100万ドルの保険をかけていたという逸話があります。平均年収は約3万9,000ドル、上級職では10万ドルに達します。
17. プロの泣き人(モイロロジスト)
国: 台湾・日本・エジプト・地中海諸国
葬儀で雇われて泣く仕事。雇い主の代わりに感情を込めて泣き叫び、葬儀の情緒を演出します。
台湾の有名な泣き人リュー・ジュンリンは1回の演技で最大600ドル(約9万円)を稼ぎます。台湾では1970年代に、仕事で帰省できない子どもの代わりに雇われる「親孝行の娘」として広まりました。
18. 体臭テスター(デオドラント開発用)
国: アメリカ・イギリス・ヨーロッパ
被験者の脇の下の匂いを1時間に最大60回嗅いで評価する仕事。デオドラントメーカーが新製品開発のために雇います。
気温・湿度・運動後など条件を変えて匂いを評価するため、かなり専門的なスキルが求められます。アメリカでの平均年収は約9万9,000ドル(約1,500万円)と意外と高給です。
19. スネークミルカー(毒蛇の毒採取者)
国: アメリカ・ブラジル・オーストラリア等
毒蛇の毒腺に圧力をかけて毒を搾り取る仕事。採取した毒は抗毒血清の製造や薬品研究に使われます。月給は2,000〜5,000ドル(約30〜75万円)。
当然ながら、一瞬のミスで命を落とす可能性のある極限職業です。
20. ゴルフボールダイバー
国: アメリカ・イギリス・日本
ゴルフコースの池に潜ってロストボールを回収し、リサイクル業者に売る仕事。年収は4〜8万ポンド(約750〜1,500万円)と意外と高給です。
ただしフロリダではワニが潜んでいる池で作業することもあり、毎年死傷事故が発生しています。
21. プロの添い寝係
国: アメリカ・日本
プラトニックに添い寝する・手を握る・一緒に寝るというサービス。肉体関係は一切なく、純粋な癒しとしての仕事です。
東京の「添い寝屋プライム」は2011年創業で、孤独な女性に男性を派遣するサービスを提供しています。アメリカでは1時間80ドル程度が相場です。
22. プロスリーパー
国: アメリカ・イギリス・フィンランド・NASA
睡眠研究や新しいマットレスのテストに参加する仕事。NASAの長期ベッドレスト研究では1回で最大18,000ドル(約270万円)の報酬が出ることも。
「寝るだけでお金がもらえる」と聞くと夢のようですが、実際は長期間ベッドから出られない過酷な研究もあります。
23. 人力車の車夫(日本・浅草、京都、鎌倉)
国: 日本
観光客を人力車で歴史地区を案内する仕事。インバウンド需要の急増で、東京力車の売上は近年30倍に増加しました。
驚くべきはその収入。売れっ子の車夫は月収127万円を記録、20歳のアルバイトでもピーク時には月100万円を稼ぐことがあります。数ヶ月の体力トレーニングと浅草の歴史学習が必要です。
【日本編】日本ならではの珍しい職業7選

24. 押し屋(電車の押し屋)
場所: 東京・大阪の地下鉄
ラッシュ時に満員電車に乗客を物理的に押し込んでドアを閉めさせる仕事。白い手袋をはめた駅員が行います。
東京の地下鉄は1日800万人以上が利用するため、満員電車のドアが閉まらないと運行に支障が出ます。海外メディアからは「信じられない光景」として報じられることも。
25. 謝罪代行(Shazai-ya)
場所: 日本全国
クライアントの代わりに訪問・電話・メールで謝罪する仕事。2014年設立の「The Apology Agency」には約120名の謝罪エージェントが所属しています。
訪問謝罪は25,000円、電話・メール謝罪は10,000円が相場。日本の「誠意を持った謝罪」を重んじる文化が生んだ独自の職業です。
26. レンタル家族(Family Romance)
場所: 日本
結婚式で父親役、代理新郎、代わりの孫、偽の弔問客などを派遣する仕事。石井祐一氏が創業した「Family Romance」は約1,200名の俳優を抱えています。
日本の高齢化社会・孤独化・儀礼的義務感が生んだ独特のサービスで、海外メディアでもたびたび特集されています。1991年に「日本効率コーポレーション」が第一号でした。
27. レンタル彼氏・彼女
場所: 日本
デート、買い物、食事、インスタ写真のために男性または女性を雇う仕事。肉体関係は一切ありません。
長期的な関係を望まない人や、社会イベントで「パートナー」が必要な人向けのサービスとして広まっています。
28. 呼出・行司・床山(相撲の裏方)
場所: 日本相撲協会
呼出は力士を呼び上げ、場所ごとに土俵を手作業で築く仕事。19歳までに入門する必要があります。
行司は取組の勝敗を判定する審判で、華やかな装束で式を進行します。
床山は力士の伝統的な「丁髷(ちょんまげ)」を結う専門職。専用の道具を使い、何年もの修行が必要です。
29. 花火師(Hanabi-shi)
場所: 日本
日本の伝統的な「球形で左右対称の美しい花火」を設計・組み立てる職人。1発の花火のために何ヶ月も準備する職人技の世界です。
江戸時代の鉄砲職人が花火職人に転身したのが起源で、数百年の伝統があります。
30. 退職代行(Taishoku Daikou)
場所: 日本
本人の代わりに会社に退職を告げるサービス。退職届の提出、会社とのやり取り、書類手続きまで全て代行します。
日本の根強い「終身雇用」「会社への忠誠」文化で、退職を言い出せない人向けに生まれたサービス。2017年以降に急成長し、現在は数十社が参入する大きな市場になっています。
【危険編】命懸けのハードな職業4選
31. アラスカのカニ漁師
場所: アラスカ・ベーリング海
12メートル級の波、零下30度の風、真冬の暗闇の中でカニ漁をする仕事。ディスカバリーチャンネルの『デッドリエスト・キャッチ』で有名になりました。
3ヶ月の漁期で2〜5万ドル、トップの甲板員は調子の良い月で3万ドル以上稼ぐこともあります。海に落ちれば数分で低体温症で死亡するリスクがあり、世界で最も危険な職業のひとつです。
32. 高層ビルの窓拭き
場所: ドバイ・ブルジュ・ハリファ、NYC等
世界最高峰のビルからロープ一本でぶら下がって窓を拭く仕事。ブルジュ・ハリファの全面清掃には36人の作業員が3〜4ヶ月かかります。
アメリカでは時給26〜30ドル、危険手当が上乗せされます。突風や装備の故障による死亡事故が毎年発生しています。
33. クロコダイル飼育員
場所: オーストラリア・タイ・ルイジアナ
生きたワニに餌やり、掃除、獣医処置の補助を行う仕事。革製品や食肉のためのワニ養殖農場で雇用されています。
ワニは一瞬で人を殺せる危険生物で、作業員が手足を失う事故が定期的に報道されています。それでも世界のクロコダイル革市場は数十億ドル規模で、この仕事は必要とされ続けています。
34. 雪崩爆破係(アヴァランチ・ブラスター)
場所: アメリカ・カナダ・スイス・日本のスキー場
スキー場オープン前に、爆発物を不安定な雪面に投げて意図的に雪崩を起こす仕事。「後で客が巻き込まれるくらいなら、先に落としておく」という発想です。
自分が雪崩に巻き込まれるリスクと、爆発物の取扱事故のリスクが常にあり、熟練の技術と冷静さが求められます。
変わった職業に共通する3つの特徴
ここまで34の職業を見てきて、いくつか共通する特徴が見えてきました。
1. 時代が生んだ必然的な仕事が多い
歴史上の変な職業の多くは、その時代特有の技術・社会環境が生んだ必然でした。目覚まし時計がないから目覚まし係、冷蔵庫がないから氷切り出し人、下水道がないから肥汲み人…。技術の発達とともに消えていくのが自然の流れです。
2. 現代の変な職業は「人間の感情」を扱うものが多い
プロの泣き人・謝罪代行・レンタル家族・添い寝係…。現代の変わった職業は「人の感情や関係性」を代行する仕事が多い傾向があります。AIや自動化が進む中で、逆に「人間にしかできないこと」の価値が高まっているのかもしれません。
3. 高収入の仕事は必ず「危険」か「専門性」が条件
アラスカのカニ漁師、ゴルフボールダイバー、スネークミルカー、人力車の車夫…どれも高収入ですが、危険・過酷・高度な専門性のいずれかが必ず含まれています。「楽で高給」の変な職業は残念ながら存在しないようです。
まとめ:変な職業ランキングTOP5
1位:ノッカーアッパー(目覚まし係)
窓を叩いて労働者を起こすだけの仕事。時代が生んだ必然。
2位:グルーム・オブ・ザ・スツール(王室の便器係)
便器係なのに王室で最も権力のある職のひとつという謎。
3位:パンダナニー(パンダ飼育係・中国)
パンダを抱っこする仕事。現代版「夢の職業」。
4位:謝罪代行(日本)
他人の代わりに謝る、日本文化ならではの職業。
5位:スネークミルカー(毒蛇の毒採取者)
毒蛇の毒を搾り取る、命懸けの薬学研究職。
変な職業を見ていくと、人類がいかに「あらゆる需要に応えて仕事を生み出してきたか」がよくわかります。時代が変われば、今「普通」だと思っている仕事も将来は「変な職業」として語られる日が来るのかもしれませんね。

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